【直撃取材】Team NINJA×プラチナゲームズ…タッグ結成の経緯は?『NINJA GAIDEN 4』で「唯一無二のアクション」を生み出した安田氏・中尾氏にインタビュー
Game*Spark / 2025年1月28日 9時11分
マイクロソフトが1月24日に開催した最新ゲーム情報を紹介する「Developer_Direct 2025」にて発表された、『NINJA GAIDEN 4』。Team NINJAが手掛ける『NINJA GAIDEN』シリーズの10年以上ぶりとなる続編で、開発はプラチナゲームズが担当しています。
本作の主人公はリュウ・ハヤブサと肩を並べる天才忍者の「ヤクモ」。もちろん、これまでの主人公であったリュウとハヤブサもストーリーに密接に関わってきます。
今回はそんな『NINJA GAIDEN 4』に携わる、プロデューサーの安田 文彦氏(Team NINJA)、そしてプロデューサー兼ディレクターの中尾 裕治氏(プラチナゲームズ)のお二人を迎えて行われたメディア合同インタビューの様子をお届けします!
『NINJA GAIDEN 4』企画は約5年前から動いていた―タッグ結成の経緯は?
ーー『NINJA GAIDEN 4』の発表には、本当に驚きました(※取材日は「Developer_Direct 2025」配信同日)。そもそも、本作の開発はどういった経緯で決定されたのでしょうか。また、なぜコーエーテクモ(Team NINJA)とプラチナゲームズはタッグを結成したのでしょうか。
安田 文彦氏(以下、安田氏)今日いきなりの発表で、事前情報もない中でお集まりいただき、ありがとうございます(笑)。経緯としては、皆様ご存知の通り『NINJA GAIDEN』のナンバリングは十数年止まっていて、コーエーテクモとしても「新作を作りたいな」と検討は続けていましたが、なかなか決め手もないような状況でした。
そんな中で、コーエーテクモの社長である鯉沼(鯉沼久史氏。コーエーテクモゲームス代表取締役社長)と、プラチナゲームズの稲葉社長(稲葉敦志氏。プラチナゲームズ株式会社代表取締役社長)が同世代ということで縁があり、お互いの仲もいいのでお話させていただく機会がありました。
その後、マイクロソフトのフィル・スペンサーさんからも『NINJA GAIDEN』の新作を3社でやりましょうというお話があり、そこでプロジェクトが正式に発足しました。
もちろん我々もこれまで作品の開発を進めてきましたが、今回の『NINJA GAIDEN』の開発は十数年ぶりになります。そんななか、『ベヨネッタ』や『ニーア オートマタ』といった数々の素晴らしいアクションを手掛けてきたプラチナゲームズさんとご一緒させていただけるのであれば、是非!ということで、共同開発が始まりました。
ーーTeam NINJA側では『NINJA GAIDEN』の新作を作りたいと思っていたものの、その開発が難航していたということでしょうか。
安田うまくいっていなかった、ともなかなか言いづらいのですが(笑)。
ーー『仁王』や『Rise of the Ronin』などのタイトルもありましたしね。
安田ほかにも『Wo Long: Fallen Dynasty』などもそうですし、なかなかラインの確保が難しかったという経緯もあります。そういった中で、鯉沼のほうから話をさせていただいて、稲葉さんがそれに乗ってくれたという形だったと思います。
ーー本作の開発は何年ほど前からスタートしたのでしょうか。
安田正確には覚えていないのですが、5年ぐらい前からだったと思います。
ーー2020年頃といえば、コーエーテクモでは新オフィスへの移転など、環境の変化もあったかと思います。そういった中でどのように開発体制を構築していったのでしょうか。
安田我々は市ヶ谷を中心に活動しており、一方のプラチナゲームズさんは大阪に拠点があります。最初のうちはお互いに行き来をしながらコミュニケーションをとっていましたが、コロナのこともあり、ある程度軌道に乗ってきてからはオンラインでのやりとりをするようになりました。
ーープラチナゲームズ側はどうでしょうか。2020年前後といえば、『ベヨネッタ3』や『The Wonderful 101』のリマスター、組織体制の変化などが挙げられます。
中尾 裕治氏(以下、中尾氏)本格的にTeam NINJAさんとのやり取りを始めていったのは、今挙げていたタイトルよりも少し後ぐらいの時期になります。そこから議論を重ねて、マイクロソフトさんの技術的な協力もありつつゲームの内容を詰めていきました。
ーーかなり最初の段階から、マイクロソフトも開発に参加していたのですね。
安田そうですね。「最初から3社で」という形でのスタートでした。
