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2024年秋の大作RPG『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』リードプロデューサーにインタビュー。気になるロマンス要素についても深堀りしてきた

Game*Spark / 2024年10月9日 18時0分

9月26日から4日間にわたり開催された「東京ゲームショウ2024」。今回の記事では、セガ/アトラスのブースにて出展されていた期待作である『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』のリードプロデューサーを務めるシラー・コスタ氏へのインタビューをお届けします。ゲームの試遊レポートはこちらの記事をご参照ください。


――まずは自己紹介をお願いします。


シラー 『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』のリードプロデューサーを務めています。以前から『ドラゴンエイジ』や『マスエフェクト』シリーズに関わってきました。BioWareでは16年のベテランです。今回は初めての東京ゲームショウなので、個人的にも楽しんでいます。


――前作の発売から、日本でも海外製のRPG……特に「CRPG」と呼ばれるジャンルは知名度が随分と上がって、ジャンルのファンも増えています。同ジャンルの他作品と『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』で異なる魅力や、本作ならではのユニークなポイントについてお聞かせください。


シラー 『ドラゴンエイジ』は常に進化しているゲームシリーズです。最初の『ドラゴンエイジ オリジンズ(Dragon Age: Origins)』から『ドラゴンエイジ II(Dragon Age II)』の間でもかなりアクション性を加えるなどゲーム性が変化していました。私はその次の『ドラゴンエイジ: インクイジション(Dragon Age: Inquisition)』でプロデューサーとして、開発チームに参加しました。『インクイジション』でも「オープンワールドのようなゲーム性」という新しい試みに取り組んでいます。


『ヴェイルの守護者』は前作である『インクイジション』をベースにしてはいますが、前作とは異なったゲーム性になっています。まず、今までのストーリーでは行かなかった場所……ストーリー上会話などには出ていたんですがプレイヤー自体が訪れていないセダスの“北の地方”のマップが登場しています。


また、戦闘要素も進化しています。とてもフレキシブルで柔軟性のある戦闘に仕上がっていて、アクション性もありながら、時間を止めて次の一手を考えて行動することもできたりします。コンパニオンに指示をして連携をとってコンボを決める……というようなことも可能です。もちろん『ドラゴンエイジ』シリーズですから、コンパニオンは戦闘以外でも重要な存在で、関係性作りも楽しめます。


コンパニオンにはそれぞれ自分の「命」があって「人生」があり、辿ってきた「歴史」があります。それをあとから知ることができるというのも本作の楽しみのひとつです。プレイヤーとコンパニオンの関わりが充実しているのはもちろんのこと、コンパニオン同士で交流することがある……というのも本作のユニークな魅力です。


――『マスエフェクト』の新作を作るということも考えられたと思うのですが、なぜ今『ドラゴンエイジ』の新作をリリースすることになったのでしょうか。


シラー 前作の『インクイジション』のときに初めて「Frostbite」というEA DICE開発のゲームエンジンを使いました。そこから10年の時間をかけて「エンジンのすべての力を使いこなすことができるようになった」というのが大きい理由です。


本当に細かい仕様の話になるのですけれど、例えば髪の毛も本当に1本ずつ再現して、なめらかに動くようにしています。「Frostbite」の力をすべて引き出して、2024年のゲームとしてアップグレードをしています。


――PlayStation 5 Proの“Enhanced”には対応しているのでしょうか。


シラー 昨日(インタビュー前日となる2024年9月26日)に発表したように、対応しています。既に開発チーム内での最適化も済んでいて、レイトレーシングにも対応しています。


――『ドラゴンエイジ』シリーズ並びに『マスエフェクト』シリーズは、RPGにおける“ロマンス要素”に革命をもたらした作品と感じています。今作は全員のコンパニオンがパンセクシュアルであるとのことですが、そうした設定を作った理由と経緯についてお聞かせください。


シラー 「どのようなプレイヤーでもコンパニオンとの間に信頼関係を築けるようにしたかった」というのが、パンセクシュアルという設定を採用した理由です。また、自分がコンパニオンと恋愛に発展しなくても、コンパニオン同士で恋愛に発展するようなこともあります。キャラクターの間に自由に関係性を築けるようにしたかったということですね。


――以前のシリーズ作品をプレイしているとき、仲間の中でも「恋愛関係まで発展させたくないキャラクター」とそういう雰囲気になってしまって困惑したのですが、今作ではロマンスを「止める」ようなオプションもありますか?


