KRAFTONと共にチャレンジングな新作を!閉鎖から一転、再始動が決まったTango Gameworksに気になる経緯や展望を訊いた!【インタビュー】
Game*Spark / 2024年12月19日 9時0分
『サイコブレイク』シリーズや『Ghostwire: Tokyo』、そして『Hi-Fi RUSH』など評価の高いゲームの開発で知られるTango Gameworks。本スタジオは、2024年5月に閉鎖となっていました。
しかし同年8月、『PUBG: BATTLEGROUNDS』などの開発で知られるKRAFTONの傘下に入り再始動することが発表されました。そして2025年からは新規のメンバーを増員しつつ、新作開発のために本格的に動き出すことになります。
今回、KRAFTON JAPANによりTango Gameworksの中核メンバーである3名にインタビューする機会を頂き、KRAFTONに合流するに至った経緯や、開発当初から変わらないこだわり、今後への展望など訊いてきました。
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――それでは、自己紹介をお願いします。
コリン・マック(以下、コリン):コリン・マックと申します。Tango Gameworksの代表で、スタジオ全体の運営とビジネス面のマネジメントの責任者です。
ジョン・ジョハナス(以下、ジョン):ジョン・ジョハナスと申します。2010年のスタジオ創設時からのメンバーで、初期作『サイコブレイク』から様々なプロジェクトの開発に関わっています。2023年にリリースしたリズムアクションゲーム『Hi-Fi RUSH』ではディレクターを務めました。今後は新作のゲームディレクターとスタジオ全体のクリエイティブディレクターを担当します。
江頭和明(以下、江頭):江頭和明と申します。 私は2020年にTango Gameworksに入り、『Hi-Fi RUSH』ではプロジェクトマネージャーを務めました。現在はディベロップメントディレクターという形で、開発内部の全体的な取りまとめや、環境整備を担当しています。よろしくお願いします。
――よろしくお願いします。ではまずTango Gameworksとはどのようなスタジオでしょうか、改めて特徴を教えてください。
コリン:Tango Gameworksはクリエイティブ性を重要視したスタジオです。ユニークな作品を創るために、常にメンバー同士でアイデアを出しあってプロジェクトを進めています。今まで4つのタイトルを作ってきたのですが、どれもバリエーションに富んだものとなっています。加えて我々は面白いゲームを、世界中に届けようと常に意識しています。日本のスタジオとして「日本ならではのクリエイティブ性と面白さ」を世界中に伝えようと考えており、『Hi-Fi RUSH』では、アメリカの「コミカルな要素」と日本の「アニメ的な要素」が共存したゲーム内容となっています。
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――現在のスタジオの従業員数や、従業員の日本人と外国人の比率など教えてください。
江頭:現在は50名程度のメンバーがいます。外国籍のメンバーは数名いますがほとんどは日本人のメンバーです。内訳は、開発のメンバーがほとんどで、あとはバックオフィスやマネジメントを担当する人員で構成しています。ジョンは元々ニューヨーク出身で、日本に興味を持って来日しました。他にもヨーロッパや中国など様々なバックボーンを持ったメンバーが在籍しており、それぞれの背景を活かした個性的なアイデアやアプローチを日々出しあいながら、業務に取り組んでいます。
――ちょっと踏み込んだ質問になってしまうのですが、Tango Gameworksではスタジオ閉鎖を受け、1度レイオフが実施されましたよね。
江頭:そうですね。一度メンバーは減ってしまったのですが、また新たに増員を予定しています。我々は、これまでしっかりとした作品を制作してきた自負がありますし、今も野心をもって開発に取り組んでいます。来年には、経験豊富なメンバーの加入や、新卒のメンバーも仲間に加えてさらに大きなチャレンジをしていきたいと考えています。
――開発体制について聞きたいです。開発プロジェクトは同時に進めているのですか。