ーーコロナ禍の影響もあり、発表がこの時期になったということでしょうか。
安田そういった影響もあると思います。実際、本格的に開発がスタートしたのは2022年か2023年頃で、開発期間で言えば3年弱といったところです。プラチナゲームズさんを主体に、人員やタイミングなどを含めたスケジュール感のもと制作が進められてきました。
ーー本作のパブリッシングはマイクロソフトが担当するのでしょうか。また、PlayStationでも展開されるのでしょうか。
MS:戦略的な部分は詳しくお話できないのですが、シリーズファンの中にはPlayStationユーザーもいるはずです。私達はこの伝説的なフランチャイズを幅広いプレイヤーに楽しんでもらいたいという気持ちがあり、PlayStationでも展開するという判断になりました。
ーー『NINJA GAIDEN4』の制作が決定した後、開発はどのように進行していきましたか。
安田大きなところとして、まずは企画をどうしていくかということがありました。「シリーズの価値を伝えられるナンバリングを両社で作ろう」というところから始まり、プラチナゲームズさんから「新しい主人公」の提案がありました。
前作からも時間が経っていますし、リュウ・ハヤブサは“超忍”として完成しているキャラクターであることからも、新しく若いキャラクターを作って、新規のプレイヤーも入っていきやすいような形で進めることになりました。
もちろん、リュウも対等に登場させたいという気持ちは我々にもあり「Developer_Direct 2025」の映像のように本作のストーリーに登場していきます。
ーーリュウはプレイアブルキャラクターとなるのでしょうか。また、二人を交互に操作するような感じなのでしょうか。
中尾詳しい部分は続報をお待ちいただきたいのですが、「ヤクモ」と「リュウ」それぞれに目的や物語があって、敵と戦うという流れがあります。その中で映像にもあったように、「何故その二人が対峙することになったのか」という部分にも注目してもらいたいです。
ーー二人は最初から対立しているような関係なのでしょうか?
中尾今回の主人公であるヤクモはリュウとは異なった一門の忍者で、とある理由からリュウと敵対せざるを得ない状況になっていきます。若いヤクモは成長途中で、忍者の頂点であるリュウという存在を超えていくために挑戦します。
ーー新しい主人公「ヤクモ」を起用することに対する不安はありましたか。『NINJA GAIDEN』シリーズといえば、やはりリュウの印象が強いですが……。
中尾不安が全く無いわけではないです。リュウ・ハヤブサといえば『NINJA GAIDEN』シリーズのアイコン的存在ですが、本作でヤクモという新主人公に取って代わったのではなく、「ふたりの忍者が物語を織りなしていく」というところを楽しんでいただければと。
両方のキャラが立っているので、これまでのファンの方にもぜひとも受け入れてもらいたいと思っています。
ーー構図としては、両社(Team NINJAとプラチナゲームズ)の関係に似ている部分もありますね。偉大なシリーズが既にあって、それに負けないように新しいものを打ち立て乗り越えていくという。
中尾お互いが協力的に、というよりは「ヤクモが挑み、リュウが立ちはだかる」という構図で、互いに切磋琢磨していく感じです。
安田お互いそんなに喧嘩はしていないですよ(笑)。
ーー本作の開発にあたって「制作するなら『NINJA GAIDEN』が良い!」というような打診がプラチナゲームズ側からあったのでしょうか。
安田社長クラスの話では私も詳細まで分かりませんが、以前に稲葉さんとお会いした時に、正式なナンバリングタイトルとして制作したいと伺っていました。
ーーいちユーザーとしてみると、Team NINJA・プラチナゲームズのどちらもアクションの開発というイメージがあり、タッグを組むのは素直に楽しみな気持ちがあります。一方で、なぜTeam NINJA独自の開発ではなく、プラチナゲームズとの共同開発というスタイルになったのでしょうか。
安田先程も話したように、別タイトルなどの開発ラインや新作にチャレンジをしている状況の中で、我々も深く関わることを前提としつつも、これまで優れたアクションを手掛けてきたプラチナゲームズさんと一緒にやりたいという気持ちがありました。
これまでに他社のIPを預からせていただいたこともありますし、逆に我々からお願いして作っていただいた経験もあります。そこからさまざまな学びを得ることもありました。
中尾少し補足すると、実際は「依頼を頂いて作っている」ということにはなるのですが、気持ち的には「ふたつのアクションゲームの会社が、一緒に力を合わせて伝統的なIPを最強にしていく」という感じです。
