中世に現代兵器で俺TUEEEするタイムスリップシューター『Kingmakers』の先駆け的小説が19世紀に登場していた！？【年末年始特集】

中世イングランドに現代兵器で殴り込むシューターゲーム『Kingmakers』が大きな話題を呼んでいます。

アサルトライフル、手榴弾、ショットガン、果ては装甲車や攻撃ヘリも持ち出して、甲冑の騎士相手に無双する……という内容です。これはまさに「戦国自衛隊」の西洋版。しかし、実は「現代兵器で昔の軍隊を一気に駆逐する」という物語は19世紀の頃から存在しました。

「トム・ソーヤ―の冒険」の作者で知られるマーク・トウェインは、1889年に「アーサー王宮廷のコネチカットヤンキー」という小説を出版しています。これは、出版当時のアメリカ人ハンク・モーガンが6世紀イングランドにタイムスリップし、19世紀の技術を用いてアーサー王の宮廷で出世していく……という内容。まさに140年前のなろう系！

今回はそんな名作文学の中身を振り返りつつ、『Kingmakers』との共通点を探っていきたいと思います。

「永遠の少年」マーク・トウェイン

マーク・トウェインの作品は、19世紀の光景や当時最先端の科学を余すことなく書く作家として現代でも読み継がれています。

「トム・ソーヤ―の冒険」は、ミズーリ州のとある小さな町が舞台の物語。少年トム・ソーヤーは、親友の「宿無しハック」ことハックルベリー・フィンと学校をサボって遊んだり、イタズラをして楽しむ日々を送っています。そんなトムはある日、殺人事件を目撃してしまいます。真犯人はたまたまその場にいた酔っ払いの老人に罪をなすりつけますが、トムは勇敢に裁判で証言し、老人を救う――という内容です。この続きは非常に劇的かつ冒険心溢れる展開ですので、気になる方はぜひ地元の図書館で本を借りてみてはいかがでしょうか？

トウェインは、一生涯に渡るまで「少年の心」を持ち続けていました。常に科学の最先端を追い駆け続け、そのせいで大散財して破産したこともあります。ですが、世界初の実用的タイプライター「ショールズ・アンド・グリデン・タイプライター」をいち早く購入するほどの先見性も有していました。このタイプライターは、QWERTY配列を導入した「キーボードの祖先」とも言える製品です。

そんな人物が執筆した「アーサー王宮廷のコネチカットヤンキー」は、「（19世紀当時の）現代科学で中世世界を圧倒する」という内容でした。

主人公のハンク・モーガンは、機械工作と医学の心得のある兵器工場の社員。ある日、部下に殴られた際のショックがきっかけで西暦528年のイングランドにタイムスリップしてしまいます。捕虜として処刑されそうになったモーガンは、その日にたまたま日食が起こることを知っていたため、それを利用して難を逃れます。

アーサー王の右腕として仕えるようになったモーガンは、自身を「ザ・ボス」と名乗り最先端科学の定着に乗り出します。小姓のクラレンスに科学知識を教えるだけに留まらず、何と6世紀のイングランドに学校を作って庶民に広く科学を教育することも実施しています。こ、これはまさに異世界転生ラノベそのものじゃないかっ！？

火を噴くガトリング銃

この作品の終盤では、王に対して反乱を起こした軍勢と戦うという場面が描かれています。もちろん、19世紀の技術で6世紀の軍隊を蹴散らすという内容です。

鉄条網、地雷、そしてガトリング銃まで借り出して、襲い来る反乱軍を次々に撃破していきます。もう一度書きますが、この本は1889年に出版されたもの。「時間旅行SF作品の先駆け」として知られるハーバート・ジョージ・ウェルズの「タイムマシン」の出版は1895年、それから6年後のことです。半村良の「戦国自衛隊」がSFマガジンに連載されたのは、遥か後年の1971年。“永遠の少年”マーク・トウェインは、恐るべき先進性を紙の上に書いていたのです。

ただし、「アーサー王宮廷のコネチカットヤンキー」のラストはハッピーエンドとはとても言えない内容でもあります。どんなに最先端科学を駆使したとしても、人の欲望と嫉妬の肥大を止めることができないということがこの作品に書かれています。気になる方は、ぜひ図書館へ！

騎士を操作できないか？

マーク・トウェインや半村良が執筆した世界観を体感できる『Kingmakers』は、2025年第1四半期のリリースを予定しています。

ただ、筆者としては「未来の兵器を繰り出す連中に一矢報いる中世の騎士」というシチュエーションを熱望しています。「戦国自衛隊」の一番最初の映画でも、真田広之さん（武田勝頼）が低空飛行する自衛隊のヘリコプターに飛び乗り、乗員を斬ったあとにヘリから飛び降りるという超絶アクションが行われています（もちろんCGは一切なく、真田さんが命がけで飛び降ります！）。

このシーンを子供の頃に観て以来、筆者は今に至るまで真田さんの大ファン。しかし、筆者の身体能力では「飛行中のヘリから飛び降りる」なんてこたぁできません。ならば、せめてゲームの中で！？ と思案しているのは筆者だけではないはずです。

というわけで、筆者は今日も真田さん出演の映画をアマプラで視聴しながら『Kingmakers』の配信を待ち望む日常を送っています。

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