シラー 会話のときに選択肢が出てくるのですけれど、恋愛的な関係性に向かう選択肢にはハートマークがついています。それを選択すれば、恋愛に発展する可能性が高いです。逆に言えば、ハートマークのついている選択肢を回避すればいきなり恋愛に発展することはないでしょう。


もちろん、ハートがついていない選択肢によって好感度が上下するというような要素も存在しています。キャラクターごとに「好きな行動」と「嫌いな行動」があり、そのキャラクターが嫌いな行動を取り続けると恋愛に発展できない……というようなこともあったりしますね。本作には「どの選択肢を選ぶとどのような結果に行き着くか」というような因果が用意されています。


――ストーリーの分岐やエンディングが豊富というのは、BioWare作品の大きな魅力です。『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』においては、どれほどのバリエーションが用意されているのでしょうか。


シラー ネタバレなしでお話すると、今作にはかなり大事な局面で判断を求められるシーンが多数あります。そこで自分の判断で選択を決めると、その答えがエンディングに関連していくのです。また、7人のコンパニオンとの関係性によってエンディングが変わることもあります。ゲーム終盤での選択も大事ですが、その局面に至るまでの判断や関係性によって話が変わっていくこともありますね。


――「Summer Game Fest」で披露されたトレイラーは「ヴェイルが大変なことになっている」といった内容でしたが、あのトレイラー映像で描かれている内容が本作のメインストーリーとなるのでしょうか。


シラー あのトレイラー映像で描いているものは、『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』で語られる「ストーリーのきっかけ」になっています。


――東京ゲームショウ2024の試遊展示でプレイしたのですが、ビジュアル面が変わって『インクイジション』とは大きく異なる印象を受けました。前作は緑色を基調としたイメージでしたが、今作は紫色が強くフィーチャーされていますよね。


シラー 今作は、ひと目見て「これは『ヴェイルの守護者』だ」と分かるようなビジュアルを目指しました。マップのディレクションも含めて、本当に独特なものを目指しています。どこを切り取っても一発で『ヴェイルの守護者』であることが分かるような、記名性の高いデザインを目標にしています。


――今作に登場するマップは、試遊でプレイ可能だったエリアやトレイラーで紹介されたエリアのようなデザインとなるのでしょうか。全く雰囲気が異なるエリアも登場しますか?


シラー 今回の舞台は「北」なので、今までの『ドラゴンエイジ』とは異なるビジュアルにしたかったのです。『インクイジション』には「ドリアン」というキャラクターが登場するのですが、彼は宮殿など見て「かわいい」と言ったりします。「彼の視点から見た世界」がどういうものなのか、ゲーム内の会話を通して表現してみたかったということですね。今回は「灯台」という休息場のようなエリアも、ユニークな見た目になっています。どの場所もビジュアルには独自性があるのですが「どこを切り取っても『ドラゴンエイジ』とすぐ分かる」という雰囲気作りも同時に目指しています。


――マップだけでなく、ユーザーインターフェイスも大きく変わりましたよね。例えば、スキル周りのホイールのようなUIも大きくなり、視認性が高まっていましたアクション要素の高い戦闘に合わせて制作されたのでしょうか。