安田私をはじめTeam NINJAの面々もプロデューサーなどで携わっており、『Wo Long』のディレクターを担当した平山(平山正和氏)など現場のほうにも深く入っています。Team NINJAが丸投げした!というわけではないです。
我々も刺激をもらっていますし、シリーズ作品を作ってきた中で変えられない部分も出てきました。プラチナゲームズさんのゲームは“ケレン味”があったり、直感的な気持ちよさがあったりと、そういった部分は非常に学びになっています。
ーー共同開発を行う中で新鮮に感じた点や、作品に活かされているポイントなどはありますか。
中尾やりとりをする中で一番感じたのは、「アクションの手触りが全然違う」ということで、プラチナとしても勉強になりました。
これまで愛されてきた『NINJA GAIDEN』が本来持っているアクションを活かしながら、プラチナならではの「派手な一撃」「ケレン味のあるアクション」といった要素を織り交ぜています。
安田我々は最近「歴史モノ」のアクションRPGを作ることが多かったので、『NINJA GAIDEN』のピュアなアクションゲームとしての手触りや、「滅却」システムによるカタルシスといった部分の“派手さ”は、我々だけでは達成できなかったと思います。
今回公開した映像の反応を含め、すごく良いかたちでゲームを作って行けているのかな、と感じています。
中尾互いの良さをうまいことミックスできたな、という感覚がありますね。
安田制作の考え方が異なる部分ももちろんあるのですが、中尾さんがもともと『NINJA GAIDEN』の大ファンだったということもあり、言語化しづらい部分も汲み取っていただけました。
ーー「雑魚戦」であっても油断できない『NINJA GAIDEN』の“途切れない緊張感”のなかに、プラチナゲームズ作品の“派手さ”が加わっている、ということなのでしょうか。
中尾仰る通りの“途切れない緊張感”や、“攻防の入れ替わりが激しく、スピーディー”といったようなこれまでの良さを入れつつ、爽快感を感じられるような緊張と緩和の要素を入れていったというかたちになります。
ーー中尾さんは『NINJA GAIDEN』の大ファンとのことですが、新作を作るという話を聞いたときはどういった気持ちでしたか?
中尾本当に嬉しかったです。僕がプラチナゲームズに入社する時も、当時の上司に「人生で一番『NINJA GAIDEN 2』が好きなんです!」と言っていました。まあ、それでもプラチナゲームズに入っているんですけども(笑)。
安田おかしいじゃないですか(笑)。
中尾そういったこともあり、プロジェクトのお話を頂いたときには「チームに入りたい!」と言っていました。半ば、チームにはゴリ押しで入れてもらったような感じです。
『NINJA GAIDEN 3』からも時間が空いており、自分自身も『4』の発売を待つ側の人間でした。しかしまさか、提供する側になるとは思ってもいませんでしたし「『NINJA GAIDEN』をこういう風に進化させていきたい」と考えていたところを思い切り入れ込むことができました。
プレイヤーと敵は“常にフェア”…表裏一体の攻防や新たなアクションで進化する戦い
ーー本作のアクションについて、ポイントとなるようなもの、軸となるようなものはどういったものでしょうか。
中尾公開された映像の中でもあった、新主人公のヤクモが使える「血楔忍術 鵺の型」というアクションが本作の肝になっています。
先程もお話ししたように、『NINJA GAIDEN』シリーズならではの一対一の攻防、多勢に無勢な状況を新要素によって打破することで、緊張から解かれた気持ちよさや爽快感が強調されます。
しかし難易度が簡単になったというわけではなく、これまでの戦闘の厳しさは維持しつつも、“ご褒美”的な要素をプラスしたというイメージです。
ーーニュアンスとしては、シューティングの「ボム」のように、敵の集団に対して一発逆転のチャンスとして切り抜けるためのものなのでしょうか。
中尾そういった使い方をすることもできますし、巨大な敵とも対等に渡り合える引きとして使うこともできます。使い方やシチュエーションによっては、血楔忍術で繊細な戦い方も可能となっています。
色々な種類もありますし、単純な「ボム」としての使い方だけでなく、深みとなるような要素も入れています。
ーーガードだけでなく、パリィやジャスト回避といった「今どきのアクション要素」はどのように組み込まれていくのでしょうか。
中尾映像でもジャスト回避のシーンがありましたが、しっかりと『NINJA GAIDEN』の激しい攻防の入れ替わりという部分にマッチするようにシームレスに作られています。
