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新海誠「天気の子」を思い出す、社会から追い詰められた少年少女のサバイバルADV『Re:VER PROJECT -TOKYO-』。まさかの東映アニメーションが企画した「残酷な現実社会での物語」【東京ゲームダンジョン6】

Game*Spark / 2024年10月29日 17時0分

日本のインディーゲームも、殺伐としたリアリズムを扱うことが増えてきたように感じます。筆者のGame*Spark執筆記事から確認してもらうとわかりやすいかもなんですけど、過去に取材してきたインディーゲームも暗い現実を扱うタイトルが目立ちつつあります。10月27日に開催されたインディーゲーム展示イベント「東京ゲームダンジョン6」で出展された『Re:VER PROJECT -TOKYO-』は、まさにそういった「殺伐さ」を感じたタイトルです。


本作はなんと東映アニメーションとインディーデベロッパーであるネトスピが共同で開発した一作であり、新規のビジネスとして立ち上げられたタイプに思えます。しかし、本作の試遊でうかがえるのは「都市部で警察も市民も助けにならず、最下層で追い詰められた少年と少女」という妙なリアリティを体感させるのです。


大まかにまとめると「サバイバルアドベンチャー」というべきジャンルだと思うんですけど、サバイバルする場所を今の東京に据えると、「これは有り得るかもな」という別種の緊張感が漂ってくるのです。ある意味、新海誠の「天気の子」みたいな、「よく考えるとまずい社会の側面」が見えそうといいますか……。

インディーゲーム展示イベント「東京ゲームダンジョン」現地レポート記事はこちらから!

警察から隠れ、弱り切った女の子を介抱するのだが……


物語は東京のどこかの路上で幕開け。少年と少女が謎のフードの人間を見つけ、何かを乞うているのですが、フードの人間は彼らを冷たく突き放す言葉を残して消えていきました。


どうやら少年と少女はどこにも頼れるものがなく、警察にも追われている状態のようです。しかも少女は病気を患い、弱り切っており、このまま生きていられるかもわからない状況に置かれていました。


ふたりは街の廃ビルに隠れ、活路を見だそうとします。近くに作業台が残っており、少年はポケットにあったどんぐりをなんとか料理して少女に食べさせます。


主人公たちには満腹度やのどの渇き、健康状態のパラメータがあり、時間が経つごとに減っていきます。追い詰められたなかで、少しでも生き残ろうとするために、わずかな食料でも欠かせないのです。


さらに警察に追われることで「操作進行度」というパラメータも。これは警官とすれ違ったり、一般市民がいぶかしむ行動を取ると上昇していき、逮捕される可能性が増えていくのです。


しかし生き残るためにゴミ箱を漁り、腐り始めたハンバーガーを食わなくてはならない状況です。市民たちから「ゴミあさっている……」と冷たい目線を浴びながらも食べ物を漁る瞬間は、かなり苦く惨めな気持ちにさせられるます。



再生の物語


この東京では「落ちた人間は2度と浮上することはできない」と言われています。それが本当の罪であろうとなかろうと。一度異端者の烙印を押されて社会的に排除されてしまえば人生終了です。そんな厳しい大都会東京にあっても2人はそれを乗り越えようと立ち上がります。2人が辿り着くのは天国か地獄か。プレイヤーだけが2人の行く末を見守ることができます。



Steamストアページでの説明は、上記の通り。このようなリアリズムで作られているとのことで、本当に無私で助けてくれる人がまったく出てこないんです。


少年がなんとかギリギリで、裏で少女の病気を助けてもらえる薬を持っているというダイナーにたどり着くも、その店の店員は「薬が欲しかったら街をめぐってゲームハードを直したものを持ってこい。東京ではなんでもタダで手に入るものはない」という風に突き放してきます。なんとか要求したものを持ってきたら、なんと何も言わずに薬を床に投げ捨てて渡してくる……という、すさまじい対応をしてくるんですよ


