サブスクってほんとに満足?疑念に決着をつけるべくゲーパスに真摯に向き合う3か月―ワークライフバランスにも思い馳せたサブスクゲーム体験記【年末年始特集】
Game*Spark / 2024年12月30日 13時0分
読者の皆さん、ゲーム遊んでますか?昨今ではゲームの販売形態にも様々な方法が誕生し、パッケージ、DLでのオーソドックスな買い切りはもちろん、基本無料のアイテム課金制や定額課金で遊び放題のいわゆる「サブスク」型のサービスも登場し、ゲーマーそれぞれが自分に合った方法でゲームに向き合える時代となりました。
「サブスク」でのゲームプレイについて、様々な理由から筆者は手が伸びないまま今日まで過ごしてきましたが、そんな筆者に3ヶ月もの長期間サービスを体験する機会が到来。流石にこれは逃せまいと加入を決意し、この機会で目いっぱいの経験をせんと生活の中心にサブスクゲーを据えることにしました。
本稿ではそうして20作品ものゲームをプレイ、8作品をクリアする中で、ゲーマーとしての自分自身や果ては人生の在り方にまで思いを巡らせた3か月間のゲームサブスク加入体験を記します。
サブスクってほんとに満足?長年の疑念と足踏みに決着をつける3ヶ月の始まり
まずは冒頭でも触れたゲームのサブスクと筆者の距離感や、加入のきっかけについてもう少しお話ししておきましょう。第一に筆者はゲームのサブスクというサービスに対してかなり懐疑的な印象を抱いていました。画期的なシステムではある反面、本当に満足のいくサービスであるのかという疑念を払しょくできずにいたのです。
というのも筆者のゲーム人生は、ゲームの虜となりながら生まれ持っての守銭奴ぶりが災いし、憑りつかれるように買い与えられたゲームを隅々まで攻略する幼少期の癖と共に歩んできた道。そんな筆者にしてみれば「定額でゲームが遊び放題」という仕組みは、大量のゲームがいつでも選べる魅力とやり込みにおけるコスパが悪そうなことの2重の意味で信じ難い物でした。
そんな疑念を抱えながらも時代の変化に取り残されるような人間にはなりたくないと思う反面、まだまだやり込めるゲームをたくさん所有している状態で月額制のサービスを利用することへの抵抗感から今日までそれを利用する機会が無かった筆者。そこに訪れた転機がNVIDIAの「PC Game Pass GeForce Reward」キャンペーンです。既に終了したキャンペーンのため概要に留めますが、Geforceのグラフィックボードを使っているだけでマイクロソフトのサブスクゲームサービス「Game Pass(以下ゲーパス)」が3か月もの長期間無料で体験できるというあまりにも都合の良い機会に、守銭奴で限定という言葉に弱い筆者はチンケな疑念を脇に投げ捨てこれに飛びついたのでした。
さて、そうした経緯で「生活の中心に」とまで意気込んでスタートしたサブスク体験。先にそのレギュレーション、と言うと大げさ過ぎますが、体験期間を過ごす際に意識した心構えのようなものについても説明しておくべきでしょう。
端的に言えば「無理なく、しかし常にメインタスクに」といったところです。あくまで食事や睡眠等はこれまで通り、元々入っていた仕事や私事における予定、日課的なライブサービスゲームのプレイなども最低限継続して社会生活への支障はごく小さく抑える一方で、余暇は当然ゲーパスでのゲーム攻略に費やすのはもちろん、何をしている時も頭の片隅では攻略中のゲームのことを意識し、攻略が進まないことへの焦燥感を煽る精神状態を維持していました。
さらに具体的にはフリーランスという比較的自由の利く身分である点を存分に活かして余暇時間を大幅に増やしたり、体験期間前にライブサービスゲームの整理を行うなどの施策を実行。その甲斐あってか期間中の多くの日において一日におけるゲーパスのプレイ時間は他のどの要素よりも大きな割合を占めていたと感じていました。
総プレイ354時間、プレイ数20作の内訳をご紹介。ゲーパス入るならまずはこれを遊べ!
