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【特集】シナリオライターが遊ぶ『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』―今再び、先帝の無念を晴らす! SFCの名作RPGを遊ぶ

Game*Spark / 2024年11月10日 19時0分

ビデオゲームに秀逸なシナリオが盛り込まれ、それを読み解くことも遊びの一部として受け止められるようになった現代……本連載記事では、古今東西のビデオゲームを紐解き、優れたゲームシナリオとは何かを考えていきます。第14回は『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』を取り上げます。


本稿は『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。


1993年にSFCで発売されたスクウェア・ソフトのRPG『ロマンシング サ・ガ2』。LV制の廃止、閃きや陣形、フリーシナリオに皇帝の継承など、どこを切り取ってもユニークで面白いRPGです。


この度、10月24日にフルリメイク作品『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』として、不死鳥の……いや、リヴァイヴァのごとく蘇りました。バトルシステムについて話すだけで数時間は持つほど奥深いゲームですが、今回はそのシナリオについて考えていきましょう。


主人公は北バレンヌ地方でバレンヌ帝国を治める皇帝レオンです。この時点で、同社の看板シリーズ『ファイナルファンタジー』のカウンターという感じがプンプンしますね。フリオニールやカイエンを苦しめた「帝国」ですが、玉座を温める人物がどんな者かによって善にも悪にもなれるというのが、このゲームを遊ぶことでよくよく理解できます。


……まあ、本作の皇帝も必ずしも善行ばかりするとは限りませんが……。


さて『ロマサガ2』の世界では、乱世が訪れると、七英雄と呼ばれる人物たちがやってきて世界を救ってくれると信じられていました。しかし、その希望は打ち砕かれます。バレンヌのそばにある港町ソーモンが、七英雄のひとりクジンシーによって襲撃されてしまうのです。


強大なクジンシーの力に敗れるレオンですが、帝国を訪れていた魔術師オアイーブから“伝承法”という秘術を授かり、その知恵と力を第2皇子ジェラールへと継承しました。以降、帝国はこの力を用い、七英雄たちとの長きに渡る戦いを繰り広げることとなります。


本作はフリーシナリオというシステムを名乗っており、どこへ行くのも自由です。文官のアドバイス通りに近隣諸国の問題を片付けるのも良し、すべてのイベントを無視していきなり東方の国に行くのも良しです(モンスターを避けまくるアクションゲームが始まりますが)。


前作『ロマンシング サ・ガ』から続くこのフリーシナリオという設計を成り立たせるためにゲームのシステム側で用意されているのが「敵勢力レベル」という概念。戦闘回数やイベントクリアなどのいくつかのトリガーによって、フィールドでエンカウントする敵が強くなるため、いつでも歯応えのある戦いが味わえるというわけです。


このフリーシナリオの骨子となるのが「七英雄」「年代ジャンプ」です。


七英雄はボスモンスターに当たり、とんでもないパワーで主人公たちに襲い掛かりますが、まずは彼らを探さなければなりません。彼らは彼らなりの理屈で世界を巡っており、タイミングによっては同じ場所にいないこともあります。


どうして彼らは世界を敵に回したのか? という大きな謎が『ロマサガ2』のシナリオの最重要ポイントなわけですが、今回のリメイクにあたり、その点が大きく加筆・修正されることとなりました。


原作にあった古代人との確執という点はやや抑えられ、タームというアリの魔物たちがよりいっそう凶悪なものとして描かれることとなったわけですが、この点は2018年に行われた演劇「SaGa THE STAGE ~七英雄の帰還~」を下地にしているように思いました。


この「主人公よりもボス側の物語に焦点が当たる」という点は非常に面白い試みで、31年経った今でもなかなか珍しいパターンなのではないかと思います。とはいえ、それはパーソナルな物語という意味合いであり、皇帝たちの物語が描かれないわけではありません。「年代ジャンプ」の件ですね。


パーティが全滅するか、一定以上のイベントをクリアすると、時が経ち、プレイヤーは次代の皇帝を選ぶこととなります。そして代替わりを何度も繰り返し、ようやく七英雄を倒すと、皇帝=プレイヤーが歩んだ道のりは「歴史」という形でまとめられ、吟遊詩人の詩に回収されるのです。


個人的で卑近な復讐の物語は七英雄たちが語り、伝説や歴史という大きなスケールの物語はすべてが終わったあとに吟遊詩人が語ってくれるという、この美しい対比が『ロマサガ2』のシナリオの魅力なのではないかと、筆者は考えています。


また、この「次代に継承される」ということが“帝国の(人間の)強さ”であると、我々はゲーム中に幾度となく体感するわけですが、本作の裏ボスを倒すと、この点についてまったく同じ内容の話を、別の立場から言われるのです(携帯アプリ版から追加されたアイツです)。


帝国にとってただの排除すべきモンスターでしかない連中からそんなことを突きつけられるとは……と絶句できる面白い展開です。単なる追加要素というわけではないので、ぜひとも最後の最後まで楽しんでください。


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