“クトゥルフ崇拝”の教祖となれ。狂気のカルトコロニーシム『Worshippers of Cthulhu』で信奉者を導き、儀式を行い、モンスターを召喚し世界を征服するのだ【プレイレポ】
Game*Spark / 2024年11月14日 9時0分
今回はCrazy Goat Gamesが手掛け、2024年10月21日に早期アクセスを開始した『Worshippers of Cthulhu』のプレイレポートをお届けします。
クトゥルフ神話×都市建設シミュレーション
本作は、クトゥルフ神話を取り入れたコロニーシミュレーション。プレイヤーは、クトゥルフ崇拝の「指導者」となり、信奉者を引き連れさまざまな労働をさせたり、怪しい儀式を通して信仰心を高めたり、時には恐ろしいクリーチャーを召喚して戦い、他の地域を征服して勢力を拡大していきます。
2024年10月21日より早期アクセスを開始し、執筆時点でSteamレビューは434件中90%がポジティブな「非常に好評」ステータスを獲得しています。
特徴として、怪奇小説の先駆者・H.P.ラヴクラフトが描いた所謂“クトゥルフ神話”をベースにした独特の世界観と、食料の生産や貯蔵といったクラフトおよび資源管理、信者の使役と細かな行動管理、信仰心を高める狂気的な儀式、家や製材所、生贄の祭壇まで幅広い建築要素など、ゲームの土台もしっかりとした品質の高い都市建設シミュレーションが融合しています。
とりわけ、プレイヤーが直接信奉者にナイフで血のサインを刻み込む宗教行為は、残酷かつカルトな世界感にマッチしていて没入感が高めでした。中には、ふざけて「肉」とか「ピカチュウの尻尾」を彫ったプレイヤーもいるようです。
とはいえ、住人の管理機能が不便で面倒だったり、視野角度がやや見づらく画面を把握しにくかったり、ゲーム世界の情報量が多く煩雑だったり、QoLに関する不満点もいくつか見られました。
日本語対応が有り難い。操作はコントローラーを推奨
操作は、キーボード及びコントローラーに対応。シム系は入力が多く必然的にキーボード&マウスが良さそうですが、本作はコントローラー操作にも完全に対応しているので、こちらでのプレイもおすすめです。
そして有り難いことに、言語も日本語字幕/インターフェイスに対応。Steamレビューでも指摘されていた通り、チュートリアルやイベントなどの細かい部分から「ネクロノミコン」の記述まで、意訳の難しい「クトゥルフ神話」に関する文章の翻訳精度は完璧に近く、本作の世界観に没頭出来ました。その他の設定は、グラフィックスや音声など基本的なものです。
深遠なる“クトゥルフ”を呼び覚まし人類を超越せよ
オープニングが始まります。曰く、「我々人類は脆弱であり、宇宙の主たるクトゥルフを目覚めさせることによって、この弱々しい存在を超越できる」とのこと。初っ端からカルト臭全開ですが、これがクトゥルフ崇拝の「指導者」たるプレイヤーに課せられた崇高なる使命のようです。
そんな教団がたどり着いたのは、予言された約束の地「ドリームシュラウド」。ひとまずは、ここに拠点を作って開拓していきます。ちなみに、この怪しさ満点の男が物語の進行と、次の目的やヒントをくれるお世話係も兼ねていて非常に頼もしい存在です。
ユーザーインターフェースは各機能が画面上にスッキリと纏まった見やすい印象で、シム系作品を遊んだことのあるプレイヤーにとっては特筆することのない感じでしょうか。ですが操作系統や情報量がかなり多いので、特に初心者は慣れるまで時間がかかりそうです。
そんな“新米教祖”をサポートするのは、懇切丁寧なチュートリアル。テキストに加えて短い動画も付いており、基本操作などを詳しく説明してくれていて非常に分かりやすい。
さらに「ドリームアーカイブ」を開けば、何度でもチュートリアルを再確認することが可能。全体的にユーザーフレンドリーな設計でした。
視点移動は拡大、縮小、回転と機能性も操作感も悪くはないんですが、個人的には上下方向における視野角の狭さが少し気になりました。
崇高な使命を果たすには、土地を開拓して拠点を築かねばなりません。そのためには生産施設や居住空間などさまざまな「建設」を行っていきます。
建築メニューはツールバーからコテゴリ別に選択可能で、道路の敷設や住宅といった基本的なものから、祭壇や神殿まで幅広くラインナップ。機能的には、建設物の移動と回転くらいしか出来ない点が残念でした。
実行には資金や資材、維持費など色々な建設コストがかかります。最初のうちは資源をマップから回収して揃え、「木こり場」や「製材所」などを建てて下準備をしていきましょう。
さらに、路上生活する信奉者たちに住宅を建設すれば「労働者」として働かせることができ、それぞれの作業場に割り当てることで効率良く生産活動を行えます。一連の流れは、他のシム系作品と同様にオーソドックスなもので、一見特に変わった所は無いように見えますが……
ここはクトゥルフ神話の世界。生贄の祭壇や神殿など、さらなる信仰心を高めるため「儀式」を執り行い「超自然の恩典」と引き換えねばなりません。
神を祝福するには、生贄の祭壇で特定素材の供え物を捧げクトゥルフ仕様の奇妙な「彫像」を作る必要があります。そして、“信仰出費”という名のお金と時間(60秒)のコストを払い「刻み込み」を行うと……!
