Game*Sparkレビュー:『キングダムカム・デリバランス II』魔法もドラゴンも存在しない“リアル”な世界が大幅進化。多彩なアプローチ&快適なゲームプレイで没入感も最高に
Game*Spark / 2025年2月4日 13時0分
PLAIONは、チェコを拠点とするゲームスタジオWarhorse Studiosの手がけるオープンワールドRPG『キングダムカム・デリバランス II(Kingdom Come: Deliverance II)』を、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年2月5日リリース予定です。
本作は15世紀の中世ヨーロッパを舞台にしたRPG『キングダムカム・デリバランス』の続編タイトル。プレイヤーは“並外れたことを成し遂げる平凡な若者”の主人公・ヘンリーとなり、オープンワールドで描かれる美しい世界でリアルな中世生活を体験していきます。
ゲーム内では、さまざまな人物や勢力の思惑が入り交じるストーリーが展開し、プレイヤー自身の選択と成長が大きく運命を変化させます。また、史実に則ったという重厚で没入感の高い戦闘や、さまざまなアプローチで進行できるクエストなど、幅広い楽しみ方が用意されています。
本稿では、いよいよ発売される『キングダムカム・デリバランス II』のレビューをお届け。2025年1月に公開した先行プレビューもあわせて御覧ください! なお、本記事はパブリッシャーから提供されたキーを使って制作しています。
「スカリッツのヘンリー」の新たな冒険が始まる
本シリーズの物語は15世紀のボヘミア地方。元々鍛冶職人の息子として、平穏な暮らしを続けていたヘンリーは、勃発した戦乱に巻き込まれて故郷のスカリッツ村も家族もすべて失ってしまいます。領主に献上するはずだった“父の作った剣”も奪われたことで、ヘンリーは壮大な復讐の物語をスタートさせたのです。
シリーズ最新作の舞台は、前作では行くことができなかった「トロスキー地方」。ヘンリーは貴族のハンス・カポン卿の護衛として、城の領主へと書状を届けに行くことになります。ハンスは過去にヘンリーと色々な経験を経て親友となった人物で、ストーリーとしても前作から続いている形です。
しかし、その道中に警備部隊との揉め事や盗賊の襲撃などのトラブルが続き、ヘンリーとハンスは仲間を殺されてしまいます。2人はかろうじて生き延びたものの、大切な書状を奪われ、しかも身分を証明できるような衣装までも失い、誰にも頼れない地域で再起しなければなりません。
導入部でのヘンリーは前作で経た経験を元にした能力の高さを見せましたが、この襲撃で負った怪我によって大幅にレベルが低下してしまいます。さらに愛犬や愛馬などが行方不明となり、まさしくすべてを失った状態で、新たな『キングダムカム・デリバランス』の物語が幕を開けるのです。
広大なエリアの冒険は自由自在
本作の大きな特徴として、クエスト解決に多彩な方法が用意されていることが挙げられます。ゲーム内ではNPCとの会話の中で相手を納得させるために、ヘンリーのスキルや評判、身なりなどから影響される「説得」「魅了」「威勢」「強制」「支配」「脅迫」といったステータスで成否が判定されます。
立派な衣装に身を包めば「魅了」に繋がって信頼させることもできますし、強さを証明できれば喧嘩っ早い相手でも大人しくさせられるでしょう。クエストによって求められるステータスは異なりますが、ヘンリーの個性を磨いておくことが解決の近道になるのです。
もちろん、能力が足りずに判定が失敗しても、得たヒントを元に地道な探索を続けられます。『キングダムカム・デリバランス II』の魔法やドラゴンが存在しない“リアル”な世界では、必ずといっていいほど事件に手がかりが残されています。もっと短絡的な解決を望むなら、暴力や窃盗などの犯罪行為でも目的を達成できることがあるのです。
(捕まったり殺されることもありますが)基本的に選択したことに“間違い”はなく、自分で判断した行動が結果や成長に繋がるゲームプレイは本作の醍醐味のひとつ。豊富なサイドクエストをクリアしていくことで、スキルの成長はもちろん、地域に住む人々との関係も深まり、思わぬところで助けてくれることもあります。
遊びやすさの向上が嬉しい
『キングダムカム・デリバランス II』では、前作の自由なプレイスタイルや緊張感のある戦闘の面白さはそのままに、さまざまな点で遊びやすさの向上が見られます。特に戦闘システムの改善は劇的なもので、プレイフィールを大幅に引き上げています。
本シリーズでの戦闘は、攻撃/防御の方向を選択しながらアクションする方式。前作では(マウス/キーボードで)右クリックで突き攻撃、Qキーで防御と、やや操作形態が複雑でした。今作では右クリックが防御キーとなり、攻撃と防御がスッキリとまとめられています。
訓練を積むことで、前作でも強力だった「マスターストライク」などのテクニックを習得可能。武器種も剣や大剣、メイスなどの近接武器のほか、遠距離用の武器として弓以外にクロスボウなどが登場し、戦闘における選択肢がさらに高まっています。もちろん、油断すれば簡単に出血して死んでしまうので油断は禁物です。
また、本作の新たな会話システムとして「返答」があります。これは、距離が離れていたりアクション中であったりする相手と会話をするもの。馬での並走時に走りながら会話したり、更に戦闘時には相手を挑発することもできるのです。クエストで“まともに喋れない状態”の相手に返答することで、目標が分岐することもあります。
武器を構えている相手を遠くから説得したり、村人の呼びかけに答えたりと、遠くの相手と話せる「返答」は、会話そのものをとても自然かつスムーズに表現しています。「返答」のためにも村での雑談などに耳を傾けるようになり、ゲームの没入感を最高に高めてくれているのです。
