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2024年の顔となった『エルデンリング』DLCと『FF7リバース』が「GRAND AWARD」を受賞!「PS Awards 2024」メディアインタビュー

Game*Spark / 2024年12月3日 23時7分

初代のPlayStation発売からちょうど30周年を迎えた2024年12月3日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、「PlayStation Partner Awards 2024 Japan Asia」を開催しました。


2023年10月から2024年9月までの1年でヒットしたPS5/PS4向けタイトルを表彰する本イベントでは、「GRAND AWARD」や「PARTNER AWARD」、「SPECIAL AWARD」といった各アワードについて受賞タイトルが発表されました。


そこで本稿では「GRAND AWARD」を受賞したフロム・ソフトウェアの『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』と、スクウェア・エニックス『FINAL FANTASY VII REBIRTH』について実施されたインタビューの内容をお届けします。


『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』


インタビュイー:フロム・ソフトウェア 宮崎英高氏(ディレクター)


――まず「GRAND AWARD」の受賞、および『ELDEN RING』による「PLAYSTATION GENERATIONS AWARDS」の「PlayStation 4 Generations」受賞について一言お願いします。


宮崎英高氏(以下、宮崎):この度は「GRAND AWARD」および「PlayStation 4 Generations」という栄えある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。


「PlayStation 4 Generations」については、我々がいただいてしまっていいのかなという思いが強いのですが、ありがたくお受けしようと思います。ありがとうございます。


――本作はDLCという枠を超えるほどのボリュームと密度で、ユーザーの遊び方もとても多彩だったと思います。発売後の遊ばれ方で、宮崎さんが印象に残ったものがあればお聞かせください。


宮崎:色々と印象に残る遊び方というのはたくさんありました。例えば、いわゆるノーダメージ攻略を楽しく見ているんですが、DLCに登場するアイテム「弾く硬雫」を使用したノーダメ攻略というものを、すごいなと思いながら楽しませていただいています。僕には到底できません(笑)。


――圧倒的な完成度とボリュームを誇る本作に追加でDLCを用意するという試みにおいて、最も苦労したポイントについてお聞かせください。


宮崎:苦労したポイント自体は結構ありますが、一番というと、やはりコンセプトでもあった「冒険感」をDLCの中でどのように表現するのか、という部分に苦心しました。


結局、DLCとしてはかなり大きなボリュームになってしまいましたが、そういった判断というのも、ひとえに「冒険感」のためということになります。


――「SHADOW OF THE ERDTREE」は、一本のゲームに相当するボリュームといっても過言ではないと思いますが、スタンドアロン作品として販売しようという考えもあったのでしょうか?


宮崎:そういった考えはありませんでした。もとからDLCとして計画されたものですし、ゲームボリュームも先ほど話しお話したとおり、『ELDEN RING』らしい冒険感のためにこれくらいは必要だろうという判断でしたから、結果的に多くなってしまっただけです。その発想は、今聞いて初めて考えました。


――本編の評価が高かったがゆえに、DLCに対するユーザーの期待値も高かったように思います。しかし、その期待を超えることで、多くのプレイヤーが本DLCを楽しめました。そんな期待以上の満足度を提供できた秘訣をどう考えますか?ユーザーに、より満足してもらうために意識したことなどがあれば、教えてください。


宮崎:その点に関しては、先ほども触れたゲームボリュームの部分ですね。「冒険感」のために必要なボリューム、あるいは探索要素といったものをしっかり作りこむ、ということが大きかったと考えています。


また一方で、正直なところ本編もそうでしたが、DLCについては反省すべき部分も多くありました。現状では真摯にそれを受け止め、次に生かしていこうと反省しているフェーズですね。


――DLCをリリースしたことで一区切りを迎えたように感じますが、『ELDEN RING』としての今後の展開はどのように考えていますか?本作のシリーズ化をお考えでしょうか。それともまた新たなIPでしょうか。


宮崎:『ELDEN RING』について言うと、現時点では続編といったような展開は特に考えていません。ただ、これは何度か話していることですが、『ELDEN RING』というIPの今後の展開を否定するものではないということだけはお伝えしたいです。


この場でお話できることはほとんどないのですが、フロム・ソフトウェアとしては通常通り複数のプロジェクトを進めており、その中には様々なバリエーションがあります。ぜひ、ご期待いただければと思います。


