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怒涛の殺意と変なギャグが待っている伝統的ローグライク・ワンダーランド!『変愚蛮怒』【げむすぱローグライク/ローグライト部】

Game*Spark / 2024年12月15日 19時0分

自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今週の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第10回では、現在フリーソフトとして配信されている伝統的ローグライク『変愚蛮怒』をご紹介します。


『変愚蛮怒』とは


『Rogue』そして『NetHack』から派生したローグライクゲーム『Moria』を基に海外で『Angband』として改良されたゲームを直接の祖先とし、それにアメリカのファンタジー小説「真世界アンバー」の世界観を付与した改造版『ZAngband』の日本語版を、さらにMr.hoge氏が改造し、さまざまな有象無象のパロディを無数に注ぎ込んだゲームが『変愚蛮怒』です。2000年に公開されて以降、現在(2024年12月中旬)に至るまで無数の更新が続いており、2024年12月中旬の最新版は3.0.1.21(Beta)となっています


『変愚蛮怒』のゲームの目的はたった1つ、それは「鉄獄地下100階に棲む“混沌のサーペント”を倒すこと」だけです。しかし、その目的を達成するためには何十人、何百人といった「@」たちの犠牲と、その勇者たちの記憶を受け継ぐ「プレイヤー」の莫大な知識が必要となるでしょう。本作のスクリーンショットはテキスト表示の画像主体で、見た瞬間「ハードル高すぎやろ!」と思った方も多いと思いますが、どうかおしばらくお付き合いくださいませ。


変愚蛮怒の宴はキャラクターメイキングから始まる


『変愚蛮怒』を開始すると、まずは性別・種族・職業を選ぶキャラクターメイキングの始まりです。性別はあまりゲームに関係ないので、気負わずに好きな方を選びましょう。


そして本作『変愚蛮怒』では、選べる種族がなんと38種!選んだ種族によって能力値やレベルアップに必要な経験値、そして種族特有の特殊能力など様々な差が現れるのですが、数が圧倒的すぎて、初めての方はいったいどの種族を選んだらいいか途方に暮れることでしょう。ここは癖のなさそうな「人間」を……と選びたくなるでしょうが、本作における人間は長所が全くなく、はっきり言って上級者の縛りプレイ向けの種族です。


癖がなくて強く、かつ感情移入しやすい種族は「ハイエルフ」で、戦士系でも魔法系でも活躍できる万能種族です(レベルアップに必要な経験値が多いのだけが欠点)。感情移入はしにくいし、食料補給が普通の食糧の代わりに杖の魔法力を食べるという特殊性こそありますが、「ゾンビ」も近接戦士系職に向いた種族であり、意外と初心者向けです。


そして、選べる職業はなんと29種。「()で囲まれた選択肢はこの職業には似合わない職業」という注意書きがありますが、実際のところこの注意書きはあまり気にする必要がありません。まず、本作のゲーム性に慣れるのであれば「戦士」を選ぶのが無難でしょう。ゲームに慣れてくると「盗賊」「レンジャー」「修行僧」「剣術家」「忍者」といった物理系職業を選んでみてもいいかもしれません(すいません、魔法系職業は筆者はあまり手を出していないのでわかりません)。


なお、「観光客」は(終盤に非常に強力な専用アイテムこそ用意されているものの)縛りプレイ向けに意図的に用意された弱小職であり、初心者が選ぶものではありません。


さらに本作独自の要素として「性格」があります。ちょうどリメイク版『ドラゴンクエストIII』から輸入した要素で、選んだ性格により能力値補正やさまざまな特殊能力が付きます。この性格によってキャラクターの長所を伸ばすも、短所を補完するもプレイヤー次第です。


なお「いかさま」はその名の通り公式チート機能であり、能力値が異常に伸び圧倒的にプレイヤー有利になります……が、チートということでスコアが残りません。どうしても無双プレイがしたい人や、制限なしのRTA走者向けの性格です。「なまけもの」は「観光客」同様縛りプレイ向けのマイナス補正が付く性格で「チャージマン」はネタなので、初心者は選ばない方がいいでしょう。


プレイヤーを女性にすると性格に「セクシーギャル」が現れ、『ドラゴンクエストIII』同様に全能力にプラス補正が付く強力な性格……なのですが、この性格を選ぶとキャラクターに常に反感が付き(どこにいようが敵に真っ先に気付かれる)、集団で袋叩きにされる可能性が高くなるのでやはり初心者向けではありません。


その後は初期オプション画面が表示されますが、これはデフォルトから変更することなく即ESCキーでスキップしてかまいません。


そして能力値を決めるダイスロールに移るのですが、本作にはキャラクターに必要な能力値が出るまで自動でダイスロールを行ってくれる「オートローラー」が実装されています。例えば戦士であれば「腕力」「器用」「耐久」の能力値が欲しいので、この値を可能な限り高めに設定して「決定する」を押すことで、その能力値が出るまで自動的にダイスロールを行ってくれます。この機能により、いわゆる「ボーナスポイントのリセマラ」は必要ありません。というか、個人的には能力値やボーナスポイントのリセマラを要求するようなゲームにはこの機能を搭載してくれ!と常々願っています。


最後に名前を入力し、キャラクターの生い立ちを(自動生成文が気に入らなければ)編集して、キャラクターメイキングの完了です!