新規プレイヤーにも優しい作り
『キングダムカム・デリバランス II』は前作のラストから数日後という設定で、直接的な続編となるストーリーが描かれます。とは言え前作未プレイの方でもストーリーに入り込めるように、さまざまな工夫が用意されています。
ゲーム内では、前作の物語や世界観、印象深いイベントを振り返るシーンが度々発生します。物語のメインとなる舞台が新たな地域になったことで「ヘンリーを知らない人物にその出自を語る場面」が起きることもあれば「意識が朦朧とした中で思い出した回想」が出てきたりと、ストーリーの中に違和感なく組み込まれる形で前作が振り返られます。
もちろん『キングダムカム・デリバランス』をプレイしていた方が物語やキャラクターの描写は楽しめますが、こうした未プレイヤー向けの演出によって、しっかりとゲームの雰囲気を理解しやすくなっています。ゲーム内のヘルプやチュートリアルも親切なので、操作や“やるべきこと”に悩むことも少ないのではないかな、と思います。
また、公式サイトでは「これまでのストーリー」として、ゲームの世界観や特徴を説明する記事を公開しています。また、Game*Sparkでは昨年の「TGS 2024」にて、イベントレポおよび合同&個別インタビューも行っています。こちらの方でもゲームの繋がりや遊びやすさについて聞いているので、ぜひともご覧ください!
「自由」というハードルの高さを乗り越えてほしい
『キングダムカム』シリーズは、多彩なアプローチでゲームを進められる作品です。それは“ヘンリー”という男の性格や生き方をプレイヤー自身がしっかりと造れるということでもあり、本シリーズの最高の魅力のひとつでもあります。
ただし、あまりにも「自由」であることで、世界観に慣れない内はプレイが難しいと感じるかもしれません。病み上がりでお金も装備もない序盤のヘンリーはお世辞にも強いとは言えず、酔っぱらい相手の殴り合いの喧嘩ならまだしも、武器を使った戦いではチンピラ相手にも苦戦してしまいます。
本作の戦闘は防御力、もっと言えば“相手の攻撃を防ぐこと”がとても重要です。ゲーム内では“戦闘中に治療ができない”ルールがあるので、出血でもしたら命取りになりかねません。そのため、装備が揃うまでのクエストでは、なるべく無謀な戦闘は避けたり、有利になる選択をすることが堅実です。
サブクエストをクリアしようと旅していたら、他の地域で突然違う騒動に巻き込まれ、新たな仕事が増えていくのも日常茶飯事。NPCたちは、次々とヘンリーに無理難題をふっかけてきます。己のスキルを加味して、いかに“自分ができること”を探し出さなければ、人々に信用されませんし、最悪命を落としてしまいます。
とはいえ、この序盤の無力な状態でひたすら足掻く体験は、『キングダムカム・デリバランス II』の面白さそのものです。地道に仕事をこなして能力を鍛える、窃盗してでも装備やアイテムを揃える、提示されている情報を元に解法を探し出すと、あらゆる行動が可能です。本当に困ったら、逃げてしまうのも選択肢なのです。
本作の「自由」とは、「能力がなければ何もできないこと」でもあります。悩み、足掻き抜いたその先に、プレイヤーの思い描くヘンリーが完成していくのです!
7年ぶりとなるシリーズ続編『キングダムカム・デリバランス II』は、史実に基づいた世界観の中で、プレイヤーが自由に選択しながら紡ぐ物語を体験できます。クエストへのアプローチの多彩さ、やりごたえのある戦闘や探索、そして魅力的なキャラクターや美しい風景など、前作の魅力を活かしてより遊びやすくなっています。
戦闘や移動、探索、クラフトとあらゆる面で「便利に進化している」と実感できるシステムの向上は、ゲーム内でのストレスを感じさせません。先行プレビューでも述べたように「茂みに引っかからなくなった」という変更によって、森の移動・探索が驚くほど快適になったことが嬉しく思いました。
ストーリーとして直接的な続編ながら、新規プレイヤーの理解を助ける演出もゲーム内に違和感がなく組み込まれています。筆者は『キングダムカム・デリバランス II』の音楽や「宴」の演出シーンが大好きなのですが、今作でもたっぷりと楽しめますよ!
「Game*Sparkレビュー」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、オリジナルレビューをお届けします。対象となるタイトルはAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。
このレビューでは、10段階評価をベースに「良い点」「悪い点」を挙げながら総評を下します。0点から3点は「難アリ/オススメできない」、4点から6点は「ふつう/そこそこオススメ」、7点から10点は「とても面白い/とてもオススメできる」に当ります。「プレイレポート」として公開している記事では、本企画と同様の評価を付けません。また、記事の性質上、ストーリーなどの「ネタバレ」を含む場合がありますので、閲覧の際はご留意ください。
また、「Game*Sparkレビュー」は「PR記事」と一切の関係を結ばず、すべての評価内容がライターの価値観に基づきます。特定の企業やプロモーション、ユーザーコミュニティにも影響を受けません。
なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイし、評価します。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。
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