コリン:今は開発環境を回復する段階にありますが、基本的な体制としては、2チームで動いています。メインのプロジェクトに多くのメンバーを充てつつ、並行して少人数でプロジェクトを進行し、次回作に向けて、プロトタイプ開発を行っています。例えば、『Hi-Fi RUSH』は当初ジョンとプログラマーの2名でプロトタイプを作っていました。そしてある程度アイデアが形になってから、『Ghostwire: Tokyo』を制作していたメンバーがプロジェクトに合流し、全体として5年ほどかけ完成させた作品です。プロジェクトの最初期の段階から、大人数を集めてアイデアを出し合う形にしてしまうと不必要な混乱が生じかねないので、少人数でゲームの根本のアイデアや面白さをしっかりと形にしてから、プロジェクトメンバーを増員する形をとっています。
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――親会社がKRAFTONに変わったことで感じたことを教えてください。
コリン:まず、以前から変わらない点として、本社からの制作指示ではなく、Tango Gameworksからオリジナルの計画を出してゲーム開発ができることが挙げられます。
変化があった点としては、KRAFTONの方が意思決定のスピードが早いですね。また、KRAFTONのCEOが元々開発者だったこともあり、開発の考えに近い社風があると感じています。それと本社が韓国のため、やりとりに時差がなく、深夜にミーティングをしなくても良くなった点はとてもありがたいです。(笑)
江頭:KRAFTONは、ゲーム制作においてマーケティングやビジネスの観点以上に、ゲームの根本にある遊びの楽しさを重要視していると感じます。このような考えを持つパートナーを探していた私たちにとって、KRAFTONの傘下に入れたことはとても良かったことだと思います。
――Tango Gameworksはどういった経緯でKRAFTONの傘下に入ったのですか。
コリン:スタジオ閉鎖後、パートナー探しをしました。こちらが出した条件は、「本社の指示ではなく、Tango Gameworksのクリエイターが提案するアイデアでゲーム開発をしたいということ」、「特定の地域だけでなく世界中でパブリッシュをしたいということ」、また「開発のクリエイティブ性を重要視していること」などを挙げたのですが、我々の希望する条件に最も合っている会社がKRAFTONでした。
江頭:開発現場の人間である私たちからしても、KRAFTONは非常に印象が良かったですね。当時はまだ他社であったのにも関わらず、我々が現在作っているゲームに対して非常に鋭いリアクションやコメントをしてくださったことを覚えています。また、KRAFTONはIPの創出に対しても非常に意欲的ですよね。大規模な会社にも関わらず、上を向いてチャレンジングな取り組みを推奨する姿勢が文化として根付いていると感じます。新しい船の中で、KRAFTONと共に前に進めることはとても嬉しいですね。
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――Tango GameworksはIPの創出に積極的な考えなのでしょうか。
ジョン:今はまだプロトタイプや企画書を用意している段階ですが、IPの創出には大きな意義や可能性があると考えています。やはりクリエイターにとっても新規のIPのゲームを開発することは大きな刺激やスキルアップに繋がりますよね。様々なアイデアの中から、最も高いクオリティを確保できる作品をユーザーにお届けする予定です。ただもちろん、我々は『Hi-Fi RUSH』という重要なIPも確保していますので、本作の続編など、様々な可能性も実現できたら良いですね。
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――かつてカプコンで『バイオハザード』シリーズを手がけた三上真司さんが、Tango Gameworksの創業者ですよね。2023年に退職された後も、彼がスタジオに与えた影響は、色濃く残っているのでしょうか。
コリン:やはり三上さんのDNAは今でも受け継がれています。三上さんがこのスタジオを作った理由は、自身がゲームを作りたいというよりも、将来のクリエイターを育成する環境を作りたかったためです。ジョンが一人のゲームデザイナーからスタジオ全体のクリエイティブディレクターになっていったように、クリエイターに新しいチャンスをどんどん与える方針の方でした。退職されて以降もその文化は色濃くスタジオに残っています。
江頭:いつも三上さんが現場に対して伝えていたことは2つあって、1つは議論が煮詰まった際には「ユーザーに喜んでもらうために、自分たちが何をすべきか考えること」。スタジオのメンバーで議論をすると、熱量が上がって喧嘩のようになってしまう時もありますが、最終的に「お客さんに何を届けるのか」という部分に結びつけて改めて話し合うと、自然と意見がまとまっていくことを感じます。