――『デモンズソウル』から『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』まで、フロム・ソフトウェアが世界に与えた影響は計り知れません。新作への期待など、日々プレッシャーも多いと思うのですが、宮崎さんにとってのリラックス方法があれば教えてください。


宮崎:人並みにありますよ。家族と過ごしたり、アナログゲームをしたり、美味しい物を食べたり。ただ、もともとそこまでプレッシャーを感じる方ではないので、あまりリラックスしなければ、という強い意志に囚われることはほとんどないですね。


ユーザーに期待されている状況がプレッシャーではないかと言われることもありますが、期待されている状況というものはそもそも貴重で、得難いものだと考えています。プレッシャーよりも、まずとてもありがたいという思いの方が強いですね。


――DLCはマップの広さや新武器、新戦技などボリュームの大きさが話題になりました。これは開発スタート地点で元々想定していたレベルだったのでしょうか?


宮崎:はい、開発スタートの時点で、先ほど話した「冒険感」のためにはこれぐらいのボリュームが必要だろうという判断です。同時に開発期間やコストなども、それ前提で最初から計画されていました。


――本編、DLCともに海外での人気がとても高いことが印象的です。本作の影響に関して、海外ファンならではの見方や捉え方で面白かったものがあればお聞かせください。


宮崎:ユーザーの反応を考える時に、国内や海外、あるいは各地域などを気にすることはほとんどありません。本作やそれ以前のタイトルの時から感じているのは、どの国の方々であれ、ゲームを楽しむという点においてはみんな変わらないなということです。


いちゲーマーとしてはそれがとても嬉しいですし、勇気づけられることが多いです。大げさな言い方ですが、僕も含めて、みんなゲーマーという人種なんだなという安心感を覚えます(笑)。


――本編のマスターアップからDLCのリリースに至るまで、開発メンバーのモチベーションの源になっていたものがあればお聞かせください。


宮崎:一人一人の開発メンバーのモチベーションを確認しているわけではないのであくまで推測ですが、DLCについては『ELDEN RING』に限らず、本編を遊んだプレイヤーたちの反応をベースに、そこに感謝する気持ちで作るという部分が一番大きいと思います。


――次回作はどういった作品になるか考えていますか?ファンタジー、SFなど、ジャンルだけでもお聞かせください。


宮崎:答えられない、という感じですが……(笑)。先ほども言った通り、複数のプロジェクトが進められていて、ジャンルも多彩です。その中には私がディレクションするタイトルもあれば、私以外にディレクターが担当するものもあるので、そういった点でも色んな形で新しいものを見せていけると考えています。ぜひご期待ください。


――それでは最後に、今回のアワードを通じてユーザーへのメッセージを一言お願いします。


宮崎:受賞させていただくことも多く、毎回同じコメントになってしまい申し訳ないのですが、本当に遊んでいただき、支持していただき感謝しています。皆さんから力をもらっていますし、そういった力、あるいは我々自身の反省点も含めて、もっといいゲームを作るという形で皆さんに還元していきます。ぜひご期待ください。


――ありがとうございました。


『FINAL FANTASY VII REBIRTH』


インタビュイー:スクウェア・エニックス 浜口直樹氏(ディレクター)


――まず「GRAND AWARD」と「USERS’ CHOICE AWARD」のダブル受賞について一言お願いします。


浜口直樹氏(以下、浜口):「GRAND AWARD」と「USERS’ CHOICE AWARD」の受賞、とても嬉しく思います。年末に差し掛かって、各国で様々なアワードが発表されて世間が賑わっているかなと感じています。


今日の「PlayStation Partner Awards」の「GRAND AWARD」に関しては他のアワードと違い、世界での売り上げでの評価というところで、ユーザーの好みという部分ではなく、実際にビジネスという観点での評価というところが私自身非常に嬉しく思っていますし、光栄に感じております。本作を一緒に作ってきたチームにも、非常に感謝しています。ありがとうございます。


