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日常の些細なことがステキに感じられる。『Danchi Days』は平成レトロ感溢れるアドベンチャーだった【デジゲー博 2024】

Game*Spark / 2024年11月13日 12時0分

2024年11月3日、秋葉原UDXにてインディーゲームイベント「デジゲー博 2024」が開催されました。本記事では、『Anodyne』などで知られるパブリッシャー・Analgesic Productionsが発売を予定している『Danchi Days』のプレイレポートとミニインタビューをお届けします。

インディーゲームオフイベ「デジゲー博 2024」取材記事はこちら!



舞台は“団地”。子どもながらの感性が光るADV


本作は、日本の団地を舞台にしたアドベンチャーゲームです。団地と聞くとなんだか懐かしさを覚えますが、本作では現代らしく高齢化というテーマを扱っています。主人公のホシノは、団地が大好きな女の子。相棒の可愛いかっぱ・モロキュウと共に暮らしています。


賑やかな団地で毎年開催されていたけれど、住民の高齢化でここ数年行われていない「夏まつり」を復活させたい……!という考えのもと、100人のキャラクターを招待して大きなお祭りを開催するのが、ストーリーを通しての目標です。


基本的な流れは、団地を探索していろいろなキャラクターに話しかけること。個性豊かで面白おかしい人たちにチラシを配って、夏まつりに参加してもらいましょう。試遊版では、泥団子作りが大好きなお姉さんや竹ぼうきを掃くおじいさんなどのキャラクターを招待できました。


本作の素晴らしい点は、日常生活にあるものや起こる出来事に、独特の感性で「良さ」を見出しているところです。穴を掘ってできた水たまりで泥団子を作る、竹ぼうきを掃く音に癒やされる、トイレの配管を流れる水の音で他の住民との繋がりを感じる……そんな些細なことを、「感覚ゲーム」というミニゲームを通じて感じられます。本作をプレイすると、世界がいつもよりステキなものに見えそうです。


本作では架空のインターネットでメールのやりとりやホームページの閲覧が可能で、ゲームの進行にも絡んできます。生活の中で気になるワードを見つけたら検索してみると、ヒントが得られるかもしれません。


そしてそんなインターネット上に、大きな敵が現れます。それは、インターネットのとあるブログ。そのブログは団地のことを「ガチでお年寄りと猫しかいない」「今ではウバ捨て山ww」「廃墟まっしぐら!」などとかなり言いたい放題です。


過激なクリック稼ぎ記事に最初こそ「むっか~!!」と怒るものの、ホシノは「私が本当の団地の姿を伝えて、この記事の作者にも見せてあげる!」と意気込みます。健気……!可愛い……!


グラフィックは平成レトロな印象です。GBA時代を思わせるドット絵や、昔っぽい雰囲気のホームページの明るい色使いもキュート。ホシノの表情もとっても豊かです。


ちなみに本作が影響を受けている作品は、ゲーム版『とっとこハム太郎』や『MOTHER』『ぼくのなつやすみ』『moon』といったタイトルに加え、なんと知る人ぞ知るGBAのアドベンチャー『さくらももこのウキウキカーニバル』も挙げられています。筆者も同作に影響を受けた作品は初めて聞きました……!


団地描写は実体験から生まれた!


ここからは、本作のシナリオを担当するsandy powder氏にお話を伺います。


――『さくらももこのウキウキカーニバル』から影響を受けているという作品は、初めて見た気がします。どういったところで影響を受けているのでしょうか。


sandy powder『さくらももこのウキウキカーニバル』は私の思い出のゲームです! 私の小さい頃の女の子向けゲームは可愛いハムスターを育てたり、着せ替えしたり、「ザ・女の子向け」というゲームが多かったんです。


ただ、『ウキカニ』は“カーニバルを開いて街を盛り上げよう”というのがゲームの目的で、「なんか他の女児向けゲームと違うな……!?」と子どもながらに感じていました。そこで本作では、そんな楽しさを日本の団地という舞台でやろうと考えました。


――本作で描かれる団地はどこか懐かしい感じがします。どういったこだわりがあるのでしょうか。


sandy powder私自身が今団地に住んでいて、人が集まって住む場所の理想形だと思っているんです。みんな、一軒家やマンションじゃなくて団地に住めばいいのに……と常々思うくらいに(笑)。団地って今はなんとなくネガティブなイメージが多いじゃないですか。そんな団地の印象を変えたい!と思いを込めて開発しています。


――グラフィックもGBA感というか、平成の暖かみがある雰囲気が良いですよね。


sandy powderグラフィックを担当しているmogumuさんはカナダ在住のアジア系カナダ人アーティストなんですが、日本のアニメを観て育ってるんです。「とっとこハム太郎」とか「カードキャプターさくら」とか。


日本出身ではないけれど同じ文化を観て育っていて、日曜朝のアニメを観終わったらちょっと切ない気持ちになる……みたいな懐かしい感性は、私が言わなくてもmogumuさんに伝わっています。そんな雰囲気をグラフィックで出せるように目指しています。


――テキストの書き方もほんわかしていたり、子どもならではの感性が光っていたりして、すごく良いですよね。排水管から音が聞こえて「団地は排水管で繋がっているんだ……」と感じる場面とか。


sandy powder実は、トイレのミニゲームは私の実体験なんです。私が住んでいる団地のトイレは排水管がむき出しで、毎朝トイレに入ると上階の人が流す音が聞こえて、親近感が湧くんですよ。


たまに咳払いも排水管を伝って聞こえて、「あ、上の人今日は体調悪そうだな。大丈夫かな」って思ったり。そういったことを主人公のホシノちゃんに投影しています。


――なんと、実体験だったんですね! 2026年発売とのことですが、これからの開発はどのように進めていくのでしょうか。


sandy powder本作は4章に分かれていて、1章ごとに夏祭り開催へのハードルをクリアしていくという作りになっています。例えば、第1章では団地の失われてしまった盆踊りを復活させる、第2章では祭の屋台を集めるという目的があるので、今後はそれを掘り下げながら開発できればと思っています。


――ありがとうございました!


『Danchi Days』は、PC(Steam)を対象として2026年に配信予定です。

インディーゲームオフイベ「デジゲー博 2024」取材記事はこちら!



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