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中古車と平和を望む若者が歴史を動かした!長距離ドライブRPG『Keep Driving』をプレイしながら振り返る「ウッドストック・フェスティバル」

Game*Spark / 2025年2月2日 15時0分

YCJY Gamesのちょっと風変わりなシミュレーションRPG『Keep Driving』が、2月6日に正式配信されます。


これは、遠方で開催されるイベントに参加するために車で長距離ドライブをするという内容。「何だ、それだけ?」と言われそうですが、実は「それだけ」が結構大変です。「車で何日もかけてイベントに参加する」というのは、広い平野に恵まれた国々ではポピュラーな旅のスタイルですが、その道中には様々なトラブルが発生します。


ですが、『Keep Driving』で描かれているような長距離ドライブは行き詰った政治や人類史をも変革し得るムーブメントを巻き起こすことも。今回はゲーム本編(執筆時点でデモ版が配信)に触れつつ、1969年8月の「ウッドストック・フェスティバル」について解説していきたいと思います。


自動車が人類の行動様式を変えた!


自動車は、人類の行動様式を大きく変えました。


それまで、個人の長距離移動には馬が用いられてきました。13世紀のモンゴル帝国の急拡大も、まさに「馬の脚力による軍事侵攻」。アメリカ史を振り返ってみても、白人が馬に乗って先住民を追い散らしながらその居住地を分捕っていった歴史と言えます。


そんなアメリカでは、20世紀に自動車の大量生産が行われるようになります。五大湖周辺の工業地帯で生産される自動車は、消費者の要望に応じる形でモデルチェンジを繰り返していきます。そうなると、今度は「中古車」というものが巷に出回るようになります。


新車を買うお金はないけれど、どうにかして自前の車を持ちたい。そうした人は、中古車ディーラーに声をかけます。中古車市場の存在は、誰しもが自動車を所有できる時代を現実のものにしました。


1960年代の若者


1960年代、アメリカは「閉塞感の時代」を迎えます。長引くベトナム戦争は、それまで繁栄の一途を遂げてきたアメリカ人の心に大きな影を落としました。やがてベトナムの戦場の様子がジャーナリストの手で撮影されるようになると、地獄のような悲惨な光景に市民は愕然とします。


プロボクシングヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが「俺はベトコンに用はねぇ!」と言って徴兵を拒否した時、アメリカ人の多くはアリに非難の矛先を向けました。驚くべきことに、スポーツ界の黒人差別解消に大貢献したプロ野球選手のジャッキー・ロビンソンも「なぜ徴兵に応じないんだ!?」とアリを非難しています。


しかし、戦場の様子がテレビや雑誌、報道写真集を通して徐々に明らかになり、アリと同じように「俺は戦争には行かない!」と堂々公言する若者が急増しました。


そんな若者は愛と平和と戦争反対を叫ぶヒッピーとして、各地を旅しました。堅苦しいスーツを着た大人たちに反抗する意味合いで、ルーズな上着やジーンズを身に着けてギターを奏でます。「不良か肉体労働者しか履かないもの」だったジーンズがゲーム産業に与えた影響については、以下の記事をご覧ください。


型落ちの中古車に乗った40万人


独自の経済力を持った若者が中古車を購入し、それに乗って遠方で開催される音楽フェスティバルに参加する。『Keep Driving』で描かれているジャンクな旅行スタイルは、ウッドストック・フェスティバルで確立されました。


ニューヨーク州サリバン郡ベセルの牧場で開催された3日間に渡るこのロックフェスには、実に40万人もの観客が集まりました。それは「音楽を聴く」というよりも、「その場に集まる」ということが半ば目的化されていたイベントでもありました。


40万の若者たちは、型落ちの中古車に乗って全米各地からやって来ました。地元の仲間との相乗りやヒッチハイクなどで来た人も多く、会場はある種の団結感で包まれていたといいます。


実際に、ウッドストック・フェスティバルでは観客同士による暴力沙汰は報告されていません。会場での出産はあったとのことですが、喧嘩の類は一切起こらなかったとされています。大人たちが毛嫌いする格好の若者は、「暴力の否定」を口だけでなく行動で示したのです。


「食い散らかしながら移動する」醍醐味


『Keep Driving』は、まさにウッドストック・フェスティバルから端を発するロングドライブカルチャーを再現した内容です。


主人公は、今にもエンストしそうなポンコツ中古車で旅立ちます。道中、ガソリン補給や売店での買い物、日雇いのアルバイト、そしてヒッチハイカーを乗せたりもしながら目的地を目指します。日本のJAFのような団体があるわけではないため、車のトラブルは自分で解決しなければなりません。


それでも、ロングドライブには「そのスタイルでなければならない魅力」があります。


足元に転がるビール缶をつま先で刎ね除けながら、アクセルを踏んで加速する時の爽快感はドライブならではの感覚です。……実はこのゲーム、売店でビールを買ってそれを飲んだ直後に運転するということができます。


もちろん、飲酒運転は大変危険な行為なので絶対にマネしてはいけないのですが、「気ままに食い散らかしながら移動する」というロングドライブの醍醐味を上手く表現しているという点は評価すべきではないでしょうか。正式配信が待ち遠しい作品です。


『Keep Driving』は、PC向けにSteamで2月6日に配信する予定です。



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