……まあ、ここまでキャラクターメイキングについてごちゃごちゃ言いましたが、どうせ最初の数キャラはゲーム開始して10分以内に死ぬだろうからいろんなキャラメイクを試して損はないし、あまり気合を入れてキャラクターメイキングし過ぎると「あの時間は何だったんだ……」と後悔するハメになりますよ!


いきなりフィールドに放り出される過酷な冒険。まずはクエストをこなせ(そして死ね)


ゲームを始めると、いきなり街の入り口らしき場所に放り出されています。チュートリアルも何もありません。これが『変愚蛮怒』の始まりなのです。何はともあれ、まずは「Enter」キーを押してみましょう。


なんということでしょう!『ドラゴンクエスト』風のウインドウメニューが開いたではありませんか!!


これが今までのPC向けの伝統的ローグライクになかった「ウインドウメニュー」で、ここから道具や魔法の使用、装備といった行動が伝統的ローグライクのキー入力を介さずにできますし(無論、伝統的ローグライクと同様に各種の行動のキー入力も用意されています)、ここから様々な設定やゲーム終了も行えます。


オプションの「キー入力オプション」からは、『Rogue』と同様のキー配置の移動方法にするかどうかを設定できます。「いいえ」の場合は、8方向への移動がテンキーに対応したものになります。『Rogue』の移動方法に慣れない場合はこのオプションを「いいえ」、伝統的ローグライクキー入力愛好家、またはPCにテンキーがないノートパソコンなどでプレイする方はこのオプションを「はい」にするといいでしょう。


同様にマップ画面オプションではプレイヤーの位置を常に中央に置くかどうかを決めることができます。このオプションは(重い)とありますが、現代のPCではほぼ気にするほどではありません。筆者はこのオプションを常に「はい」にしていますが、「いいえ」の方が遊びやすいという方もいるようです。自分の遊びやすい方を見つけましょう。


ゲームプレイオプションの「異なる割引表示のアイテムをまとめる」は「はい」にしておきましょう。本作はアイテムのインベントリ管理が厳しいので、より多くアイテムのインベントリを開けられるこのオプションは超重要です。


とりあえずスタート画面から左下の「+」の施設を目指して歩き、ここに入ってクエストを受注してみましょう。これで「もの言えぬ証人」のクエストを受注したことになります。このクエストはいきなりキャラクターのレベル6~8程度に上げられる、超美味しいクエストです。


このクエストを受注したら、武器屋で遠距離攻撃武器(ボウまたはクロスボウ、そして矢を少なくとも30本程度)を揃えましょう。魔法職なら、遠距離攻撃できる魔法を覚えましょう。遠距離攻撃できる武器がないなら……松明でも買いこんでみては?(30本くらい)


弓と矢を買ったら、矢に(松明を買った場合は松明に)「@0=g」と刻み、以下のマクロを作成しましょう。



  • 松明を買った場合:「\e\e\ev0*t」


  • 弓矢を買った場合(オリジナルキー入力):「\e\e\ef0*t」


  • 弓矢を買った場合(ローグライクキー入力):「\e\e\et0*t」



これでマクロを登録したボタンを押すだけで画面内のターゲットに弓矢を放つ(松明を投げる)ことができます。頻繁に使用する魔法をマクロ登録することもできますが、そのあたりは「変愚蛮怒 マクロ」あたりで検索してみてください。


準備ができたら、宿屋の裏の入り口から「もの言えぬ証人」クエストに挑みましょう!せっかくのプレイヤーの楽しみを奪いたくはないのでクエストの内容は伏せておきますが、ヒントはここまで語った「遠距離攻撃の重要性」です。健闘を祈ります。


村長の家で受けられるもう1つのクエストが「盗賊の隠れ家」です。こちらは「もの言わぬ証人」をクリアできたキャラクターなら特に問題なく突破できるでしょう。クリア後にちょっと強い武器をくれるので、鑑定して使いましょう。


ちなみに本作のアイテムの鑑定は村長の家や「鑑定の巻物」でも出来ますが、「鑑定の杖」による鑑定がコストパフォーマンスに優れていておススメです。余裕があれば店で買っておき、この杖でアイテムを鑑定しましょう。


そして村長の家で受けられる2つ目のクエストが「ワーグを殲滅せよ」。このクエストも真っ先に受けておきたいクエストです。街のすぐそばの「ワーグの洞窟」へと向かい、地下5階まで降りましょう。今までの2つのクエストをこなしていれば、余裕でそこまで潜れるはずです。


ダンジョンに向かう前に、脱出用の巻物である「帰還の詔の巻物」をいくつか買っておくといいかもしれません。また、「ショート・テレポートの巻物」「テレポートの巻物」は緊急回避に役に立ちます(帰還の詔の巻物は読んでから効果発動まで数十ターンを要する)。