シラー アビリティーホイールはかなりテストを重ねて、遊びやすくなるように注意して作りました。UIの中心にアビリティがあって、両隣にいる仲間のキャラクターに直感的にパン(左右に振ること)ができる、という仕組みです。ホイールを開いた状態で一旦ポーズしたときに周りのものが見回せる、というゲームプレイも重要だと思っています。その画面では敵の体勢や弱点も表示されていますから、戦略的に自分のアビリティを選んで、コンパニオンとの連携も考えて……そういうことが視覚的に考えやすくなることをひとつの目標としています。


また、ゲームプレイ中にアクション性を保つためにアビリティホイールやポーズを使わず、すべてショートカットボタンだけでアビリティを出せるようになっています。このように「一切ポーズをしないで遊ぶ」という遊び方の幅を確保するというのも、同じくもうひとつの目標でした。


――本作は当初『Dragon Age: Dreadwolf』と呼ばれていました。『ヴェイルの守護者(The Veilguard)』に変わった理由についてお聞かせください。


シラー 本作は、社内では『Dreadwolf』という名前の作品として開発していました。これはシリーズに登場するキャラクター「ソラス」の二つ名でもあります。けれど開発が進んでいく中、ストーリーもゲーム内容も進化していきました。そうして後から見ていったところ“これは『Dreadwolf』よりも『The Veilguard』というタイトルの方が相応しいな”と感じて、変更しました。


――前作と繋がるストーリー要素も多く、“前作主人公も登場する”とも聞きました。『インクイジション』は10年ほど前のタイトルですが、やはり前作を遊んでいたほうが楽しめるのでしょうか。


シラー 「前作で選択したものが今作に影響を与える」というのは、『ヴェイルの守護者』で描きたいことのひとつでもありました。前作を遊んでいただいたプレイヤーは「審問官」として様々な選択をしたと思うのですが、我々はその選択を否定したくはないのです。


ただ、すべての選択を取り入れるのは難しい。なので、解決策としてキャラクリエイトのとき前作主人公である「審問官」を同時に作成でき、彼が下した選択もそこで選ぶことができるという仕様にしました。前作にあった重大な選択肢をリストアップして、それをキャラクリエイト時に選ぶことができます。そしてもちろん、前作をプレイしたことがない場合はそういった選択を完全にスキップすることもできます。


――本シリーズには、膨大なゲーム内設定が用意されています。「エルフがなぜ差別されているか」といったような世界観に深みを与えている情報は、新規プレイヤーに向けてどのように語っていくのでしょうか。


シラー 新規プレイヤーとベテランプレイヤーの両方に対応するのは、非常に難しい問題でした。詳しくは言えませんが、今のところ私の視点からは「うまくやっている」と思っています。もう3年間にわたって、「新規プレイヤー」と「前作からのプレイヤー」の両方にテストプレイをしてもらっています。そこからフィードバックを取り入れて、上手な語り方を模索しているところです。今のところ、良い仕事ができていると思いますよ。


――ところで、「東京ゲームショウ」の印象はどうですか? 試遊した来場者からの感想など、印象に残ったものはありますか。


シラー 初めて訪れたので、私はすごく楽しんでいます。なにせデカい! 規模が超デカい(笑)。4つもホールがありますし、インディーゲームなどの出展も多くて、素晴らしいですよね。ファンとも気軽に交流もできますし。遊びにきてくれた『ドラゴンエイジ』シリーズファンからの熱量も直接感じ取れましたし、開場の瞬間も勢いが凄かったですね。


――欧米と日本で「ゲーム文化の違い」については感じていますか?


シラー 具体的に違いを挙げるとすれば「CERO」ですね。今、本作のCEROレーティングは「D」になっています。なんとか日本のゲームのテイストに合わせて「CERO D」を取得できるようにしたので、そのあたりの「調整」もお楽しみいただけたら、と思います。


――本日はありがとうございました。




『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』はPC(Epic Games Store/Steam)/PS5/Xbox Series X|Sを対象として、2024年10月31日発売予定です。


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