「敵の攻撃を見極めて、パリィをして……」といったようなじっくりとした戦いではなく、目にも止まらぬ速さで攻撃を回避したり、ガードをしたり、弾いたり……とさまざまな行動がいろいろなアクションをきっかけに開始できるようになっています。
ーー敵の激しい攻撃の中で、動きの遅いものにパリィを合わせていく……というのは、Team NINJAが手掛けるアクションにも見られるような気がします。
安田Team NINJAも『Rise of the Ronin』などパリィに重きをおいたアクションは多く作っており、スタミナといった要素も「現代のアクションゲーム」のひとつの形だと思っています。
もちろんそういったスタイルも検討しましたが、『NINJA GAIDEN』ではそういった時代の流れに合わせるのではなく、ひとつの「シリーズとして正しい形」である今の形に落ち着きました。
「パリィ」や「ジャストガード」「ジャスト回避」に相当するものはもともと、『NINJA GAIDEN』にも「捌きの法」として存在していました。戦闘の駆け引きの要素やバリエーションがより多くなった、というイメージです。
中尾今の段階で詳細はお伝えできないのですが「攻撃を躱して反撃する」「攻撃同士がぶつかって、そこから逆転する」など多彩なシステムで戦闘が構成されており、アドリブでスピーディーな戦いを楽しめるなど、唯一無二の遊び心地になっていると思います。
ーープレイヤーが動きに合わせて攻防の切り替えをコントロールできる、ということを大切にしているのですね。
中尾『NINJA GAIDEN』では「自分と敵のフェアな攻防」が大事だと思っていて、プレイヤーと敵はあくまでも対等です。攻防の切り替えにおいて、あらゆるアクションから逆転したり、劣勢に陥ったりとさまざまな状況に移行するところは、もはや対人戦をしているような感覚です。
それを楽しめるのがこのIPの良さだと思っていますし、本作ではそこをより強調しています。時間も空いていますし、しっかり進化させていこうという思いがありました。
――『NINJA GAIDEN3』の発売から10年ほど経過しましたが、『3』の時にユーザーから受けた声や、開発として見えてきた課題があったかと思います。そういった部分は『4』の開発においてうまく解消されていますか。
安田『NINJA GAIDEN 3』は私自身もディレクターを務めたタイトルでもあって、シリーズの中ではベクトルを大きく変えた部分もありました。その反応や、開発でやりきれなかった部分を含めて本作にしっかりと関わらせてもらいつつ、タイトルの持つ本質的な部分を強調するようにしました。
先程も仰っていた「フェアな攻防」であったり、リュウ・ハヤブサの手触りのよさ、プレイアビリティがあるからこその歯ごたえのある難易度など、そういった部分がより自覚的になりましたし、プラチナゲームズさんにもしっかりとお伝えしています。
ーーこれまでの『NINJA GAIDEN』シリーズではボタンを押すだけで爽快に戦えるほか、プレイヤーのレベルによっては様々なアクションを出すことができます。一方のプラチナゲームズも『ベヨネッタ』などでは膨大なアクションが用意されていますが、本作のアクションの自由度は過去作よりも増しているのでしょうか。
安田リュウ・ハヤブサは完成された超忍でしたが、今回の主人公のヤクモはストーリーの中で成長する姿が描かれています。アクションとしてできることはすごく多いのですが、ある程度順序立てて学ぶことができるので、プレイヤーの皆さんとヤクモがリンクして成長するようなイメージです。
「システムの複雑さ」ではなく「システムの奥深さ」という部分は、今回もしっかりと表現できているのではないでしょうか。
中尾補足ではっきり言ってしまうと、本作では細やかなアクションが結構増えており、戦闘にさらなる深みが出ています。初心者や中級者の方も爽快に遊べるようになっていますし、上級者やシリーズファンの方も「これとこれの組み合わせで……」と、噛めば噛むほど味が出るように設計されています。
ーー敵と味方の「フェアな攻防」とのことですが、敵がプレイヤーと似たような技を使ってきたり……ということもあり得るのでしょうか。
中尾敵ももちろんやってきます。加えて、攻防がどのように逆転するか、または負けてしまうのか……という展開がすごく多いので、ただ一辺倒に攻守を切り替えながら戦うわけではありません。
敵によって行動の傾向が違ったり、攻撃の規模が異なったりとバリエーションが出てくる部分でもあります。
新たなる“もう一人の主人公”、「ヤクモ」について深堀り
ーー「ヤクモ」というキャラクターの持つ魅力や造形、表現などで注力したポイントはありますか。
中尾本作は『NINJA GAIDEN』のナンバリングではあるものの、時間に関しては大きく空いてしまっています。新規の方でも遊んでいただけるように、キャッチーな見た目にしていくということは初めから決まっていました。