なんと地下深くから巨大触手が一気に現れ、出来立てホヤホヤの彫像を奪い去って行きました。どうやら、これが我ら教団が崇める「深遠なる主」であり、信仰すべき不気味な邪神……もとい、ありがたい神様のようです。
この神聖なる儀式が完了すれば、あらゆる場面で有用な「儀式ポイント」をゲット可能。それを使用して教団を拡大するためのさまざまな建物をアンロックしていきます。
例えばトウモロコシ農園だったり、クラム収集港だったり、信奉者たちの多種多様な「欲求」を満たすための施設を建てて供給すれば、多くの「信仰」が生成され、彼らはより忠誠心を抱き懸命に働くようになります。このあたりのシステムは、他作品と一線を画す本作ならではの個性だと感じました。
他にも、定期的にバラエティ豊かでストーリー性のある「イベント」が起き、プレイヤーの判断が試されます。選択によっては儀式ポイントやアイテムが入手できることも。しかし、結果として罪なき人々を殺害したり、略奪したりと狂信的な行動に繋がってしまう場合があります。
教団のカルト的側面が最大限発揮されるのが、この「刻み込みの儀式」。なんとプレイヤー自ら短刀を握り、無垢な信奉者の背中へダイレクトにタトゥーを彫っていくのです!いったい何のためにこんな残虐な行為を……最初のうちはかなりの嫌悪感でした。
刻み込みは「本」を参考に、様々な職業を示す「記号」を選び、彫るサイズと大まかな場所を決めて行います。そうすると、この信者一家は知識と効率性を身につけた「専門職」の家系となる仕組み。共同体が拡大し、人口が増えてきたときに役立つはずです。
ちなみに、範囲内であればどんなタトゥーを刻むのかは自由。どうやら、Game*Sparkの神的存在「スパ君」を彫った信心深い歌人がいるとかいないとか……
とにかく『Honey, I Joined a Cult』や『Cult of the Lamb』のように、完全なる邪教側でプレイ出来るシミュレーションゲームは貴重で没入感も高くとても楽しい経験でした。
異形の“ホラー”を召喚し、世界を制圧せよ
こうしてドリームシュラウドに拠点を築き、狂信的な信奉者が増え内政も安定してきた現在、教団の次なる野望は対外へとクトゥルフ崇拝を広め、世界を征服することです。
そのためには、「召喚の祭祀」という巨大建造物をつくり、羊の血液や信仰など一定コストを支払います。すると“ホラー”と呼ばれるおぞましいクトゥルフ・モンスターを召喚し操ることが可能に。
そして魔導書「ネクロノミコン」には、そんなモンスターの生態が記されており、最大HPや攻撃力、素早さといった固有のステータスを確認することができます。
今回召喚したのは、「アザシール」という深海魚のようなホラーで、俊敏な代わりに脆いのが特徴的。
王蟲そっくりの「ユゴサール」は、攻撃速度は遅いが巨体で耐久力のある強力なクトゥルフ・モンスター。この獣たちを使って行く手を阻む敵の船を沈めたり、土地を侵略していくのは非常に新鮮で楽しく、クトゥルフ世界への没入感を高めてくれました。
そして激しい戦闘を経て、新たな開拓地「黒砂島」を征服することに成功。豪華な報酬と広大な土地を手に入れます。これで、さらなる教団の拡大と信奉者の増加が見込めそうです。
しかし、初の征服地に酔いしれたのも束の間。黒砂島にある「夢の尖塔」を調査したところ、主の怒りに触れてしまいます。曰く、教団の能力不足はすでに容認できないレベルに達し、罰として「クトゥルフの忍耐」という過酷な掟が導入されてしまいました。
忍耐ゲージは時間経過で徐々に減っていき、クエストや儀式、生贄の供物など神に対するあらゆる喜ばしい行動を起こすことで増加し、もしゲージがゼロになると敗北してしまいます。一応オンオフの切り替えが可能ですが……とても緊張感のあるシステム。
果たして、教祖としてクトゥルフ崇拝を広め世界を制圧できるのか、それとも神の怒りの前に破滅するのか……ぜひプレイヤー自身が確かめてください。
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タイトル:『Worshippers of Cthulhu』
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対応機種:Windows PC(Steam)
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記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
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発売日:2024年10月21日
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著者プレイ時間:6時間
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価格:2,800円
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパ君のひとこと
都市建設要素や儀式などのクトゥルフ要素も楽しくついつい夢中になったスパ!
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