[選手権予選]激戦の秋田決勝はパスサッカーとカウンター織り交ぜた新屋が初優勝!
ゲキサカ / 2014年10月27日 21時1分
[10.25 全国高校選手権秋田県予選決勝 西目高 1-1(PK3-5)新屋高 あきぎんスタジアム]
25日、澄み渡る青空の下、第93回全国高校サッカー選手権秋田県予選決勝が秋田市のあきぎんスタジアムにて行われた。この舞台に勝ち上がったのは、2年ぶり14回目の出場を目指す西目高と、全国高校総体には出場経験がありながら未だ選手権では全国出場が無く、初優勝を目指す新屋高の2校となった。
前半ペースを握ったのは西目。高い位置からのプレスがはまり、後ろでパスを回そうとする新屋のミスを誘い優位に試合を進めた。FW水口ケネット(3年)、FW林拓弥(2年)の2トップに加え、キャプテンの左SH佐藤勇矢(3年)や右SH高橋遼(3年)、さらにはボランチの川井翔太(3年)も積極的に攻撃参加するなど分厚い攻めを見せた。しかし新屋はフィジカル勝負に強いDF伊藤直也(3年)や冷静沈着なセービングを見せるGK小嶋玲央(3年)を中心とする守備陣が体を張って守り、ゴールを許さなかった。前半は0-0で終えた。
後半も立ち上がりは西目ペースだったが、14分にゲームが動いた。それまでも自慢のスピードを活かして虎視眈々と相手DFラインの背後のスペースへ抜け出そうとしていた新屋FW目黒貴大(3年)が前掛かりになった西目ディフェンスラインの背後に抜け出した。そして目黒は「来るのが見えていた」と語るキャプテンMF武田勇人(3年)にパス。武田はGKとの1対1で落ち着いて右足でシュートを決めて、劣勢だった新屋が先制した。
その後は新屋が落ち着いてパスを回せるようになり、武田と目黒を有効に使って攻めることができるようになったが、西目も終盤に攻撃の圧を強めた。そして35分、西目は佐藤が左サイドをドリブル突破し、ゴール前フリーで待っていた高橋へクロス。高橋がゴールを決めて西目が同点に追いつき、試合は1-1のまま延長戦に突入した。延長戦は互いに足をつる選手が続出。互いに決定機を決めきれず、PK戦に突入した。
PK戦は2人目まで双方成功。先攻の新屋が3人目まで成功して迎えた西目の3人目はDF佐々木颯太(3年)。ここまで体を張った守備でチームに貢献してきた佐々木の放ったPKは無情にもクロスバーを叩いた。4人目は双方成功し、新屋は5人目の目黒が成功して試合終了。5-3でPK戦を制し、見事初優勝を成し遂げた。
就任2年目にして栄冠を勝ち取った新屋の楢岡直志監督は「先輩方の積み重ねが今回の結果につながった」と語り、これまでの監督・スタッフ・選手たちが積み上げてきたものと、今年からGKコーチをつけるなどの努力が結実したことを喜んだ。目黒のスピードを活かしたカウンター攻撃と伊藤を中心とする手堅い守備。一見すると堅守速攻型のチームだが、「少しでも前にボールを運んで、人と人が近い方が目黒のスピードも生きる。後ろからボーンと蹴っても選択肢が減ってしまう」と楢岡監督が語る通り、ディフェンスラインや中盤は丁寧にパスをつなぐのが持ち味。パスサッカーで10年ぶりの秋田県勢初戦突破を狙う。
一方の西目は前半からペースを握りながら後半先制され、同点に追いつくも最後はPK戦での悔しい敗戦を喫した。それでも畠山啓監督は「準決勝までは内容が良くなく、決勝で初めてきちんとつないで内容のあるゲームができた。第三者的に見てもうちの選手は頑張ったと言ってもらえると思う」とやろうとしていた高い位置からのプレス、丁寧なパス回しは存分に見せられたこともあり、選手の労をねぎらった。新屋の倍以上のシュートを放ち、優勢な時間帯が長かっただけに、前半のうちにゴールが欲しかった。
(取材・文 小林健志)▼関連リンク
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