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須田剛一×三上真司の爆弾話が炸裂した『Shadows of the Damned: Hella Remastered』インタビュー―13年ぶりに地獄から帰ってきたぜ!【gamescom 2024】

Game*Spark / 2024年8月31日 12時0分

ドイツで8月21日から24日かけて開催された大型ゲームイベント「gamescom 2024」には33万人以上が来場し、多くのゲーマーが最新作の試遊や各ブースで行われた様々なイベントに熱狂しました。

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本稿ではグラスホッパー・マニファクチュアが手掛けた悪魔狩りTPS『Shadows of the Damned: Hella Remastered』のインタビューをお届けします。須田剛一氏とオリジナル版のプロデューサーを務めた三上真司氏の爆弾話のほか、リマスター版ではプロジェクトマネージャーを務める市来信高氏に、リマスター版の特長や規制まわりの際どい話まで伺いました。




写真左から:須田剛一氏、三上真司氏

――本日はよろしくお願いいたします。『シャドウ オブ ザ ダムド』オリジナル版のリリースから13年経過しました。今回のリマスター版について、新規プレイヤーにも強くプッシュできるポイントをお聞かせください。


三上氏もともと当時の時点ですごく良くできているタイトルだったと思います。ゲームとして安心して遊べるという基本的な部分を満たしている。ただ須田さんが手掛けているからか、キャラクターのデザインもステージの構成も、ちょっとしたギミックもひとつひとつ尖っていて面白いんですよね。それが13年という月日の流れの中で熟成されて、「ギャップ」として昇華されている……そういった部分を味わえるという意味で、今回リマスターで新しく遊ぶ方々にとっても良いチャンスなんじゃないかなと思います。


須田氏ストーリーライン自体は王道モノです。パンクやロック方面だと思われがちなんですが、実は、ガルシア(主人公)とポーラ(ヒロイン)の関係というのは「マ◯オとピー◯姫」なんですよね。んで、フレミング(悪魔の王、敵)が「クッ◯」。この三角関係を見ると、ゲーム冒頭の導入部分なんてほぼマ◯オになるわけです。


――あれマ◯オですか!?


須田氏マ◯オですね。


――「(ポーラが)ズブズブと俺に挿入されているのが見えないのか」とか言っちゃってますけど!?


須田氏言葉自体はアレかもしれませんが、フレミングに連れ去られるお姫様という構図は、ほぼマ◯オですね。意識したわけじゃなかったんですけど、作ってみたらマ◯オだったんです。


三上氏はっはっはっはっはっ。


須田氏そういったファンの皆様にも伝わりやすい、「地獄のマ◯オブラザーズ」と言えましょう。簡単に言うと、本作はそういうゲームです。


三上氏これ大丈夫かな、任天堂さんに怒られないかな。大丈夫かな。


――となるとジョンソン(相棒の悪魔、トーチや武器、バイクに変形)はどのポジションになるんでしょうか……?


須田氏ル◯ージですね(即答)。


三上氏兄弟なのに主従が決まっとる……!


――だいぶ話がぶっ飛んでしまったので戻しつつ……本作のリマスタリングは「グラフィック周りが強化された」という認識で間違いないでしょうか?


須田氏グラフィックについては、そこまで意識してはいないかもしれません。というのもそもそもPS3/Xbox360版の時点で、かなり良いものが出来上がっていたんです。背景のテクスチャも申し分ないレベル。また開発初期の段階で、スタッフをエジンバラやチェコへ派遣して写真を大量に撮影していたので、相当な数の「素材」が集まっていました。それらをライブラリ化して当時開発を進めていたんですが……おそらくその解像度の良さが、今回のリマスターでも活きたんじゃないかなと。


――そういえば今回、ニンテンドースイッチでもリリースされますよね。携帯モードでもガシガシ遊べる感じなのでしょうか?


須田氏遊べます!フレームレートは30FPSですが、ぶっちゃけ当時とまったく一緒なので問題ないかと。オススメとしては、まずニンテンドースイッチ版を購入して「良さ」を楽しんでもらい、次にPCなど他のバージョンも購入してさらに楽しまれると良いでしょう。言うなれば、これが本作のもっとも正しい遊び方ですね。


――ゲーマーなら複数買うべし、と言うことですね。いや記事に書けるかなこれ……!?


全員あっはっはっはっ。


――操作についてですが、キーボード&マウスにも対応していますよね。特に調整が大変だった部分はありますか?


市来氏キーマウですか……やはり昨今のFPSやTPSと比べると、本作は照準がちょっとズレてる感触ではあります。とはいえ、それはそれでまた「味」なので楽しく遊べますね。


小声でささやく須田氏コントローラーとキーマウ版をそれぞれ遊んで二度おいしいってやつです。


――なんか複数買い前提で話が進んでるんですが!?


