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深まるeigoMANGAの謎…原作者ブログ最終更新の1年前には“『ヴァンガードプリンセス』のライセンスを取得”と明かす

Game*Spark / 2024年8月9日 18時0分

eigoMANGAの創設者であるAustin Osueke氏は、海外インタビューにて『ヴァンガードプリンセス』のライセンスを2010年に取得していた旨を説明しました。


これは原作者スゲノトモアキ氏のブログ最終更新のはるか前であることに加え、eigoMANGAによる過去の発言と食い違う内容です。


eigoMANGAの過去の発言について


原作『ヴァンガードプリンセス』より。

『ヴァンガードプリンセス』は、2009年にスゲノトモアキ(SUGE9)氏が公開した対戦格闘ゲームです。2012年にeigoMANGAより英語対応のバージョン『Vanguard Princess』(以下、海外版)に加えてコミック版なども同社からリリースされましたが、ユーザーコミュニティでは原作者スゲノ氏の関与の有無について疑いの目が向けられてきました。


eigoMANGAのスタッフはこの点について、ユーザーの質問に答える形で「スゲノ氏とは当初から協力関係にあり、2011年まで遡る(We have a working relationship with Mr. Sugeno from the very beginning as far back as 2011.)」と説明しているほか、「スゲノ氏は(利益の)取り分を受け取っている(Yes, Sugeno gets his cut.)」と述べています。


2011年に実施されたメディアによるインタビュー。

2011年からあったとされる協力関係については、当時のメディアインタビューでも言及されており、eigoMANGAが過去に提訴された際の裁判資料に記載された“「直接の交渉担当者」が2011年1月から同社の開発を支援していた”とする情報と整合性が取れているとも言えます。


しかし今回のインタビューで明らかになった点は、上記の過去の発言や、ネット上におけるスゲノ氏の状況、そして同社が後に取った行動を考慮すると、謎をより深めるものとなっています。


今回の海外インタビューについて、2010年という時期の不審点


eigoMANGAの『Vanguard Princess』より。

まず、本インタビューはSean Fuller氏によるライブ配信「Behind the Comic」の1エピソードであり、eigoMANGAの作品や背景について同社の創業者Austin Osueke氏に話を訊く内容です。


インタビューではその一環として『ヴァンガードプリンセス』について言及され、Osueke氏は「ゲームのライセンスを2010年に取得した(We licensed the game in 2010)」と、前述の“2011年当初からスゲノ氏と協力関係にあった”とする、過去のeigoMANGA開発者による証言と矛盾する捉えられる説明をしました。


これには当時の開発者、またはOsueke氏の勘違いという可能性も否めませんが、仮にOsueke氏側の発言を真実とした場合、2010年にeigoMANGAがライセンスを取得してからスゲノ氏がブログを最後に更新した2011年8月12日まで、“同社に関する言及が一度も無かった”という点も疑問です。


ライセンス取得が意味するものとは


eigoMANGAの『Vanguard Princess』より。

スゲノ氏がブログで言及しなかった点については、eigoMANGA開発者が過去に「ビジネス上の合意条件は明かせない(we can't disclose the business terms of agreement)」と説明していたことから、両者間に秘密保持契約があったとも考えられますが、“ライセンスを取得していた”という点だけでも別の疑問に繋がります。


例えば2024年5月17日、著作権情報センターに広告が掲載され、eigoMANGAが『ヴァンガードプリンセス』著作権者の連絡先の関する情報を募集していることが明らかになりました。


eigoMANGAの『Vanguard Princess』より。

同社が“スゲノ氏とコンタクトを取れない状況にある可能性”を置いておくとしても、広告には情報募集の理由として「業務用ゲームを複製・販売するに当たり」と記載されており、“ライセンスを既に獲得しているのに、改めて探す必要があるのか”という点が問題となります。あえて好意的に解釈するなら、ライセンスの詳細はインタビュー中で明かされていないため、“原作ゲームの英語版とコミックの制作だけを許可する”といったような、非常に限定的な内容だったかもしれません。



eigoMANGAが公開したモバイル版のスクリーンショット。

しかしその場合、同社は情報募集の広告を掲載する遥か以前の2020年にモバイル版の開発を発表し、2023年にはクラウドファンディングキャンペーンの告知も行っているため、今度は“制作する権利が無いなかでこれらの活動をしていた”という疑いが生まれます。



コミック版にも別の問題が―「政治的プロパガンダ」との批判も



Vanguard Princess Comic Series from eigoMANGA on Vimeo.


なお、インタビューの本筋とも言えるコミック版『ヴァンガードプリンセス』ですが、Osueke氏は制作の動機として「(『ヴァンガードプリンセス』の)世界を広げたかった(we wanted to expand the universe)」と説明しているほか、「独自の命を与えたかった(we wanted to give its own life)」ともいい、実際にコミック版には原作にはなかったオリジナルの描写が含まれています。


「Vanguard Princess Digital Comic Series」の「Chapter 2」より。

そして、その中でも特に注目を集めているのが“トランプ元大統領と酷似した彫刻を原作キャラクター「御殿谷サキ」が「私たち女性のため…(FOR US WOMEN…)」「みんなのため!!(FOR EVERYONE)」と叫びながら破壊するシーンです。コミック版には”実際の人物や製品との類似性は偶然である“という旨の注意書きがあるため、本描写は現実との奇跡的な偶然の一致もありえます。


「Vanguard Princess Digital Comic Series」の「Chapter 2」より。

しかし、Osueke氏は本インタビューで「キャラクターに忠実に沿おうとしたが」と前置きしつつ、コミックで“少し楽しんでやってしまった問題”として「ドナルド・トランプを嘲笑した(We had a mockery of Donald Trump)」と発言。彫刻の人物が「ドナルド・ジューダス・トランプ(DONALD JUDAS TRUMP)」と名付けられているほか、「MAKE ACADEMIA GREAT AGAIN」と、トランプ元大統領が頻繁に用いるフレーズ「Make America Great Again」を彷彿させるセリフも存在することからも、意図的なものであったと考えられます。


この描写についてSteamレビューでは批判を寄せる声が複数あり、「IP(『ヴァンガードプリンセス』)を政治的プロパガンダのコミックを出版するために使った」との主張も確認できます。


「Vanguard Princess Digital Comic Series」の「Chapter 2」より。

なお、該当のシナリオが収録されたコミック版『ヴァンガードプリンセス』第2巻にはライター/編集者として「Suien Keatsou」の名が記載されています。先に取り上げたシーンでベースにしたであろうドナルド・トランプの大統領在任時期から考えても、スゲノ氏が関与している可能性は非常に低いと考えられます。




Game*Sparkでは『ヴァンガードプリンセス』に関して、過去の出来事を年表としてまとめた「原作者を差し置き『ヴァンガードプリンセス』巡って争う二社、時系列でこれまでを紹介」を公開中です。本記事の公開に伴い、今回のインタビューで明らかになった内容などを年表に反映しています。




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