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稀代のSFサスペンスADV『カオスチャイルド』が10周年!妄想と科学による最高にカオスで感動的な魅力を振り返る【年末年始特集】

Game*Spark / 2025年1月5日 15時0分

去る2024年12月、“妄想科学アドベンチャー”『CHAOS;CHILDカオスチャイルド)』が発売10周年を迎えました!


『カオスチャイルド』はMAGES.(旧5pb.)が手がける「科学アドベンチャー(以下、科学ADV)」シリーズに連なる作品で、本作は渋谷で巻き起こる猟奇的殺人事件に巻き込まれていく高校生たちの姿が描かれる、他にないテイストのサスペンスホラーとなっています。


タイムリープものの傑作として絶大な人気を誇る『シュタインズ・ゲート』も「科学ADV」の一作(画像は科学アドベンチャーシリーズポータルサイトより)

今回はTVアニメ化、そして最終エピソードの劇場放映も行われた名作『カオスチャイルド』の魅力をいくつかのポイントから紹介。過去にプレイした方には懐かしんでいただきつつ、未プレイなら今からでもぜひ楽しんでいただきたい“怪作”を振り返ってみたいと思います。


現実とネット、妄想と科学。相反する要素が生み出すカオス


『カオスチャイルド』の舞台となるのは2015年の東京・渋谷。作中で6年前に発生した震災から復興途中にある街で連続猟奇事件が発生し、高校で新聞部の部長を務める主人公の高校生・宮代拓留(みやしろたくる)が事件に首を突っ込み……というところから物語はスタート。


本作はジャンルに「妄想科学アドベンチャー」とあるように、「妄想」が大きなポイントとなるSF的ミステリーアドベンチャー。妄想を具現化できる「ギガロマニアックス」と呼ばれる能力者が登場し、ストーリー分岐も会話の受け答えを候補から選んでいく形式ではなく、要所でポジティブorネガティブな妄想をした結果で物語が変化していく「妄想トリガー」システムが特徴です。


妄想トリガーは言葉や行動を選んでいくタイプのADVよりもその結果が想像しづらいという特徴も

物語の途中で急に主人公の妄想がカットインしてくる仕組みには最初こそ面食らうものの、この現実と妄想が入り混じる“カオス”さが醍醐味のひとつ。ストーリーで予想外の事件や展開と遭遇していくに連れ段々と「どれが妄想だったっけ……?」と、現実が妄想とSFに侵食されて境目が曖昧になっていく奇妙な体験が味わえました。


舞台となる渋谷の街がリアルに描写されているのもカオスを助長しているポイントで、現在は再開発などでリリース当時とは異なる姿に変わっている場所も少なくありませんが、実際に目にしたことがある風景や文化の中だからこそ異質なストーリーのインパクトが強くなっているのかも知れません。


また、作中ではネット、特に匿名掲示板や動画投稿SNSで流行していたような用語が数多く使用されているのも印象深い要素。特に主人公の拓留はどっぷりとネットに浸ってしまっており、10年前でも「今時いないだろ」と思わされるような痛々しさで非常にクセが強い存在ではあるのですが、最後までプレイされた方ならきっと芯の部分にある主人公らしい誠実さを感じたはず。


どこか頼りない主人公が過酷な体験を通じて成長していくというのも科学ADVシリーズを通じた共通点になっています。


魅力的なキャラに心が潤い、サスペンスで心が削れる


と、ここまで紹介したように物語の奥へと入れば入るほどディープで奇妙な魅力が溢れる『カオスチャイルド』ですが、パッケージやキービジュアルなどから「キャラクターが可愛いな!」や「CERO Z(18歳以上対象)ってことはグロいのかな?」といった第一印象を受けた方も多いのではないでしょうか。


やはり本作を語る上でヒロインたちは欠かせない魅力で、幼なじみから年上年下、クール系などおせち料理のごとく多様なラインナップが皆さんを待ち受けています。また、ギガロマニアックスとして妄想を具現化する際には巨大な剣「ディソード」を介するという設定もあり、美少女×巨大武器がお好みの方に刺さっていたとか。


画像は公式サイトより

『カオスチャイルド』は科学ADVシリーズの中でもポップさが際立つキャラクターデザイン&塗りなこともあり、シリアスな物語ながらもそれぞれの登場人物についてしっかり描写されており、いわゆる“個別ルート”も存在するので、キャラクターを入り口に手に取ってみても満足できる一作。イベントシーンの一枚絵が楽しみだったのも良い思い出です。