須田氏そうです、Steamでも買いましょう。各種コンソール版にPC版を購入してコンプリートボックス(自前)を目指すのです。


三上氏んふふ、ちょっと多くない?


市来氏ともあれキーマウの調整は新しい挑戦でもあったので、なかなか大変でしたね。あとコントローラーについては、PS5ならモーションセンサー、ニンテンドースイッチならジャイロセンサーでも遊べます。今の時代におけるシューターとしてのプレイスタイルにも対応させました。


須田氏スプラトゥーン』でジャイロに遊び慣れた子どもさん達も安心……いや、まあレーティングがあるんで本作は遊べないんですけども。


――ちょっと突っ込んだこと聞いてしまうんですが、今回も「規制」は残っているのでしょうか? 明らかに酒瓶だけど中身はスープ、みたいな……。


市来氏当時オリジナル版をリリースしたときも、レーティングの違いのため、国内外でゲームの一部表現が異なりました。で、今回もそういった「規制による違い」はそっくりそのまま残ってます。


――ちなみにその「規制」については、13年前のGame Watchのインタビューでもお二人ともかなり思うところがあったようにお見受けします。10数年経っても状況は“そっくりそのまま”ということですが、そのあたりどのようにお考えでしょうか……?「思うところ」は当時と同じですか?


三上氏考えは当時と全く変わってないです。ピーキーなゲームを楽しみたいお客さんがいるのに、ゲームをやらない人が規制などで作品に制限をかけて楽しみを阻止しようとするのは、おかしな構図だろうと思います。


須田氏そうですね。ゾーニングによる規制がかかるのであれば、僕らは仕事として対応するしか無いんですけど、遊ぶ人はどう思うんだろうとは常に感じますね。例えば本作に対しても「規制なしで遊びたいからSteamでPC版を買う」という人が続出したら、せっかく様々なプラットフォームで用意しているのに、ちょっと寂しいじゃないですか。そうなると「なんのための規制なんだろう」と首を傾げたくなります。誰に向けた制限なのか……少なくともゲームを遊ぶお客さんたちに向いたものではないな、と感じますよね。


三上氏むかし、『Dead Space(2008年)』というゲームがあったじゃないですか。当時、日本だと規制でリリースできなかったから、国内で遊ぶなら海外版をどうにかして入手するしかなかった……という状況でした。そんなとき僕はアメリカの開発スタジオで、現場の人たちと色々な話をする機会があったんです。そこで今でも印象的で覚えているのが、「せっかく頑張ったのに日本で発売できなくて俺たちは……!」と涙を流している人もいたことなんです。これは僕が関わった作品についても言えるんですが、ただ残虐表現をしたいからグロだのスプラッタだのやってる訳じゃあないんです。あくまで、「演出のアクセント」として使っているんですよ。


――10数年経っても結局リメイク版の『Dead Space』もコンソール版は出せなかった……なんとも悲しい話です。もちろんPC版はリリースされましたし、当時とは環境も違いますが……。


須田氏難しい問題ですが、CERO Zの上にさらに「CERO X」なるレーティングを作ってもらって、海外版の表現をそのまま国内でも行えるようにしてもらえたら良いんですけどね。


――せっかくの機会なのでさらに突っ込んで伺うと、そもそも海外版と日本版の2つのバージョンを作るのは相当開発に負荷がかかるんじゃないですか?


須田氏仰る通りで2つのバージョンを用意してゲームを制作する必要があるので、本当に大変です。今回のリマスターにあたっても、当時2バージョンで開発していたものをマージした影響などで、作業量がとんでもないことになって、開発期間が延びるほど甚大な影響がありました。


――物凄いお話を聞いてしまった。


須田氏ともあれ今回、規制なしで本作を楽しみたい日本のゲーマーのみなさんは、Steamでもう一本買いましょう!


――隙あらば複数買いの話になる……!って、ちょっとお待ちください。先ほども少し気になったのですが、Steamで配信されるのは「規制なし」のバージョンなんですか!?


須田氏そうです。


――Steamの日本ストアから購入したとしても、「規制なし」のバージョンなんですか!?


須田氏その通り!海外版と同じ内容のものをプレイできます。


――Steamで買うしかないじゃないですか……!


須田氏いやもうそこはほら、せっかくどのプラットフォームでも遊べるようにしたので、全バージョン買ってください!


――マーケティングの火力が高い……! あ、ところで、当時から据え置きの要素がいくつかあるということですが、各キャラクターに声をあてられている俳優さんたちも全く当時と同じで、新しく録り下ろしは無いということでしょうか?


須田氏無いですね。これも「当時そのまま」を味として楽しんでもらえたら。出演されているキャストの皆さんはとても豪華だと思います。フレミング役の吉田鋼太郎さんも今や大御所ですからね。


三上氏振り返ってみると本当に贅沢なキャスティングでしたよね。


――据え置き要素から派生しまして……「ニューゲーム+」については、今回新しく盛り込むことができた機能だと思います。やはり1周目に入手した全武器を、2周目の最初からバンバン使えるようにしたかったということでしょうか?