ここまでお読みいただいて、読者の皆様が当然疑問に思うのは実際にどれ程のゲームをプレイできたのかという点でしょう。冒頭でも述べました通り、実際に今回プレイした作品数は全部で20作。うち6作についてはメインコンテンツクリア、そしてさらにそのうち1作については体験時点での実績コンプリートまで果たしました。総プレイ時間は約354時間。以下がそのタイトル内訳となっています。
実績コンプ/1作
『Palworld (Game Preview)』
メインコンテンツクリアのみ/7作
『Atomic Heart』
『Hi-Fi RUSH』
『Little Kitty, Big City』
『Cocoon』
『BIOHAZARD RE:2 Z Version』
『DOOM + DOOM II』
『アサシン クリード オデッセイ』
未クリア/12作
『Humanity』
『Microsoft Flight Simulator』
『Starfield』
『Little Kitty, Big City』
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl - Windows Edition』
『Sea of Thieves: 2024 Edition』
『Have a Nice Death』
『Nine Sols』
『祇』
『OCTOPATH TRAVELER II』
『No Man's Sky』
『Microsoft Flight Simulator 2024』
『Core Keeper』
ちなみにプレイ数へのカウントは、ダウンロード後起動したことに明確な目的と意味があったかを基準とし、基本的にはゲームの進行サイクルと操作をある程度理解したタイトルが対象になります。メインコンテンツクリアとは主に難易度等を問わないストーリーモードのクリアを指すもので、今回カウントされたものではすべてエンディングクレジット、またはそれに近しいものを確認しました。
これらの基準については自身がゲーパスに感じる最も大きな魅力を「多様な作品がプレイできる点」にあると考えていることから設定し、プレイ体験に十分満足した上でのプレイタイトル数を可能な限り最大化したものとなっています。結局のところDLしたタイトルについては全てがプレイ作品の対象となりましたが、『Microsoft Flight Simulator 2024』に関してのみ、「筆者のプレイ環境では満足なプレイができない」という結果の確認をもってプレイに意味があったものとしていることをご理解ください。
そして実に400件以上のタイトルがプレイできるゲーパスにおいてこれらの作品を選んだのもまた、ゲーパスの魅力を最も享受せんとの意思を持ってのこと。マイクロソフトのサービスである点や、デイワンでの作品追加を売りにしている点などを考慮に入れつつ、フルプライスの大作を中心に「ゲーム休みのゲーム」といった役割になった作品も交え幅広いジャンルの作品のプレイを意識しました。
もちろん筆者の好みや既プレイ、既所持の作品等の都合で多少の偏りはあるかもしれませんが、いま改めて見ても満足の行く選択だったと考えています。今後筆者がゲーパスでのプレイをおすすめするタイトルを問われれば、今回の条件に照らし合わせた対象作品を挙げることでしょう。
これぞゲーマー性格診断!?自分でも知らなかったゲームの適正、不適正を知るまたとない機会に
また、これほど大量の作品を短期間でプレイした経験は、逆に自分自身のゲーマーとしての特性を見つめ直すまたとない機会ともなりました。例えば、プレイ作品数の最大化を目指す施策の一環として、今回遊んだ作品のほぼ全てで難度を最も易しくしたことで筆者の好みがストーリー性の強いアクションゲームであると再確認できたこと。というのも筆者はこれまで最低難度での攻略というものを行ってこず、この施策の下で本当にゲームを楽しめるのだろうかと始めは懸念していたのですが、実際には思いのほか遊びやすくむしろいつも以上に楽しめたと感じる部分もあったほどでした。
どうやら筆者にとってのストーリー性の強いアクションゲームとは、アクション要素でインタラクトすることで未知のストーリーへより深く没入することを最も魅力的に思うものだった様子。これはマイナスの形でも顕著に現れ、一例として『バイオRE:2』でレオン編を終えクレア編を始めた時、序盤の既視感から「ああ、ゲームパスとしてのプレイはもうこれで十分だ。」と自分でも驚くほど急激にプレイ意欲が引いて行ったのを今でも覚えています。
このほかにも『Humanity』や『Little Kitty, Big City』といった「ゲーム休みのゲーム」として目をつけた作品にこそ強くプレイ意欲が向いた点や、『Starfield』を始め自分の物語を紡ぐようなRPG要素の強い作品はあまり向かない点、いままではそれほど気にしていない物と思っていたグラフィックの粗が実はプレイ意欲に大きく関係していたと思い知らされた『S.T.A.L.K.E.R. 2』など、自分とゲームについての知っている一面、知らない一面をかなり細かに捉え直すことができました。
その中でも特に見つけて嬉しく感じたのはシミュレーションゲームとの新しい向き合い方です。最初は冷やかし程度のつもりだった『Microsoft Flight Simulator』。事実、初めにプレイした際にはチュートリアルからその操作に翻弄され、これが忠実な物理演算の為せる本物の難しさかと適当に納得して終わったにすぎませんでした。
それからしばらくしてふと、航空機への造詣が深い友人が身近にいたことを思い出し、試しにその友人にプレイさせてみようと考えたのが大当たり。友人は筆者とは比べ物にならないぐらいシミュレーターの優れた点や楽しめる点に続々と気づき、自分でのプレイでは決して理解し得なかったであろう本作の魅力を間接的ではありながら知ることができました。また、筆者自身がゲームを通してのコミュニケーションを非常に価値あるものと感じているとを実感する機会にもなりました。
