「PS5 Pro」先行試用レポート! 目玉機能“AIアップスケーリング”で生まれ変わった『FF7リバース』を体験し、『モンハンワイルズ』OBT版でフレームレートも計測した
Game*Spark / 2024年11月6日 20時0分
2024年11月7日、ついに「PlayStation 5 Pro(PS5 Pro)」が発売されます。 筆者とGame*Spark編集部はソニー・インタラクティブエンターテインメント(SIE)からPS5 Proの提供を受け、一足早く様々なタイトルをプレイしていたので、各タイトルのフレームレートを計測しながらPS5との違いを大いに楽しませていただきました。
PS5 Proの実力を確かめるために様々なタイトルをプレイしましたが、本稿では『Final Fantasy 7 Rebirth』、『The Last of Us Part I Remasterd』、『Marvel's Spider-Man 2』、『Stellar Blade』の4タイトルをプレイして見えたPS5 Proの利点と弱点、そして番外編として『モンスターハンターワイルズ』オープンベータ版で判明した性能差をお伝えします。
Proなのに初期型より小さくてパワフル!
PS5 Proの魅力を語るうえでまず最初に目につくのが、そのサイズ感です。 実はPS5 Proの高さは初期型PS5と同等なのですが、横幅や奥行きはPS5 Slimとほぼ同じ。初期型と並べるとそのコンパクトさに驚きます。 PS4 ProはPS4より大きかったので、Proなのに初期型よりコンパクトという、ちょっと不思議な感覚を覚えます。
しかし、PS5 ProのパワーはPS5と比較して大きく進化しています。もともとPS5が抱えていた「グラフィックを優先するとフレームレートが低下し、フレームレートを優先するとグラフィックが低下する」というジレンマを解決するために生み出されたPS5 Proは、内蔵しているAMDと共同開発したチップにより、AIアップスケーリング技術「PlayStation スペクトルスーパーレゾリューション(PSSR)」を導入することで、負荷の少ない低解像度をネイティブ4K画質に劣らないグラフィックに向上させつつ、高フレームレートを維持するというアプローチを採用しています。
そのPSSRの実力を一番大きく感じられるタイトルは『ファイナルファンタジーVII リバース』です。
PS5 Proの実力を知るには『FF7リバース』が最適
2024年2月にリリースされた『FF7リバース』は、圧倒的なボリュームのオープンワールドと病みつきになるほど楽しい戦闘が特徴のタイトルです。 ただ、画質とフレームレートのジレンマがクリティカルヒットしてしまったタイトルでもありました。特にパフォーマンスモード時の画質は、前作『ファイナルファンタジーVII リメイク』よりも劣化しているとして話題にもなりました。
その問題もPS5 Proでは関係ありません。 最新のアップデート1.050でPS5 Pro対応となるエンハンスモードが追加されました。
筆者はもともとパフォーマンスモードでPS5版『FF7リバース』をプレイしていましたが、せっかくのクラウドやエアリスたちの表情がボヤけてしまうことが残念で、特にフィールドを探索している時にふとした瞬間に映る各キャラの顔を見てテンションが下がってしまうことが多々ありました。
PS5 Pro版ではフレームレートは60を維持したまま、PSSRにより画質を大幅に向上させて各キャラの顔から髪やフィールドの景色までクッキリに。 まるで裸眼からメガネをかけたかのように印象が変わり、パフォーマンスモード選択時の画質の下がり具合が比較的マシだったムービーシーンでもしっかりと違いが感じられます。
一方、グラフィックモードを遊んでいたユーザーにとって、画質そのものの変化はあまりないので興奮しないかもしれません。しかしフレームレートの違いは「パフォーマンスモードとエンハンスモードの画質の差」よりも、ハッキリと感じられるはずです。また、グラフィックモードでプレイしていると発生していた残像がPS5 Pro版では目立たなくなっています(ゼロではない)。
美男美女の世界をしっかりと美しく仕上げ、元々楽しかった戦闘がさらに気持ちよく味わえるのはPS5 Proの醍醐味であり、PSSRの恩恵を最も受けているタイトルでしょう。
SIEファーストパーティタイトルで見えたPS5 Proの弱点