――『FF7 リメイク』から続く2作目のタイトルですが、前作の経緯から本作の制作に生かされたポイントがあれば教えてください。


浜口:今まで『FF』フランチャイズは、1タイトルを作ってから次のナンバリングを作るとなると比較的チーム構成が大きく変わるようなことが多かったのですが、『FF7』のリメイクプロジェクトに関しては、『リメイク』開発チームのメンバーがほとんどそのまま『リバース』に流れてきた形となります。そういった意味では前作の開発で培ったノウハウをそのまま活かすことができ、さらに大きくチャレンジできたところが、作品のクオリティに繋がったのではないかと考えています。


――前作をプレイしたユーザーからのフィードバックで本作に反映した部分があれば、教えてください。


浜口:ユーザーからのコメントと、私自身が『リメイク』を開発していた時に感じて、次にチャレンジしたいと考えていた部分が同じベクトルを向いていました。『リメイク』はミッドガルを脱出するという早い展開のストーリーラインがあり、ユーザーの自由度や選択を持たせるようなゲーム体験よりも、ストーリードリブで、ジェットコースターのように進んでいくゲーム体験となりました。


ですがユーザー側としては、ストーリー体験も重要ですが、そのゲームの中でどう自分らしく世界観に触れ合えるかということが求められる時代だと考えています。私自身もそこは作りながらも感じており、『リメイク』をリリースした後に、 もっとミッドガルを自由に探検したかったという声もいただいていました。


そこを今回の『リバース』では、広大なワールドマップにクラウドたちが冒険に出るつくりにしました。広い世界をユーザーの観点で自由に探検して、自分なりに攻略してもらうゲーム体験を実現したかったという思いは、『リバース』開発中に非常に強くありましたね。


――本作の開発においては、3部作の2作目ならではの難しさやプレッシャーがあったかと思いますが、どう乗り越えられたのでしょうか?広大なフィールドなど1作目と異なる部分も多いと思いますが、最もチャレンジした部分とそれに対する手応え、ユーザーの反応について教えてください。


浜口:私自身、子供の頃にオリジナル版の『FF7』をいちユーザーとしてプレイをしていました。それが今こうして手掛ける立場になり、プレッシャーもあるのでしょうが、自分としてはワクワクしながら楽しんでいるというのが本音ですね。


開発チームも私と近い年代だったり、子供の頃に『FF7』をプレイして影響を受けてクリエイターになったような人ばかりです。日本人だけでなくアジア圏からのスタッフなども幅広く開発に関わっているので、チーム全体が『7』に対してリスペクトを持っています。なのでプレッシャーというよりは、楽しんで開発しているというのが本音ですね。


どこをこだわったかについては一つ前の質問に通じるところがありますが、今作はストーリーを重視するというところはもちろん、ワールドマップに対していかに広さやスケール感、ユーザー自身がどう探索してどう体験できるかという部分を重視していました。なので、そこに対してのチャレンジはプライオリティを高く開発していましたね。


開発当初、最初の1年ほどは色々と試作をしている期間だったのですが、とにかくワールドマップの広さをしっかり定義して、そこにどれくらいのコンテンツ量を置くかあらかじめ決めるという作業に時間をかけました。


特に近年のオープンワールドジャンルは、特定の区画を区切ってこの空間で自由に探索できますよという形式が多いと思います。しかし『FF7』の場合は原作ありきの世界を冒険していくという体験を実現しないといけません。とはいえ、実際の世界スケールな広さをゲームで実現するのは難しい。世界を旅していると感じられる広さだが実際に開発はできるギリギリのライン、という部分を最初に定義するというのは非常にチャレンジングでもあったし、非常に楽しい作業でもあったなと感じています。


結果としてワールドマップを自由に探索できて、様々なコンテンツやミニゲームを体験できたという部分が、多くのユーザーやメディアからの高評価につながったのかなと。その部分は非常に手応えを感じたので、次回作に活かせるようにしたい考えています。


――ユーザーからの反響が大きかった要素をお聞かせください。


浜口:私はゲーム開発において、『リメイク』や『リバース』でもそうでしたが、開発チームに一つの分かりやすいコンセプトを提案してディレクションします。今作の『リバース』においては「絆」というものをチームに掲げていました。


なので、バトルシステムにおいては連携技が組み込まれたり、サイドコンテンツであればクラウドと仲間たちの関係性を表現してあげて、それを積み重ねていくことでデートイベントに繋がったりするなど、基本的にコンセプトに基づいてゲーム全体をデザインする方法を重要視しています。