こういう一枚絵で油断させておいて酷い想いをさせてくるのが妄想化学ADVのやり口です

そんな下心に対して立ちはだかるのはCERO「Z」な演出の数々ですが、実はドーンと恐ろしい画像がアップになるような視覚的なグロさを感じるシーンがたくさん、という作品ではありません。連続猟奇的殺人事件を追うストーリーのためショッキングな展開は多々あり、そうした場面では文字や効果音でこれでもかと凄惨さを想像させてくる演出になっているので、不気味さや未知の恐ろしさを味わう「ゾっとするタイプの怖さ」に尖っていると言えるでしょう。


無数の「力士シール」やどこからともなく聞こえる赤子の泣き声など、なんとなく不気味だと感じさせる演出が随所に

もちろん「なんでそんな酷いことに」と思うシーンは数え切れない作品ですので、グロやホラーが得意ではない筆者は毎日「なんでこんな酷いことを」と思いながらプレイしていたことをよく覚えています。


ただ、それだけ濃密な描写によって事件や理不尽な出来事に対する怒りや嫌悪感、悔しさが強く感じられ物語への没入感をぐっと高めてくれるのも事実。決して万人向けとは言えませんが、クリアへとたどり着いた時の解放感とも喪失感ともつかぬ感覚は科学ADVシリーズの中でも、そして数あるアドベンチャーゲームの中でも随一のもので、本作が今でも名作として語られる要因になっています。


『カオスヘッド』と『らぶ☆ChuChu!!』もあわせてどうぞ


『カオスチャイルド』のことを語るためには、同じく“妄想科学アドベンチャー”に位置づけられる『CHAOS;HEAD(カオスヘッド)』についても紹介しておかねばなりません。(2024年は『CHAOS;HEAD NOAH』の発売から15周年でもありました!)


Nintendo Switch版『CHAOS;HEAD NOAH/CHAOS;CHILD DOUBLE PACK』パッケージ

『カオスヘッド』は科学ADVシリーズの最初の一作で、タイトルからも分かる通り『カオスチャイルド』と世界観を共有しています。渋谷で起こる連続殺人事件を扱ったサスペンスというだけでなく妄想トリガーによる分岐などシステムもテイストも「なんでそんな酷いことを」度も共通している、これまた尖った作品です。


そして、両作品ともに本編とは別にファンディスク『らぶchu☆chu!!(LCC)』が存在するのも推したいポイント。好きなヒロインたちとキャッキャウフフな展開が楽しめるサービスシーンも盛りだくさんの最高にハッピーな作品で、本編でひどい目にあっている分とっても楽しい気分を心から味わえます。こちらも別の意味でかなり攻めたシーンばかりのゲームで、どちらも一人きりの時間にプレイしたい作品でした。


『CHAOS;CHILD らぶChu☆Chu!!』では新たな分岐システム「Yes/Noトリガー」を採用

物語の関連性があるため『カオスヘッド』をプレイすることで本作を細部まで楽しめるようになるのはもちろん、6年の時を経て生み出された“近しい設定の異なる物語”を自分の中で比較していく面白さも中々他にはないもの。


Switch版ではセットパックも発売されているので、ぜひ『カオスヘッド』もご一緒に!という気持ちもありつつ、両作品の『LCC』を含めると一気に4作品となり、ボリューミー過ぎてかえってハードルに感じられる気持ちもあるはず。『カオスチャイルド』単独でもかなりのボリュームがある作品ですので100%楽しめないということは決してありませんので、あくまでプラスアルファを求める方に両方遊んでいただきたいといったところ。どちらかをアニメ版で楽しむなどの入り方もアリですので、お好みのスタイルでどうぞ。




年末年始のセールにて各ハードバージョンもお得になっており、1月18日からはCHAOS;CHILD発売10周年を記念し、『カオスチャイルド』と『カオスヘッド』の両作品を取り扱うポップアップイベントも秋葉原で開催予定と、10周年にしてプレイするには良いタイミングにもなっています。



ネタバレ性も強く端的な説明も難しい作品のため、他のアドベンチャーのように「〇〇するところまで読んで!」「伏線回収がすごくて~」など具体的な魅力を持ってアピールしづらいのが悔しいほどの名作で、なかなか評判が皆さんのところまで届かないこともあったかもしれませんが、プレイヤーの予想を裏切り期待を超えてきたからこそ、今なお多くのファンに愛されているのでしょう。


本稿も極力作品の根幹に関わる部分には触れずに(カオスヘッドとカオスチャイルドの限定版特典紹介なども考えたのですが)進めてまいりました。今でもストーリーを思い返すと感動が蘇る部分もあり腹の立つ部分もあり……きっと世の中のプレイヤーの皆さんも同じ気持ちだと思います。


この10周年という節目が、今なお色あせない物語の思い出に浸る機会に、そしてなんとなくタイトルは聞いたことがあったな~という方や、サスペンスホラー系作品が好きな方が作品に触れるタイミングになっていれば喜ばしい限りです。

【2024年~2025年】Game*Spark年末年始特集はこちら!

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