『FF7リバース』とPS5 Proの相性を褒めちぎったあとは、SIEファーストパーティタイトルの『The Last of Us Part I Remasterd』をプレイして実感したPS5 Proの弱点を解説します。
『The Last of Us Part I Remasterd』は、従来のパフォーマンスモードだと1440pでレンダリングしてそのまま1440pで出力していて60fpsを維持。画質優先モードでは4Kでレンダリングしてそのまま出力して30fps。 そして、PSSR対応のProモードだと1440pでレンダリングしたあとにAIアップスケーリングを噛ませて、4Kで出力しながら60fpsをできるだけ維持しています。
筆者は普段はQHDか4Kモニターでゲームをしていますが、PS5 Proは本腰を入れてその画質を味わうためにこちらも本気を出そうということで、今回は77インチ/OLEDの4Kブラビアでテストしていました。VRR(可変リフレッシュレート)にも対応しているので、PS5 Proをプレイするにはうってつけです。
ところがここで実感してしまいました。 SIEファーストパーティのタイトルは元々の画質が良すぎるから変化が分かりづらい傾向があるのです。
『The Last of Us Part I Remasterd』のパフォーマンスモードは髪のテクスチャのジャギーが目立ち、ジョエルに至っては瞳が反射しておらず、絶望しきった目つきをしています。 静止してよく見ると粗さが目立ちますが、静止しないと目立たないのも事実。さすがファーストパーティだけあって見事な仕上がりです。
Proモードではジョエルの目に光が戻り、髪のテクスチャもだいぶ滑らかになります。背景の草木やオブジェなども輪郭がシャープになり、ムービーシーンになると画質優先モードと遜色ないどころか、画質優先モードでは潰れてしまっていたテクスチャもクッキリ見えるなど、Proモードならではの画質とフレームレートの両立がしっかり成り立っています。 それでいてフレームレートはぴったりと60に張り付いています。
ただ、画質の変化は気が付かない人も多そうというのも本音。 決してPSSRのクオリティが悪いと言っているのではなく、そもそものグラフィックス品質が高過ぎるSIEファーストパーティタイトルの実力が、かえって仇となってしまうパターンもあるわけです。
フレームレートを伸ばす方向で輝くタイトル達
同じSIEファーストパーティタイトルでも、グラフィック品質を高めつつフレームレートも向上させることに成功したタイトルがあります。 それが『Marvel's Spider-Man 2』です。
PS5 Pro版は、従来のパフォーマンスモードと画質優先の忠実度優先モードがそれぞれPro用に置き換わり、PS5版におけるグラフィックモードは選択できなくなります。
忠実度優先モード(Pro)はフレームレート上限を30fpsに固定して、従来のレイトレーシングに加えてPS5 Proだから実現できた新しい3種類のレイトレーシングを追加します。さらにそれらのレイトレーシングは個別に強度を変更できるので、フレームレートを向上させることも可能です。
デフォルトだと全部MAXのレイトレマシマシになっているのですが、ビルの壁面や街を歩けばスパイダーマンだけでなく、人々や車などありとあらゆる物が美しく反射します。遠景のビルもディテールが潰れずに引き締まっているので、レイトレーシングで反射する景色もそのままシャープで圧巻。
さらに、忠実度優先モード(Pro)は一部のエリアで歩行者や車両の数も増やします。 PS5版の時点で群衆が多かったのに更に増えているとちゃんと感じられます。
パフォーマンス優先モード(Pro)は60fpsを維持しつつ、PS5版の忠実度優先モードと同じ画質を保つために反射などのレイトレーシングもオンになっているという、欲張りセットです。 基本的にはこちらを選んでおくことをオススメします。
『Marvel's Spider-Man 2』はPS5版の時点でグラフィックス品質が異常なレベルで高かったのに、そのままフレームレートが上がっているので、NYの摩天楼をスイングしているだけでも気持ちよさが格段に上がっています。
そしてパフォーマンスモード(Pro)の本気はVRRモードと120hz出力をオンにしたときに発揮されます。 こちらは筆者の環境でフレームレートを計測した結果ですが、80~100fpsを維持しながらNYを滑空するという凄まじい描写を実現しています。