意気込みはすれど足りない時間、満足なプレイには届かない体力。案外少ないかもしないゲーム人生に思い馳せ
では実感として筆者は今回の体験に満足できたのでしょうか。答えはイエスでもありノーでもあります。無料体験期間の過ごし方としては結果として20本もの作品、それも前々から気になっていつつも買わずにいた作品や期間中に発売された最新作、友人が非常に高く評価していた作品といった珠玉の作品群をほぼ全てである程度の満足感をもって終えることができたのですから、存分に楽しんだと言っていいでしょう。
一方でこれを日常におけるゲームプレイの在り方として見た時、やはり1作をやり込むということへの未練を感じない作品は1つとしてありません。実績を取り終えた作品ですら実際にはまだまだ遊ぶ余地が残っていることを自覚しており、いつか時間に余裕ができればまたプレイを再開したいと今も考えています。
というのも勘のいい読者の皆様方であれば既にお気づきかもしれませんが、354時間というプレイ時間は、決して少なくはないものの実は取り立てて多いわけでもありません。単純に1日当たりのプレイ時間にすれば約3.8時間となり先に述べた実感とは乖離があることがわかります。
しかし考えてみればそれも当然のこと。ほぼ一週間に渡り倒れるように眠って起きればPCの前へ戻るといったプレイスタイルを取れる時があれば、その反動で焦燥感に苛まれながらもほぼ1日に渡り睡眠に費やしてしまう日ができてしまうこともあるものです。また心構えの項で話した通り、極力計画的に余暇を作り出してはいるもののある程度の社会生活は必要となります。特に今回の体験には、日常的な加入を視野にいれての自身のライフスタイルとの合致具合を測るという目的もあったため、その点で言えばよりリアリティのある結果となったと言えます。
一方で筆者にとってこのリアリティは、予想していた物ではありながら思った以上に愕然とする生々しさを秘めていました。少なくとも加入前には「生活の中心」とまで意気込み、具体性のある準備までして臨んだはずの今回の体験。しかし蓋を開けてみれば、思うように進まない攻略、不摂生が祟っての体調不良、あるいは怠けとしか形容できないような1日を過ごした時もありました。心構えと覚悟していたはずのゲームプレイへの焦燥はそのまま不安に変わり、却ってプレイ意欲を阻害していたこともあったと思います。
また、当然余暇を増やせば収入はその分落ちる物。こちらも理解の上での実行とは言え「それは本末転倒では?」との突っ込みが聞こえてきそうな日々に空虚な心持ちで思い悩むことも少なくはありませんでした。ただ、この点については「ゲームプレイに時間を充てる」という目的を中心として考えれば、その時間はたとえサブスクによるもので無くとも仕事等で代替され得ないため、実は無料でプレイできている分得をしているという本来の見方が間違っていなかったりもします。
しかしそれに気づくと同時にこの時間があくまで「将来のゲーム時間の前借」に過ぎないことにも気づかされ、先に述べていたゲームプレイとの向き合い方のリアリティがさらに鮮明なものとなりました。ゲームをするため、さらに言えば生きるためには仕事をする必要があります。「生活の中心」をゲームにしてなお十分とは感じられないとなれば、今までの生活では尚更でしょう。
そんなゲーム時間確保の難しさを目の当たりにし、人生においてゲームに割ける時間、あるいはプレイし切れるゲームの本数というのは案外少ないのかもしれない、などと考える機会となったこの3か月。端的にいわゆるワークライフバランスの問題と片づけることもできますが、そこに強く思いを馳せたことは、今回の体験で得た知見の中でも大きな位置を占めています。
合う合わないはプレイ志向次第!全ゲーマーは一度サブスクを試してみるべし
結論としてサービスとしてのサブスクゲームをお勧めできるかというと、筆者のような一つのゲームに執着してしまいがちなタイプには合わないと言わざるを得ません。これだけお世話になり、長々と語っておきながら恐縮ではありますが、筆者はおそらく今の価格設定でゲーパスに入ることはないでしょう。時間は今回の生活以上に有限ながら筆者にとってまだ味のするゲームやコンテンツは無限とすら思えるほどに多く、その点でどうしても満足の行く利用体験を得られるとは思えないからです。
一方で新しい体験に飢え、その時々で最もワクワクできる作品をプレイしたいというゲーマーには、大きな味方となるポテンシャルを有するのもまた事実。ゲーパスで言えば特にマイクロソフトとの関りが深い作品において、デイワン追加でいち早く作品に触れたい、スペックに不安はあれどプレイ感だけでも試してみたいといった機会がことさら多い場合には、その他のゲームが遊び放題であるという大きなおまけも付く分コスパの良い選択肢になり得ると思います。
実際筆者の身近な所でも、「PS Plusプレミアム」に加入している友人は楽しそうにプレイした幾多もの作品の評価を語る様子を見せ、最近ではクラウドゲーミングサービスの利用でさらに大作へのプレイハードルが下がったことを、心から喜んでいました。また損得勘定は一度脇に置き、自身のゲーマーとしての立ち位置を見つめる機会として捉えれば、これほど貴重で便利な方法は稀でしょう。この点で筆者は、全ゲーマーが一度はサブスクサービスを体験してみるべきではないかとすら考えるほどです。
今回筆者が利用したキャンペーンは既に終了していますが、ゲーパスでは14日間のサービスが150円で利用できる初回体験プランが恒常的に用意されています。筆者ほど極端に意気込む必要はありませんが、これまでサブスクゲームに消極的だったという方も、年末年始を筆頭に長期の休みが取れる機会に合わせて集中的にゲームをプレイするイベントを設けてみると、新たな視点での自身の一面や、ゲームとの付き合い方が見えてくるかもしれませんよ。
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