なんとか少女を命の危機から助けた少年ですが、彼にもどうやら謎があるようです。「生存術に長けすぎている」と少女に怪しまれ、どうも少年の過去にも何かがありそうなのです。このように都市部でホームレスとなった少年と少女がサバイバルするゲームプレイから、謎に満ちたシナリオを用意しているんですが、いずれにせよ殺伐とした現代を体感させるのは確かなのです。


凄惨な現代を描くゲームを、なぜ東映アニメーションがやろうとするのか


そんな酷薄な現実を映すゲームを、なぜ東映アニメーションがやろうとしたのでしょうか。現在、アニプレックスなどアニメーション関係の会社がインディーゲームに進出する動きが見受けられますけど、『RPGタイム!~ライトの伝説~』のような明るめな作品に関わることが少なくないです。今回はブース取材を通して東映アニメーションのプロデューサーにインタビューし、本企画の背景をうかがいました。




ーー本作は社会から追いやられる凄惨な状況を描くゲームで挑戦的な印象を受けました。どういうきっかけで本作が企画されたのでしょうか。


プロデューサー:東映アニメーションでは、オリジナルIPの原作をどれだけ作れるかをチャレンジしたいと考えていました。インディーゲームという媒体がその挑戦に適切だと思い、今回インディーゲームを出す経緯になっています。


ーー言わずもがな、東映アニメーションはアニメ業界の大企業ですよね。そんな企業ならば、多くのIPを持っている印象があるのですが。


プロデューサー:大人気のアニメーション作品もたくさんあります。ただ、時代のスピードを考えますと、たくさんの原作IPを出していくことを考えた場合に「アニメーション作品」だけというのはかならずしも最適解ではないのかな、と思います。やはりコストもかかりますので、もっとスピードをアップして、世の中にIPを出すためにインディーゲームという媒体も活用していきたいという考えです。


ーー本作は東映アニメーションの「プリキュア」シリーズや「ドラゴンボール」シリーズのイメージからすると、非常にリアリスティックで殺伐とした印象があります。なぜこうした題材のゲームを企画したのでしょうか。


プロデューサー:アニメーション作品では全年齢向けで制作するケースが多くを占めています。提供する上でも安全な作品が多いかと思うのですけど、こうした「インディーゲーム」という少しエッジのある媒体に対しては、作品の内容も尖らせたものを出したいと思っています。


ーー本作を映像化するなど、メディアミックス展開の予定もあるのでしょうか。


プロデューサー:可能性としては考えています。ただ、本作は英語版と中国語版も同時にリリースするつもりです。まずは「ゲームというIPからどうやって海外に進出していけるのか」というチャレンジに取り組んでいきます。


ーー東映アニメーション側としても、まずビデオゲームという媒体がどれだけ国際展開で通用するものなのか把握しておきたいと。



プロデューサー:そうですね。初めに京都の「Bitsummit Drift」で本作を出したのもその意図でした。Bitsummitは海外からのお客様がたくさんいらっしゃるゲームイベントでしたので、そういった意図から出展していました。




『Re:VER PROJECT -TOKYO-』は、このようにアニメの大企業によるプロジェクトでありながら、誰もが目を背け、見ないようにしているある種の現実を体験させるゲームを作ろうとしています。単純にサバイバル系ADVというジャンルを考えてみても、日本の都市部で社会的に追いやられた人間の生き残りというのはなかなか見ません。


昨今は出版業界からアニメ業界など様々な企業が「インディーゲーム」に進出するようになりましたが、ビジネス上の野心以上に“普段の媒体では出来ない何か”を模索しているところもあるということでしょうか。


『Re:VER PROJECT -TOKYO-』はSteamにストアを公開中。まだ発売は先のようですが、どうも見過ごせないタイトルになる予感がします。


インディーゲーム展示イベント「東京ゲームダンジョン」現地レポート記事はこちらから!

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