考えてみてください、PS5版の画質優先と同じグラフィックで100fps近くも出るという衝撃を……。縦横無尽にアクションを決めるスパイダーマンとPS5 Proの相性の良さを実感できた瞬間でした。
『Stellar Blade』もまたフレームレートを伸ばす方向で成功しています。 PS5 Pro版には従来の解像度とフレームレートのバランスを取ったバランスモードを発展させたProモードと、解像度優先モードのフレームレートを引き上げるPro Maxの2つが追加されています。
PS5 Pro専用モードを選択しているときのみ、フレームレートの上限を引き上げるHFR(ハイフレームレート)を選択できるのですが、入力速度が上がったことでパリィや回避のレスポンスの向上も感じられて、久しぶりのプレイなのに元々やりやすかった「ジャストパリィ」や「ジャスト回避」がさらに気持ちよく決まっていきます。 HFRをオフにしていてもフレームレートの安定した高さは堪能できます。 これが開発スタジオSHIFT UPのコンソール初タイトルとは未だに信じられません。『NIKKE』で破産した過去の自分が報われます。
主人公イヴの描写品質も高まっていて、Proモードでも解像度優先モードより顔のテクスチャがシャープになり、『Stellar Blade』の象徴とも言える“イヴのポニーテール”もよりきめ細やかに描写されています。
Pro Maxモードにするともっと細かくなりますが、残念ながら解像度優先モードで気になっていた残像も増えているので筆者はあまりこのモードではプレイしていません。
非対応ながら『モンハンワイルズ』オープンベータ版もチェック
最後に、10月29日から10月31日に開催された『モンスターハンターワイルズ』オープンベータ版をPS5 ProとPS5それぞれでプレイして判明した違いをお伝えします。
『モンスターハンターワイルズ』ベータテスト版は、PlayStation 5 Proには未対応です。 『モンスターハンターワイルズ』製品版のPlayStation Pro対応については、2025年2月28日(木)の発売に向けて現在検討中の段階です。製品版での対応内容については、今後の情報をお待ちください。
来年2月28日に発売される『モンハンワイルズ』はまだまだ開発の途中で、PS5 Pro対応アップデートは配信されていません。 つまり、PS5版と同じものをプレイすることになりました。
計測では「解像度優先モード」を選択し、VRRはオフ、モニターは60hzのものを使用。クエストのドシャグマ達の周りをグルグル回って撮影した動画で、フレームレートをカウントしています。PS5では33付近をウロウロしていましたが、PS5 Proでは45付近がアベレージという結果。同じ環境かつ「フレームレート優先」だと、54がアベレージでたまに60fpsに触れることもありました。 念の為に動画編集ソフトで1コマずつ動かしながら手動でカウントしましたが、ほぼ似たような数値が出ています。
PS5 ProのCPUはPS5と同じものを採用しているものの、メモリ周りや処理性能が向上しているようで、その分の余力がフレームレート向上に繋がっているのかもしれません。 製品版がPS5 Proに対応するかは検討段階であり、「『モンハンワイルズ』のPS5 Pro版が配信される」と確約されているわけではありませんが、PS5 Proそのものの性能で製品版のパフォーマンスが向上する可能性が出てきました。
このように、PS5 Proは「最適化されたタイトルであれば、画質の向上とフレームレート上昇によってゲーム体験が大きくアップグレードされること」が先行試用を通して強く実感できました。 同時に、PS5 Proの性能を最大限に引き出すためにはVRRと120hzのリフレッシュレートに対応しているディスプレイを使用しないともったいないことも分かりました。約12万円するコンソールのためにさらなる出費が必要になることがあるかもしれない点には、留意してください。
また、PS5 ProはPS4用ゲームタイトルの性能を引き上げる機能もあるため、『モンハンワイルズ』のために購入した方はPS4版『モンハンワールド』をプレイしてみるのも面白いかもしれません。
PS5 Proは、2024年11月7日より11万9,980円(税込)で発売。決して万人向けのコンソールではありませんが、より良い環境でコンソールゲームを遊びたい方には最高の選択肢になるのは間違いありません。
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