もう1つは、「やりたいこと、やるべきこと、やれること」の順番でゲーム開発を考えるということです。まずは「やりたいこと」にフォーカスしてアイデアの風呂敷をばっと広げる。次に「やるべきこと」。 一度開発した作品と距離をとり、お客さんに届ける上で、絶対ここは抑えなきゃいけないってポイントを見定める。そして最後に「やれること」。どうしても発生するお金やリソースなどの縛りにうまく折り合いをつけ、作品を完成させる。僕はマネージャーの立場ですが、クリエイター達も同様にこの三段階の順番で物事を考えています。そう考えると三上さんの影響は今もこのスタジオに色濃く残っていますよね。
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――三上さんはTango Gameworksを若い世代に託して退職された形なのですか。
江頭:このスタジオに対しては本当にそんな感じでしたね。三上さんは退職する際に、「自分が指示を出さなくても、ジョンをはじめ、しっかりとした作品を作り上げられる人材群が揃ってきたから、もう自分は大丈夫だよ」ということを語っていました。『Hi-Fi RUSH』開発時の出来事はすごく良い例で、最初の企画書とプロトタイプを見せた段階で、三上さんから「ぜひチャレンジしてください」とだけ伝えられました。以降、三上さんからの定期的なチェックはあったものの、良い意味で細かな指示はなく、開発チームが主体となって作品を完成させました。三上さんからの信頼を強く感じる出来事でしたね。
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実はネットの記事のコメントで、「三上さんのクリエイティビティや指示があったからこそ『Hi-Fi RUSH』の面白さが生まれたんだ」ってコメントを見つけて、自分とジョンで驚いたことがあったんです。約5年の開発期間で三上さんから「こうしてほしい」という指示があったかなと。三上さんにとっても我々にとっても、現在のスタジオが理想的な制作環境に成熟したことを改めて感じます。
――来年から新しいメンバーを募集するとのことですが、どのような方が来てほしいですか。
コリン:まずはやはり、面白いゲームをお客さんに届けたい方や、クリエイターとして自分のアイデアを作品にしたい方に来てもらいたいです。クリエイティブディレクターやプログラマー、アーティストなど幅広い職種を募集する予定ですが、ポジションにとらわれず、アイデアを出し合いながら、チームでゲームを作る意志がある方を求めています。
ジョン:Tango Gameworksはゲーム開発会社ですが、個人的な気持ちとしては一つのクリエイティブなワークショップだと思っています。自身に与えられた役割だけを全うするのではなく、最終的に作品がより良いものになるよう、クリエイティブな意見やフィードバックを現場に精一杯出してくれる方に来てもらいたいです。
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――最後にGame*Sparkの読者にメッセージをお願いします。
江頭:我々のゲームはハードコアゲーマーも唸らせる凝った作りをしています。クオリティを守ることを重要視していますし、細かな部分にまで面白さを詰め込んでいます。皆さんにも喜んでもらえるようなゲーム開発を今後とも頑張っていきます。
コリン:Tango Gameworksの作品ならではのどこか歪んでいる部分を楽しんでいただきたいですね。私たちならではの魅力をお届けする!という気持ちで我々は今後も開発を続けていきます。
ジョン:僕も昔からコアなゲーマーだったんですが、『Hi-Fi RUSH』含め、Tango Gameworksの創るゲームは懐かしさと新しさが共存したゲームが多いと感じています。記憶の奥に眠る「楽しかった感情」を思い出すからこそ、プレイヤーは「懐かしい」という感情を抱くと考えています。そこに斬新な「新しい発想」を加えていきたい。その思いでこれからも新たなゲーム開発を続けていきます。
――貴重なお話、ありがとうございました。
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Tango Gameworksは2025年より本格的に再稼働予定。それに伴い新メンバー募集の採用ページもオープンしています。
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