そのうえでリュウとの対比になるように、「若さ」や「リュウとはまた違うクールさを持っている」といった要素を取り入れた現代的なデザインになっているのが魅力のひとつです。
ーーリュウとの対比ということもあり、キャラクターデザインの考案は難航しなかったのでしょうか。それとも、色々と試行錯誤を重ねたのでしょうか。
中尾大まかな部分は初めから決められていましたが、細かいところの詰めに関しては試行錯誤しました。
安田若いので、結構喋るという設定も最初はあったのですが、あんまり喋らないほうが良いんじゃないということになって(笑)。周囲のキャラクターも含めて、口数などを調整しています。
ーーヤクモを一言で表すと、どういったキャラクターなのでしょうか。
中尾一言で言うと「ずっと殺しの任務を遂行し続けてきた、心のない未熟な忍者」という感じです。任務は実直にこなしていくものの、人を殺すことによって起こる影響についてはまだ理解していません。
そういった部分はリュウとの戦いを経て学んでいくなど、心の成長が見られるキャラクターでもあります。
ーー人の悲しみを知っていく、ということでしょうか。
中尾それもありますが、なにより本作のメッセージとして大きいのが「忍者とは一体何なのか」ということです。この部分をユーザーとヤクモがリンクし、一緒に理解していくという形を作りたかったのです。
安田忍者といえば任務を遂行するエキスパートであり、顔や感情を隠しているというイメージは外さない形で表現しています。
ーー本作はナンバリングタイトルですが、シリーズ作品の時系列的にはどこに位置するのでしょうか。
中尾『3』の後の世界で、具体的な数字は言えませんが「それなりの年数」が経っています。一旦は落ち着きを取り戻したものの、本作の冒頭でまた問題が起こって……という感じです。
ーーヤクモとリュウはそれぞれプレイアブルキャラクターとなっていますが、「ダブル主人公」ということなのでしょうか。あるいは、それぞれのキャラクターをプレイできる割合はどれぐらいのバランスになっていますか。
中尾プレイするバランスでいうと、主人公でもあるのでヤクモの方が多いです。しかしリュウが少ないのかと言われるとそうでもなく「リュウ・ハヤブサが強い」と感じられるくらいの時間は確保しています。
ーーふたりのキャラクターのプレイスタイルについて、違いはありますか。たとえば一対一が得意であったり、複数戦が得意であったりとか。
中尾リュウに関しては、これまでのシリーズの手触りや操作性をそのまま引き継いでいます。映像でも見覚えのある技があるかと思いますし、達人技を駆使した一対一の戦闘が得意です。
ヤクモも一対一の戦闘はできますし、戦いの中でヤクモなりに工夫して巨大な敵やたくさんの敵に対抗できる「血楔忍術」を使ったダイナミックかつ繊細な戦い方が特徴です。
ーー昨今のアクションゲームの動向を受けて、過去作から変更した部分と、逆に手を加えなかった“シリーズのコア”となる部分はありますか。
安田今ではジャンルも細分化されてきており、アクションRPGやオンラインといった要素が増える中で、最近ではアジアを中心に「シングルプレイのアクションゲーム」の機運が高まっています。当然これは読んでいました……嘘です!(笑)
ちょうどこのタイミングで本作を作ってお話しができているので、そのあたりは時流にも合っているのかなと思います。色々な要素を付け足すことはできたと思うのですが、シングルプレイでソリッドな『NINJA GAIDEN』を作るということを最初から決めていました。
一方で、同日に発表された『NINJA GAIDEN 2 Black』に関して言うと、オプションやプレイしやすいユーザビリティ、アクセシビリティといった部分がこの10年間で大きく変わっています。そういった変化については、しっかりと時代に合わせて対応しています。
ーー設定といえば、公式サイトでは難易度カスタマイズ機能の記述がありました。『NINJA GAIDEN』シリーズといえば高難度なアクションで知られていますが、それに対するフォローのようなものなのでしょうか。
中尾初心者向けの救済措置というよりは、より遊びやすく、ゲームを理解しやすくするための機能というイメージです。結構な段階の難易度が用意されており、爽快に遊べるようになってはいますが…『NINJA GAIDEN』の肝である、ヒリつく戦いの部分は外さないようにしています。
ーーそれは楽しみです。たくさん死ぬ前提のゲームではありますが、チェックポイントなどの仕様はどうなっていますか。戦って負けてしまった場合、どのくらい戻されるのでしょうか……?
