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「英雄」ではなく「ひとりの冒険者」として…『FF14 黄金のレガシー』で描かれた“新たなる冒険”とは【プレイレポ】

Game*Spark / 2024年7月17日 18時0分

※本記事は『FF14』の拡張パッケージ「黄金のレガシー」のストーリーやコンテンツに関するネタバレを含みます。閲覧の際はご注意ください。


10周年を迎えたスクウェア・エニックスのMMORPG『ファイナルファンタジー XIV』の最新拡張パッケージ、「黄金のレガシー」がいよいよリリースされました。


本拡張では新大陸を舞台に繰り広げられる新たなストーリーをはじめ、新しいジョブ「ヴァイパー」「ピクトマンサー」の追加、キャラクターモデルやフィールドの風景など大幅な改修が行われる「グラフィックスアップデート」など、さまざまなコンテンツやアップデート内容が目白押しとなっています!


今回はそんな新たな「黄金のレガシー」のストーリーやコンテンツのインプレッションを、気になったポイントなどにも触れつつご紹介します。


新たな冒険を“挑戦的”に描くメインシナリオ―「詰め込みすぎ」な印象も…?


今作の物語の舞台となるのはエオルゼア地域を離れた西方に位置する「トラル大陸」。南北に広がる大陸には「トライヨラ連王国」が存在しており、多種多様な種族や文化が入り混じった独特の歴史を持っています。


そんなトライヨラでは次期国王を決める試練のレース「継承の儀」が開催され、「光の戦士」ことプレイヤーは候補者のひとりである王女「ウクラマト」とともに各地を巡る冒険を繰り広げます。


「黄金のレガシー」のメインストーリーは直近の拡張である「漆黒のヴィランズ」や「暁月のフィナーレ」と異なり、コミュニティでも好みや賛否が大きく分かれた印象があります。筆者もストーリーの構成など全体的な流れはワクワク感があって面白いと感じたものの、一方で「色々な要素を盛り込んだ結果、細かな部分の詰めが甘くなっている」と思えるポイントも多くありました。


今回のレポートではメインクエストのなかでも特に、「継承の儀」による試練の旅が行われる前半部分にフォーカスしていきます。


「継承の儀」を通じて描かれる“成長”の物語


ストーリーの前半では「継承の儀」を通じてウクラマトたちとトラル大陸の各地を訪れ、その地に住む民族の歴史や文化などを学んでいきます。はじめは無知だったウクラマトも、異なった価値観や文化に触れることでさまざまなことを学び、成長していく姿が描かれます。


他の継承レース参加者である「コーナ」や「バクージャジャ」にも成長を感じられる場面はみられ、特にコーナはアルフィノのこれまでと重なる部分も多くあります。当初抱いていた「自分こそが世界をより良いものに変えられる」という発想や挫折と葛藤、旅や交流を通じて周りの人々の存在に気付かされるなど、大きな成長がみられました。


バクージャジャも序盤は「余計なことしかしないな……」というキャラクターであったものの、彼の出自や取り巻く環境の複雑さが描かれており、暗い過去や罪からも逃げず「新しい自分」として前を向いて生きようとする姿には強く胸を打たれました。


後半のストーリーを踏まえた上で振り返ると、「ゾラージャ」に関しては内面的な“成長”を感じる場面がない、という表現も絶妙。


国王の実子として既にある程度の力を持っていた彼にとっては、自分に足りないものを知ることや、人と支え合って互いに補うことの大切さを学べず、ただ「父親」という蜃気楼を追い求め続けるだけの旅路になってしまっていた、という対比が感じられます。


「英雄」ではなく、「ひとりの冒険者」として描かれた光の戦士


NPCだけでなく、本作での光の戦士(プレイヤー)の描かれ方もこれまでとは異なったポイント。これまで光の戦士は各地で帝国の野望を打ち砕いたり、長年続く戦争を終結に導いたり、国の自由のために戦ったり、次元や宇宙を飛び越えて世界を救ったり……と、「英雄」として旅をしてきましたが、トラル大陸ではそんな肩書きを下ろした「ひとりの冒険者」としての旅、“光の戦士の夏休み”が描かれています。


「新生エオルゼア」の物語では序盤でイフリートを倒し、そこから英雄として歩む運命を決定づけられてしまったものの、「黄金のレガシー」では先輩の冒険者というポジションを確立し、あくまでも“旅の仲間の一人”として活き活きと自由に描かれていたところが印象的でした。


各要素の掘り下げを「もう一歩」と感じる場面も多く…


一方のシナリオで気になったのは、各要素の掘り下げが不十分であるということです。今回のストーリーでは試練の旅を通じて各エリアに暮らすさまざまな民族の価値観や歴史、文化と生活を深く学ぶ……という興味深い土壌があるにも関わらず、「そうだったんだな!知らなかったぜ!」で終わってしまうワンパターンな展開に。


ヤクテル樹海では「別々の民族がともに食卓を囲み語らい、仲間として打ち解けあった」という食を通じた歴史があるにも関わらず、現代ではウクラマトが作った料理を食べて終わるだけという展開で「せっかく皆で作った料理なんだから、皆で食べてほしかった!」と思うような場面も。


また、そもそもヴァリガルマンダの封印を解いたバクージャジャがお咎めなしで次の試練に参加している(選者に刃を向けたゾラージャは失格扱いとされたのに)など、細かな演出や展開が気になるポイントも随所でみられます。


最終エリアのリビングメモリーでは旅の仲間たちが奇跡的に親子の再会を果たすシーンもあります。しかし、特に初めて過去が明かされたクルルについては数クエストで済ますのではなく、1パッチかけて深堀りをしてもいいような内容であったので、惜しさを感じます。