須田氏そうですね。もともとは当時オリジナル版でもやりたかったものの、メモリなど色々な都合で実装できなかったんです。なので今回とても大変ではありましたが、絶対入れるぞ!という思いのもとに実現することができました。


市来氏色々な都合というのは、メモリだけに限らず、当たり判定の調整などもあります。例えば、全武器使用可能の状態にしてデバックしてみると、ボスに攻撃が当たらないという現象が発生し、そこで「そもそもコードが書かれてなかった」ということが判明する……なんてこともあったり。


――そうなると各武器のパラメータを比較してバランス調整する必要もありそうですし、想像を絶する大変さですね……!


市来氏と言っても、ニューゲーム+は「強くてニューゲーム」ということなので、バランスについては特に心配はありませんでした。難易度はいろいろあれど、結構いい感じにボスを倒せるぞ、と。


――ちなみに服装については、当時から追加されたものはありますか?いや、そもそもコスチュームは当時変更できましたっけ?すいません記憶がちょっとあいまいになってしまって……。


須田氏もともと服装は変更できなかったのですが、今回で4パターンのコスチュームを選択できるようになりました。『Travis Strikes Again: No More Heroes』を遊んだ人なら見覚えのあるものもありますよ。あとはゲーム冒頭の裸タトゥーがバキバキに決まったガルシアも選べます。イメージ的には漫画「クローズ」の坊屋春道みたいな……!?


――主人公のガルシアって、アウトローだし荒々しいんですけど、台詞回しがウィットに富んでてすごく魅力的だと思います。相棒ポジのジョンソンのおかげで掛け合いも面白くなりますし。


三上氏実は僕、ジョンソンに声があてられた時ちょっと驚いたんですよ。「こういう声なの!?」って。台詞テキストを監修してる段階では、そこまでハッキリと声を想像できてなかったんです。それで実際に収録したものを確認したら「こいつケッコー軽い奴や!」となった。


須田氏我修院達也さんになった瞬間、ジョンソンの性格が突然変異起こした感じですよね。


三上氏そうそう、一気にコメディタッチに変わったんです。


須田氏とはいえもともとジョンソンに対しては、英語版含めてコメディ得意な人に声をお願いするつもりだったんですが……我修院さんのおかげでドンピシャでハマッた感じです。


――ここでちょっとズレたことを伺います。三上さんは、海外の長期滞在が苦手とのことですが……今回gamescomは数日に及ぶ大きなイベントでは何泊くらいされてますか?


三上氏1泊です。いやもうちょうど昨日こっちに来たばかり。


――変な質問ですいませんでした。というのも公式チャンネルでこちらの動画を観て、イベントに参加するしないのくだりで三上さんが欠席裁判みたいな状況に巻き込まれていたのが印象的だったので……!


三上氏あれはね、騙されたんですよ。


須田氏騙してないですって(笑)。


三上氏「PAX East(アメリカのゲームイベント)に参加する、と言ったのに結局来なかった」という扱いだったんですよ僕。参加しないって言ったと思うんですけど記憶がさだかじゃない。


須田氏たしかに最初は断られたんですけど、三回くらい食い下がったら「そういうのであれば……仕方ないですね」と返事もらえて。それを言質にしてよっしゃあ!とガッツポーズしてたんです。そしたら来ないの。だから今回のgamescomでは……ネ……。


三上氏ハメられた気がする(一同笑)。


須田氏でも良いこともあって、やっぱり海外メディアさん達もすごく喜んでくださったんですよね。なかには物凄い気合はいった方もいて、実写版「バイオハザード」の役者さん全員からコメントを貰って映像にまとめたものを見せてくれたんです。レベッカ、ウェスカー、クリス、そしてバディを担当した当時の役者さん達が映像内で勢揃い。これには三上さんも大いに盛り上がってました。


三上氏「よく揃えることができたな!?」と驚きでした。ありがたい限りです。


須田氏彼らは今回のイベントで三上さんに見て貰いたいがために、わざわざここまでやってきてくれたんですよ。やっぱり三上さんがイベントに来る、ということは大きな反響を生むんだなと再認識しましたね。




そんなこんなで30分のインタビュー時間で、とにかく濃密で、ぶっ飛んだお話を沢山伺うことができました。皆さま、改めてお時間をいただき、ありがとうございました!


地獄のマ◯オブラザーズ……じゃなかった、ぶっ飛び悪魔狩りTPS『Shadows of the Damned: Hella Remastered』は2024年10月31日に、Windows PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチにてリリース予定!事前予約も受け付けているので、ぜひ各ストアをチェックしてみてください!


今年も賑わいを見せた「gamescom 2024」、Game*Sparkでは引き続きインタビューやハンズオンプレイレポなど様々な記事を掲載予定です。

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