中尾プレイしやすさの話でもあったように、リプレイ性が高くなるように設計しています。直前にも戻れたり、純粋に戦闘を楽しめるようになっています。
安田リニアなゲームでは、どうしても序盤で詰まりやすいということもあるので、そういった部分のケアも先程の難易度の話に関連してくるかと思います。
ーー共同開発のやりとりを重ねる中で、意見の相違やここはお互いに譲れない、といった点が見つかったことはありますか。
安田リュウ・ハヤブサの手触りなどは、我々としても「うるさい」と思われてるだろうなぁ……と感じますね(笑)。そこに関しては特に色々と意見を言わせてもらいました。操作感や細かい部分とアニメーションの見え方、レスポンスなど「リュウ・ハヤブサになりきれる」ということを、これまでのシリーズ作品同様に重視しています。
データをお互いで確認したり、マイクロソフトさんにも技術的なサポートをいただいたりするので、オープンな環境で開発を進めることができました。
ーーマイクロソフトは技術的なサポートのみで、デザインなどクリエイティブな部分には関与していないのでしょうか。
安田基本的に企画の立ち上げ段階から一緒で、ワールドワイドのユーザーリサーチであったりとか「このタイトルが何を求められているか」など意見をいただくことがありました。さらに、マーケティングや宣伝といった部分もマイクロソフトさんに主導していただいていますし、クリエイティブな部分はある程度任せて頂いていると思っています。
マイクロソフト担当者こういった大きなタイトルやフランチャイズであれば、我々は一任するしかないかなと思っています。
安田さらに驚いたことに、『NINJA GAIDEN 2』はもともとXbox 360でリリースされており、当時のパブリッシャーもマイクロソフトさんでした。その時に関わっていた方と再びタッグを組むことになって、関係性を改めて感じました。
ーーリュウ・ハヤブサはシリーズらしいアクションを担えるうえ、ヤクモは新しく解釈された『NINJA GAIDEN』を担うことができるので、すごく自然な形に収まっている感じがします。
中尾先程もお話ししたように、間違いなくお伝えしたいのはその部分で、主人公がヤクモに切り替わったわけではないということを強調したいです。
ーー改めて、本作ではTeam NINJAとプラチナゲームズがタッグを組んでひとつのアクションを作っています。お互いの長所を見せ合いながら開発を進めたことで、新しく生まれた価値や変化などはありましたか。
中尾先ほどお伝えした中で大事にしていたところは「アクションの手触り」で、ここがタッグを組んだ結果すごく洗練されたように感じます。Team NINJAさんの繊細なものにプラチナゲームズの派手さが加わり、唯一無二のものができたと思っています。この味はこのタッグでなければ生まれなかったと思うので、実際に触ったときの気持ちよさを感じていただきたいです。
安田これまで様々なアクションを開発してきましたが、「手触り」の話などをするときはチーム内で完結していたため、言語化をしてこなかったことに気付かされました。どう伝えればいいのか、どういった目的なのか……など、コロナ禍もあって「言葉で伝える重要性」を感じました。
また、デザインやサウンドの提案など、これまでのシリーズをそのまま我々が作ったら出てこないような提案もいただけて、良い刺激になりました。
ーーちなみに、その体験はいつ頃できるようになるのでしょうか…!?発売日もそうですが、体験できる機会などは……?
安田一応発表させていただいている通り、発売は2025年の“Fall”を予定しています。秋もだいぶ幅がありますけど(笑)。
ただアクションゲームなので、どこかのタイミングで実際に触っていただけるような機会を用意したいと思っています。ぜひ、続報をお待ちいただければと思います。
ーー改めて、本日はありがとうございました!
『NINJA GAIDEN 4』は、2025年秋にPC(Steam)/Xbox Series X|S/PS5を対象に発売予定です。
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