ストーリー全体を通して描きたいことや伏線など意図は伝わるものの、それを最短ルートで回収してしまっているような単調さがあり、前述の「色々な要素を盛り込んだ結果、細かな部分の詰めが甘くなっている」という印象を持ちました。


ゲームシステムによって縛られてしまう“シナリオの自由度”


『FF14』では各コンテンツの攻略をNPCと行う「コンテンツサポーター」機能がありますが、このシステムの存在によってシナリオの自由度が狭められてしまっていると感じる部分もあります。コンテンツサポーターではNPCの専用セリフが表示されるなど、さらなる没入感を生みだす一方で、どうしてもシナリオに「戦闘ができるキャラクター」が必要になってしまいます。


その結果として、「暁の血盟」メンバーなど主要なNPCと絡まざるを得ない状況が生まれてしまい、“新たな冒険”と言われても「結局またいつものメンツか……」と新鮮味が損なわれてしまいます。「アゼムのクリスタル」に関しても同様のことが言え、想いが起こした奇跡ではなく、もはや当たり前のように登場する便利グッズのような存在に……。


コンテンツサポーターでは主要なNPC以外とも挑戦できるダンジョンが「新生」などでは多くみられます。せっかく各地を訪れ、さまざまなキャラクターと出会う旅路なので、そういったNPCをコンテンツに登場させても良いのではないでしょうか。


くわえてシステム面では、物語のテンポ感も気になるポイント。各所に挟まれるカットシーンはそれなりに長さもあるほか、尾行や同行といったシステムを採用したクエストも多くあり、自身のペースで物語を進めづらい点は少しもどかしさを感じてしまいます。


「黄金のレガシー」は全体的に見て、これまでの拡張とは異なった切り口でストーリーを描いた“挑戦的”なシナリオでした。また、これからも続いていく『FF14』のストーリーの新たな始まりとして、 “10年目にして描きたかった「新生エオルゼア」”のような存在であるともいえます。


光の戦士を差し置いて“主人公”をしているウクラマトの存在など、コミュニティでシナリオの好みや賛否は分かれたものの、新しい土地で「英雄」ではなく「冒険者」として冒険を繰り広げるワクワク感や、各地の風土や文化を深く掘り下げていく興味深さなどは、これまでの拡張にはない物語の新しさを感じました。


グラフィックスアップデートをはじめ、「黄金」の新コンテンツにも注目!


黄金のレガシーではメインシナリオ以外にも、アップデートによってさまざまなコンテンツが実装。特にグラフィックが大幅に進化する「グラフィックスアップデート」は詳細が発表されて以来、コミュニティからも常に注目を集めてきました。


「黄金のレガシー」で追加された装備ではテクスチャが高解像度のものとなっており、革や布、金属などそれぞれの質感や違いがしっかりと感じられるようになっています。


フィールドのテクスチャや光源も改善され、オブジェクトの情報量も増加したことで、より幻想的で没入感のある雰囲気に。特に暗い場所での表現の幅が広がったと感じられ、トライヨラの夜景やヤクテル樹海の下層など、「黄金のレガシー」で追加されたフィールドでは新しい技術がふんだんに活用されています。


また、特に反響が大きかったのはキャラクターのグラフィック。グラフィックスアップデートによってキャラクターが更に魅力的になったと感じるプレイヤーもいる一方、以前までとキャラクターの印象が大きく変わってしまうことに戸惑うプレイヤーも多く、悲喜こもごもの声がみられました。


何年も毎日のように眺めてきた、思い入れのあるキャラクターの印象が変わってしまい、筆者も最初はかなり戸惑いましたが……これまでにもユーザーからのフィードバックを受けて調整が重ねられており、最終的には良い落とし所を見つけられたように感じます。


グラフィックスアップデート前
アップデート後

ダンジョンなど戦闘コンテンツに関しても、新しいギミックの登場やグラフィックスアップデートを生かした景色などが採用されており、飽きない楽しさがありました。メインクエストで挑戦することになる「ヴァリガルマンダ討滅戦」と「ゾラージャ討滅戦」の8人向けコンテンツはどちらもコンテンツサポーター機能に対応しているのが嬉しいポイントで、物語にさらなる没入感を生んでいました。


「黄金」から追加された新たなジョブ「ヴァイパー」と「ピクトマンサー」も、それぞれがこれまでとは異なったアクションや操作感を持っています。特にヴァイパーは操作するボタンが多く、忙しさはあるものの、スタイリッシュなアクションを連続で繰り出す爽快感や、「テクニカルなことをやっている!」と感じられるような操作性がお気に入りです。


一方で、一部アクションやジョブの調整、プレイフィールについては、ユーザーのフィードバックをしっかりと聞き入れたブラッシュアップが必要と感じる箇所も見られます。




今回は「黄金のレガシー」のプレイレポートをお届けしてきました。「暁月のフィナーレ」でハイデリンとゾディアークを巡るシナリオが完結し、新たな物語の幕開けを飾った今回の拡張パッケージ。星を救った「英雄」としてではなく、「一人の冒険者」という視点から物語が綴られているところに、これまでにない新しさを感じます。


しかし前述したように、「さまざまな要素を詰め込み過ぎたせいか、シナリオの随所で個々の深堀りや描写が疎かになっているように感じる」という気になるポイントも多く見られました。減点方式で見るか、加点方式で見るかによっても、本作のストーリーの評価は大きく変わってしまうでしょう。


これまでのストーリーとはまったく違う、“新たなる冒険”を描いた「黄金のレガシー」。評価の分かれる挑戦的な内容でありつつも、これからの展開を期待させるようなワクワクするものでもありました。『FF14』の物語がどこまで続いていくのか、まだそれは分かりませんが……今回のように、今後も挑戦を続けてほしいと思います。


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