ダンジョン内には名前が『』で括られた「ユニークモンスター」が出現することもあります。ユニークモンスターはかなり強力なものが多いですが、倒せれば豪華な報酬が得られることも多いので、自分の実力と相談して勝てそうなら戦ってみましょう。


イークの洞窟地下5階には多くのワーグが放たれています。ワーグはレベルが高い敵ですが、その割には耐久力が低く倒しやすい、しかも得られる経験値が高いと絶妙な稼ぎ敵です。ワーグを全滅させる頃には、キャラクターのレベルはおよそ12~13ほどに上がっているでしょう。


「これから毎日家を焼こうぜ?」の少年も、ダンジョン内ではただの人。


ワーグクエストをクリアしたら、そのままイークの洞窟の完全制覇に向かってもよいのですが、そろそろ全体マップから他の都市に向かってもよいでしょう。ある程度食料を買い込んで、地上マップ上で「<」キーを押すと全体マップ画面へと移行します。全体マップ上で「*」で表される場所が、冒険の拠点となる都市です。画面右側に見えている都市が「モリバント」です。


モリバントでは辺境の街に無かった「魔法の再充填」施設や、一度「帰還」したダンジョンに再度飛ばしてくれる施設などもあります。ここで「鑑定の杖」の魔力を充填することで、低コストでアイテムの鑑定ができるようになります。


モリバントにも足を運べるようになったら、一度メインダンジョンの「鉄獄」に足を運んでおくのも悪くないかもしれません。全体マップでモリバントの北東(スクリーンショットの位置)が鉄獄への入り口です。


「鉄獄」は全100階層にも及ぶ広大なダンジョンですが、序盤は「イークの洞窟」と出る敵に大差はありません。


ですが、「鉄獄」には6階ごとに強力なユニークモンスターが階層を守っているという特徴があります。ここまで来たキャラクターなら大体12階あたりまでは踏破できるのではないかと思うので、頑張って進んでみましょう。ユニークモンスターは強力なアイテムを落とす可能性も高いです。


無事に対象のユニークモンスターを倒せれば、鉄獄のより先へと進むことができます。


ダンジョン内ではただ命中修正や威力修正の魔法がかかっただけではない、特殊な接頭辞が付いたレアアイテム(エゴアイテム)が手に入ることもあります。これらはモリバントなどの都市で「アイテム調査」を行う、または「*鑑定*の巻物」を読むことで詳細な能力を知ることができます。


また、アイテム名の先頭に「★」または「☆」のついた「ユニークアイテム」も、ダンジョン内の探索や店でごく稀に見つかることがあります。これらはエゴアイテムよりもはるかに強力な性能を誇ることが多く、手に入れたら冒険の難易度ががらりと変わることが多いでしょう。


なお、本作ではキャラクターデータ画面で現在プレイヤーが装備やプレイヤー自身の能力として得ている耐性や能力の一覧を確認することができます。本作における属性耐性は超重要(ダメージが1/3になったり、攻撃に付随する状態異常を防げたり)で、これらの耐性を得るためにどのように装備品をコーディネートするか……を指して本ゲームを「耐性パズル」と呼んだりします。


この辺りの耐性に少しでも漏れが出ると上級クエストの達成や、鉄獄の深層に潜っていくのは著しく困難になるので、いかに有用な装備アイテムを集めていくかは重要です。


しかしながら筆者は本作のプレイが久しぶりであったこともあり、エゴ付きマンゴーシュを入手して「戦士なら二刀流行けるか!?」と思ってフレイルとマンゴーシュの二刀流を試したところ、攻撃がろくに当たらず、そこに敵の召喚を重ねられて囲まれボコられあっさりと死を迎えてしまいました。はい、このゲームは死ぬときは本当にあっさりと死にます。


しかしながら本作は基本的にキャラクターの死因がはっきりとしており(今回の冒険ならうかつに二刀流を試してろくに戦えなかったことが敗因)、死因に対しあらかじめ対策ができることが多いです。故に、プレイヤーの失敗経験をいくつも積み重ねて、危険を乗り越えていくのが本作の醍醐味です。


こうした「プレイヤーの成長要素」は、まさしく「伝統的ローグライク」の特徴といえるでしょう。日本で「ローグライク」として語られる『トルネコの大冒険』『風来のシレン』と、本作のプレイ感覚が全く違うのは確かなのですが(『トルネコ』や『シレン』は後戻りができないがこちらは自由に各地のダンジョンを往復・探索できる、あえて例えると『ディアブロ』系のハック&スラッシュゲームに近いプレイ感覚)、「プレイヤー自身が経験を経て成長する」というゲームプレイはどちらも同じです。


「今更テキスト表示のローグライク?」と思われるかもしれませんが、それでも筆者は皆さまにこのゲームをプレイして頂きたいのです。初見の死亡率の高さとハードルの高さは否めませんが、それを乗り越えれば怒涛の殺意と、変なギャグが多数盛り込まれた、『変愚蛮怒』独自の世界に引き込まれること間違いなしですから。


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