それがユーザーに届いて良い反響をもらったという部分は手応えを感じたので、その部分は私の中でやってよかったと思える点ですね。


――伝説的なタイトル『FF7』を再構築する上で、最も重視された部分をお聞かせください。また、『FF7』リメイクの完結編を控えていますが、お話できる範囲で意気込みなどをお聞かせください。


浜口:リメイクではありますが分作のプロジェクトですのでを原作と全く同じものをただ作り直すだけだと、どうしてもユーザーの興味や好奇心が薄れてしまいます。そこに対して何かしらのエッセンスを加える必要があるといのは、このプロジェクトが立ち上がった時に決まっていました。ただ、それがパロディ的な、これまでの『FF7』 と全く違うものにならないように気を付けました。とてもファンが多いIPですので、なるべくオリジナルの要素をリスペクトしながら開発しています。


オリジナル版では初代PSでしたから、昔のハードウェアの制約によって表現したくてもできなかったところがたくさんあったと思います。ですが今のPS5では、スペックの高い環境でよりディテールを表現できるようになりました。そこで開発チームには「懐かしくて新しい感じ」をユーザーに届けたいと話していました。


全く新しいものよりも、オリジナルの懐かしさなどが含まれつつ今風にアレンジされているから、懐かしいけれど新しく感じる。という部分をこれまでの2タイトルでは注意して開発しており、3作目に対しても同じ気持ちで開発する必要があると考えています。


3作目に関しては、当然三部作で完結するという形で開発を進めているので、本当に最終作という風に位置づけて開発しています。非常に多くのファンがいるIPですので、どういった結末になるかも含めて大きな期待をかけられているでしょう。その期待に応えられるような作品に仕上げたいと、開発チーム一同、作業を進めています。


――『リバース』では作中のゴンドラデートにおいて、ティファとの好感度をマックスにすることでクラウドとのキスシーンが描かれました。これは初代『FF7』発売から約27年間で初めてであり、ファンに大きな衝撃を与えました。どのような意図でこのキスシーンを入れたのか教えてください。


浜口:すごいマニアックな質問ですね(笑)。


ここは実はちょっと明確な意図があります。『リメイク』でも最後の神羅ビルに向かう前にお互いの決意や気持ちを固めるため、ティファやエアリス、バレットなどと分岐のイベントシーンがあったのですが、その時にクラウドがティファを抱き締めるシーンがあったんですね。


それで、『リメイク』から『リバース』に繋がった時にクラウドも成長していって欲しいという思いがあり、前作で抱き締めたのであれば、『リバース』ではそれ以上を求めた方がいいんじゃないか?という話がチームの中でも起こりました。その中であのような表現になったのです。


――『リバース』発売後のユーザーの反響を見て、3作目の開発に関して元の構想から変更した部分などはあるのでしょうか?


浜口: 大きな変更はないですね。『リバース』に関しては私自身がイメージしたゲームの設計だったり、デザイン、バランスというところは自信を持ってユーザーに届けましたし、それがしっかりユーザーに届いたと判断しています。なのでゲームの根幹の部分において、『リバース』の反響によって3作目で直さなければならないと感じた部分は特にありません。


ただ、一点だけ私が『リバース』でものすごく反省していることがあります。本作ではコンテンツ量が多かったので、すべてのコンテンツをプレイしたユーザーの割合は非常に少ないと考えています。


それ自体は間違っていなかったと思いますが、そうしたサイドコンテンツとトロフィーを繋げてしまったので、プラチナトロフィーの入手率2%くらいになってしまいました……。ちょっとやりすぎたなと反省しています。次回作ではもっとプラチナトロフィーを取得しやすいように易しい作りにしようと考えています。


――アワードを受賞したことに関して、ユーザーの皆様へメッセージをお願いします。


浜口:本作は今年の2月に発売してもう10か月ほど経ち、日本をはじめとして北米やアジア圏、中東なども含めて、様々な地域に行ってメディアやファンコミュニティと触れる機会を作ってきました。『FF7』は20年以上前に日本から生まれたIPですが、それが本当に多く国のたくさんの人々に愛されるものになっていると実感しています。


3作目の制作を今進めていますが、多くの人の気持ちにしっかりと届くタイトルに仕上げて、この3部作のフィナーレにしたいと考えています。ぜひ期待して待っていただければと思います。


――ありがとうございました。

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