ライフシム『inZOI』開発者インタビュー!「自由度を最大限まで高めること」と「本当の人間のような感情や動き」を徹底的に追求【G-STAR 2024】
Game*Spark / 2024年11月22日 19時0分
11月14日から17日にかけて、韓国・釜山にて大規模ゲームイベント「G-STAR 2024」が開催されました。このイベントに合わせ、Game*Sparkはライフシミュレーションゲーム『inZOI』の開発者であるキム・ヒョンジュン氏にインタビューを実施。同作の内容と開発へのこだわりについて伺いました。
『inZOI』とはプレイヤーが自分の世界のあらゆる側面を変化させ、ユニークなストーリーと体験を作り出すことができるライフシミュレーションゲーム。現実世界と同じように仕事を見つけて生計を立てながら、交流を通じて深い人間関係を築くことができる作品となっています。
ユーザーのクリエイティビティを最大限に活かして、自由度の高いゲームプレイを
――最初に、『inZOI』が影響を受けた作品についてお聞かせください。
キム・ヒョンジュン: 本作は『ザ・シムズ(The Sims)』シリーズから多大なる影響を受けています。『シムピープル』『ザ・シムズ2』を開発したチャールズ・ロンドン氏らに直接会い、アドバイスを受けつつ制作しました。その中で『ザ・シムズ』シリーズには「キャラクター」「ビルディング」「ロールプレイ」「社会経験」という4つのモチーフがあることを学び、『inZOI』でもこれらの要素を中心に据えています。
まず本作の「キャラクター」であるZOIについて。『inZOI』では、プレイヤーが想像できる範囲のものを全て作れるように意識して開発をしています。性別や人種、ひいては種族まで選択ができ、目元や目尻の角度まで細部にこだわったキャラクターメイクが可能となっています。爪や指輪、時計などの装飾品に至るまで、全てがカスタマイズできるよう開発を進めています。
――建築やハウジング要素についてお聞かせください。
キム・ヒョンジュン: 本作では自由度を意識し、道の途中に家を立てて住むことや、道路自体をプレイヤー自身で造ることも可能にしています。インテリアなどの建築に関するアセットは現時点で1,500種類以上を用意しており、発売時には2,000種類にまで増やす予定です。
また、プレイヤーが自宅の間取りやレイアウトを快適に設計できるよう意識しています。部屋の壁から家具までひとつずつ設計・設置することも可能ですが、複数のプリセットを組み合わせるだけでも、思い通りの部屋が十分に作れます。プリセットの部屋は重なり合うように配置することもでき、壁や家具が干渉する箇所は自動でレイアウトが調整されるため、大胆な間取りも構築できます。
――制作した部屋などは、ユーザー間で共有できるのでしょうか。
キム・ヒョンジュン: 作った部屋やアイテムなどは、「キャンバス」という作中におけるInstagramのようなシステムにアップロードすることができます。そこでは、ユーザー間で「いいね」を送り合ったりシェアすることができ、もし気に入れば、他のユーザーが作ったアイテムを自分がダウンロードして使うこともできます。
またゲーム内には「3Dプリンター」の仕組みを導入予定です。ゲームに写真を取り込むとAIが自動で3D化して、アイテムとして使用できるよう開発しています。また自分が撮影したモーションを取り入れて使用することも可能にしています。とにかく「ユーザーのクリエイティビティを最大限活かして、ゲームプレイの自由度を高めること」を意識しています。
なるべく本当の人間のような、感情表現や動きに
――『inZOI』では、自分で作成したZOIにどのような行動を取らせることができるのでしょうか。
キム・ヒョンジュン: それについては「ロールプレイ」と「社会経験」要素として説明します。現在、ZOIの1日のスケジュールをまるごと編集できるように開発を進めてます。いつ、どこに行けるか……例えば会社の勤務時間を縮めることもできますし、残業させることも可能。サボることも可能です。このシステムは2025年3月末の早期アクセス版でも搭載予定です。
ここで重要としているのは「なるべく本当の人間のような、感情表現や動き方にすること」。本作は「猫」をマスコットとしていて、これにはひとつのテーマがありました。 ネコやイヌを我々が可愛いと思う瞬間は、人間のような行動をしたときなのです。モノを取ろうとして立ち上がったり、落ち込んでしまうとご飯を食べなかったり。この感覚をZOIを通じてプレイヤーに与えられるよう、開発を進めています。
「自由度」と「人間らしさ」が共存したMODフレンドリーなゲーム
――「MOD対応」についてお聞かせください。既に高い自由度を用意しているということで「MODは不要」とまで思えますが、プレイヤーの欲求はある意味無限大ですよね。MODサポートを期待するユーザーに向けて、どのように考えられていますか。
キム・ヒョンジュン: 本作はMODフレンドリーな作品で、MODを制作できる公式のキットもリリース予定です。CurseForgeと協業して、便利にMODの共有やアップロードが行えるシステムを提供することも決定しています。
ただ、MOD開発をユーザーに開放することで、完全に「自由度」に制約をなくしてしまうと、ZOIたちが「平気で人を殺してしまう」など、本作の大きな目的の「人間らしく暮らしていける環境」が失われる可能性があります。そこで、最低限の倫理を守る仕組みとして「カルマシステム」を用意しました。ZOIが死亡するまでに行ってきた善行と悪行を数値化する要素です。善行を多く積んだZOIは、死んでからも幽霊となってこの世界に残るようにしています。
本作は発売後も、マップやいくつかのカスタマイズ要素を無料でアップデートし、提供する予定です。最終的には、町中の全ての呼び鈴を押すことができ、そこから住人が出てくるようなゲームまでアップデートさせたいですね。新たな都市も追加する予定ですが、まずは今用意している街の完成度を最大まで高めていく方針です。
『inZOI』は、2025年3月28日にSteamで早期アクセス版を配信予定。日本語での動作もサポートしています。
提供:Nexon
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