岡崎のセンターフォワード起用に込められたアギーレ監督の意図
ゲキサカ / 2014年9月10日 4時16分
[9.9 キリンチャレンジ杯 日本2-2ベネズエラ 日産ス]
FW岡崎慎司(マインツ)の起用法が一つのメッセージであるのかもしれない。後半から出場した岡崎のポジションは3トップの中央。岡崎自身がこだわっているセンターフォワードでのプレーとなった。
「もちろんセンターフォワードはやりたいポジションではあるけど、そこ一つにこだわるのもよくない」。与えられたポジションで役割をまっとうしようとしている岡崎だが、1トップを務めるマインツと同様、日本代表でもセンターフォワードで勝負したいという意思はハビエル・アギーレ監督に間接的に伝えていたという。
「監督と直接話してはいないけど、通訳を通して、『どこでもできるけど、真ん中で勝負したい』というのは伝わっているみたいなので」。練習では右ウイングに入ることがほとんどで、5日のウルグアイ戦(0-2)は左ウイングで先発した。しかし、後半途中からは2トップの一角でプレー。そして、この日は後半からの出場とはいえ、希望のポジションが与えられた。
アギーレ監督は選手の意思や自主性を尊重する。「私が指導してきたこともあるが、指導したこと以外でも『自由にプレーしてほしい』と試合前に選手には伝えた。ピッチ上では選手が判断を下さないといけない。私は選手にアイデアを与えるが、それを発展、展開させるのは選手たちの判断だ」。岡崎を3トップの中央に配置したのも、選手たちがより自由な発想でプレーしやすいように配慮した結果だったのだろうか。
規律を重んじ、与えられた任務を遂行することには長けている日本人選手だが、逆に「自由」を与えられ、試合中に自分たちの判断と責任でプレーすることを求められた場合に苦労することは、歴代の代表チームを見てきても明確な課題としてある。
「私は日本人選手に枠から飛び出して、自分のプレーをしてほしいと頼んだ。自由にプレーしたいと思っていない選手はいないと私は思いたい。私はある形を選手たちに与えるが、それを発展させるのは選手たちの自由だ。チェスやコンピューターゲームのように、このようにやらないといけないというものがあるわけではない。(サッカーは)ピッチの中で人間がプレーを発明しながら、プレーを考えながらやっていくもの。私はピッチの中で考えて判断を下すことを選手に強要する」
攻守にわたって細かい約束事が数多くあったアルベルト・ザッケローニ前監督とは対照的だ。ある意味、より高度とも言えるアギーレ監督の要求に選手が応えることができれば、試合中の対応力というブラジルW杯で浮き彫りになった課題の克服にもつながるはずだ。
(取材・文 西山紘平)
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