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『ファイナルファンタジーX』結末を憂う二人のひととき―夕日に語らう「Can」のバリエーション【ゲームで英語漬け#138】

Game*Spark / 2024年7月14日 17時0分

前回に引き続き、『ファイナルファンタジーX』から。ブリッツボールで一波乱あった後、ユウナたち一行が向かうのはミヘン街道です。特段大きな事件はなく道なりに進むだけですが、巡礼の旅にかけるユウナの思いが滲み出る、物語上では最重要のシーンの一つといっても過言ではないでしょう。あの日の夕焼けに彼女は何を思っていたのか……。


Dialogue/Sunset of Mi'ihen Highroad


That sunset was different from the one I saw in Kilika.
It was quite―almost gentle.


Yuna:I wish I could live in a place like this.
Peaceful... Living with a smile on my face everyday.


Tidus:You can, once you beat Sin, right?


Yuna:But then a new Sin will be born anyway.


Tidus:Well then, you can just beat it again.


Yuna:I wish I could.


Tidus:Hey, you can! Trust me!
    You are the best summoner out there!


あの夕日はキーリカで見たのとは違ってた
それはとても―ずっと穏やかだった


ユウナ:こんな場所で暮らせたらいいな
    平和で…毎日笑顔でいられる暮らし


ティーダ:できるって、シンを倒せば、だろ?


ユウナ:でもそうしても結局新しいシンが生まれるんだよ


ティーダ:そしたら、また倒せばいいだけだろ


ユウナ:そう…できたらな


ティーダ:絶対できるって!俺を信じて!
     ユウナは最高の召喚士なんだからな!


During a game, you have to think of blitz and nothing else, you know?
You can't think, "That's a cute girl in the fifth seat from the right."
And you can't be thinking about where you're going to go on that date, because the minute you do, that's when you lose!
You see, uh, Yuna, what I mean is, you really shouldn’t worry, you know?
After we beat Sin, that’s when you can worry about the future.


試合中はブリッツのことだけ考えなきゃいけないんだ
「右から15番目の席にかわいい子かいる」なんて考えてられない
デートはどこに行こうかとか、考えてられない
少しでもよぎったらもう試合は負け!
つまり、言いたいのはさ…心配はしちゃだめってこと
シンを倒してから、未来の心配するのはそのときだ


I knew it couldn’t be my Zanarkand.
But I had to make sure.


俺のザナルカンドじゃないんだろうなって分かってた
でも確かめなきゃならなかったんだ


ジョゼ街道での穏やかなひととき。一見、自信をなくしているユウナを励ます前向きなシーンに思えますが、その真実が明かされたとき、ティーダの言葉がとても残酷なものだったことに気がつきます。


ここではそれを表すキーワードとして「Can」が登場します。ユウナが“I wish I could”というのに対し、ティーダが“You can”と返します。


「Can」のメインの意味は「可能」で、できるできない(能力)、有り得るあり得ない(可能性)の可否を問うものです。そこから状況によって許可などの意味が乗せられます。ユウナはこの場面で“I wish I could”を2回言います。助動詞は過去形にすると角度が下がる法則で、もともと実現が難しい「Wish」と合わせ、「したいけど無理」を表す頻出フレーズですね。同じ「できたらいいな」でも、逆に実現の見込みが十分あり前向きに言うときは“I hope I can ~”を使いましょう。


ティーダが返す3回の“You can”は英文では同じですが、訳する上では2回目の“Well then, you can just beat it again.”には注意が必要です。「Can」の派生に「提案」があり、相手に「~したらいい」と促す場合に使います。文脈次第では「~すれば?」とやや当てつけのようなニュアンスもあるため、ここで他と同じく「ユウナならできる」と励ますような訳だと汲み切れていないように思います。そのため今回は「Just」も踏まえて若干無責任にも聞こえる「また倒せばいいだけだろ」という訳にしてみました。


少し飛ばして、ティーダがブリッツのコーチ風にアドバイスする場面では、「不許可」の「Can't」を使います。「~してはいけない」だと前回の「Shouldn't」も当てはまりますが、その違いは何に従うかによります。「Can」は許可不許可なので、必ずそれを決める誰かが存在します。「Shouldn't」だと双方合意の取り決めなどに基づく義務なので、主従は発生しませんが、「Can't」は決める人と従う人の主従関係が意識されるのです。そのあとの“that's when you can~”はそれを受けて許可の「Can」でもあり、提案でもあるうまい使い方ですね。


最後のモノローグの"I knew it couldn’t be my Zanarkand.”は可能性としての「Can」で“It can't be~”は「ありえない」「そんなまさか」を表す口語でもよく使うフレーズです。ここも前回の「Should」と同じく、ユウナの悲愴からでた「Could」に対して、ティーダが抱えるザナルカンドとジェクトへの感情から来る「Couldn't」で対になっているのです。“I had to”もユウナに言った“you have to”と絡みます。


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