【特集】『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』はなぜヒットした? RTA文化を取り入れた意欲作、細かい“禁止プレイ”も話題に
Game*Spark / 2024年8月5日 20時30分
日々たくさんのゲームがリリースされる現代。その分話題になる作品も多いわけですが、「どうしてこのゲームは人気なんだろう?」と思ったことはありませんか?
この連載では、ゲーマーから注目を浴びているゲームがなぜ人気になっているのかを分析します。記事を読んで、流行っているゲームに詳しくなっちゃいましょう。今回は、『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』をお届けします。
ファミコンソフトを切り抜いてRTA!
本作は、ファミリーコンピュータやNESで発売されたゲームソフトの一場面を切り抜いたものをプレイするオムニバス・バラエティゲームです。開発は同じくファミコンゲームの一場面やぶっ飛んだ改変が楽しめたWii U用ソフト『ファミコンリミックス』シリーズを手掛けたインディーズゼロです。
1990年にアメリカで始まった大会イベント「Nintendo World Championships」の名を冠しており、条件達成までのタイムを競うことにフォーカスした作品となっています。
基本のモードは、1人でコツコツ種目をこなしていく「タイムアタック」と、世界中のユーザーと記録で戦う「世界ランキング大会」「サバイバル大会」の3つ。加えて、ローカルで8人まで遊べるパーティモードも用意されています。
「世界ランキング大会」は期間中開催される種目にプレイ記録を登録しておき、後日結果が発表されるというもの。何度も挑めるので、納得行くまでプレイできます。
「サバイバル大会」は、オンラインのユーザーたちと競い合い、1位までの生き残りを目指すモード。オンラインといってもリアルタイムマッチングではなく、サーバー上のプレイ記録と競うような形で楽しめます。
種目は150種類以上用意されており、『スーパーマリオブラザーズ』でキノコを取る、『ゼルダの伝説』で剣を授かるなど、内容自体はシンプルです。条件をクリアするまでのタイムが測られており、時間に応じてS、A、A++、Bなどの評価がつけられます。リトライはL+Rを押した後にAとサクサク行えるので、ミスしてもすぐにやり直しできます。
プレイは逐一記録されており、タイムアタックでは自己ベスト時のプレイ映像と並べてプレイが可能。とにかく速さを突き詰めていくプレイが楽しめます。
LEGEND競技と呼ばれるものでは、『スーパーマリオブラザーズ』の最速クリアや、『ゼルダの伝説』のLEVEL-1地下迷宮クリア、『アイスクライマー』のマウンテン01最速クリアといった長いプレイが要求される競技が揃っています。
難易度が高いものも多いLEGEND競技では、公式に用意された「攻略記事」が必読。競技のクリアに必要なテクニックや流れが80年代から90年代風のゲーム雑誌風に書かれており、ワクワクしますね。
なぜヒットした?
本作はSNSなどで話題を呼び、発売2週間ほどはダウンロードランキングでTOP3に。記事執筆時点では少しランキングが落ちたものの、この2週間はインパクトを残しました。
注目に値するのは、RTA(スピードラン)の文化を取り入れているという点。とにかく素早くクリアを目指すという点は『ファミコンリミックス』から引き継がれた遊びですが、画面左下に置かれた黒地に緑色文字のタイマーはRTAでよく使用される「LiveSplit」などを意識したデザインとなっています。
近年徐々に人気が高まるRTAを短い種目で楽しめるだけでなく、LEGEND競技では本物のRTAのように丸々一本クリアが楽しめるものがあるのも特徴と言えるでしょう。
加えて特に話題となったのは、「禁止プレイ」の存在。本作はあくまで正攻法での攻略が前提となっており、原作で使用できたグリッチなどは使用できないように対策されています。
例をあげると『スーパーマリオブラザーズ』の1-2、ワープゾーン手前にはしゃがみジャンプですり抜けてバグステージに突入できるという技がアリましたが、すり抜けを行った直後に「この競技では禁止プレイです」と言われ、強制的にリスタートとなります。一部対策しきれていないものもあるようですが、どのグリッチが制限されているのかをひたすら検証するユーザーも見られました。
レトロゲームファンの間では、「好きだったファミコンソフト」機能も話題に。本作はプロフィールに自分の好きなゲームを設定できるのですが、ファミコンおよびNESで発売された作品がほぼすべて網羅されているのです。
版権ものである『ミッキーマウス 不思議の国の大冒険』といった作品から、ゲーム屋では販売されていなかったレアもの『アイ アム ア ティーチャー スーパーマリオのセーター』、天地がひっくり返っても復刻が難しそうな『田代まさしのプリンセスがいっぱい』など現代のゲームに名前があることに驚くようなものも多く、これを眺めるだけでも時間が潰せるという声もあがりました。
プロフィールには他にも本作に収録されたタイトルのさまざまなスプライトや「任天堂は私が育てた」「親がファミコン世代」といった自己紹介文も設定できるため、サバイバル大会ではこれを見るのも楽しみのうちのひとつです。
今後も人気は続く?
本作はDL版の定価が3,800円ということもあり、フルプライスの作品と比べるとボリュームは少なめ。最初の方から全体のコンテンツ量が見えることもあり、それほど長く話題が続くタイプの作品ではないでしょう。また、コンテンツ追加が行なわれるかも不明です。
しかし、大会モードは定期的に種目が更新されるほか、パーティモードで一緒に遊ぶのは楽しく、一通り遊んだ後はたまに起動して楽しむ作品として置いておく人も少なくなさそうです。
『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』は、ニンテンドースイッチ向けに発売中です。
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