[クラブユース選手権U-18]三菱養和ユースが全国V! 東京ダービーで街クラブの意地がさく裂
ゲキサカ / 2014年8月3日 9時55分
[8.2 日本クラブユース選手権決勝 三菱養和SCユース 1-0 F東京U-18 ニッパ球]
ついに、“街クラブの雄”が頂点にたどり着いた。夏のクラブユース日本一を決めるadidas CUP 2014 第38回日本クラブユース選手権(U-18)大会は2日にニッパツ三ツ沢球技場で決勝戦を行い、三菱養和SCユースが1-0でFC東京U-18を下して31年ぶり3度目の優勝を飾った。
90年代初頭にJクラブが誕生して以降では、街クラブの優勝は初めて。三菱養和の山本信夫監督は「Jクラブに勝つことはいつも目標に置いているし、全国の街クラブの選手たちを代表して(戦う)という意味もあると思っている。セレクションに落ちてJクラブに入れなかった子でも頑張っていればチャンスがあるんだということを証明できたと思うし、養和に限らず全国の街クラブの励みになれば嬉しい」と喜びを語った。
試合の立ち上がりに両者の気合いが感じられた。F東京の蓮川雄大が2分に左サイドから強引にシュートを放てば、4分には三菱養和のディサロ燦シルヴァーノがこちらも大胆なターンから思い切りよくシュートを飛ばした。通算6得点で並ぶ両者のあいさつ代わりのプレーといったところだ。試合は、序盤から「攻め立てるFC東京」と「押し返す三菱養和」の構図で進んだ。
一つのポイントはF東京の蓮川が仕掛けた突破を三菱養和の1年生DF杉山耕二が2度食い止めたところだろう。三菱養和は攻められても慌てることなく堅守速攻を貫いた。そして24分、敵陣中央でボールを奪った下田悠哉がドリブルで一気にGKとの1対1を演出。シュートはブロックされたものの、こぼれ球をMF伊東駿が押し込んで先制に成功した。
後半は、完全にF東京のペースとなった。高橋宏季、安部柊斗のダブルボランチが左右に攻撃のタクトを振って両翼からの攻撃と、長澤皓祐、佐々木渉を使った中央からの崩しを使い分け、蓮川が必死にゴールを狙った。後半15分、右ウイングの山岸瑠のクロスに蓮川が飛び込んだが、前に出てきた相手GKが好守。後半20分には高橋と佐々木のパス交換から蓮川につないでフィニッシュを狙ったが、ファーサイドに外れた。後半35分には佐々木の個人技で打開するも、GKの壁を破れなかった。
実に多彩な攻撃を見せたが、リードを得て割り切った戦いをする三菱養和の牙城は崩れず、F東京の佐藤一樹監督は「堅守速攻を徹底する相手の特長は分かっていた。前線の爆発力やクオリティーでこじ開けようとしたが、うまくいかなかった。あの手この手で、横から行ってみたり、ミドルを打ってみたり、個人で行ってみたりとしたが、養和の魂が上回ったのかなという気持ち」と悔しさをにじませつつ、勝った相手を称えた。
試合終了のホイッスルが鳴ると、三菱養和の歓喜の叫びがスタジアムに響き渡った。主将を務める池田樹雷人は「チーム全員で勝ち取った優勝。試合が終わったときは、涙が止まらなかった。養和は家族みたいな存在。応援団も親も良い雰囲気で決勝を迎えさせてくれた。すべての人に感謝したい」と笑顔を見せた。三菱養和は、先制点を演出した下田がMVP、最前線で攻撃を引っ張ったディサロが得点王と個人での受賞も充実。街クラブの存在証明となる、価値ある優勝だった。
(取材・文 平野貴也)▼関連リンク
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