[DAYS×ゲキサカ連動企画vol.17]東邦高FW鈴木大嗣(3年)
ゲキサカ / 2014年11月13日 14時13分
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」
[11.8 全国高校選手権愛知県予選準決勝 東邦高 1-0 東海学園高 瑞穂公園陸上競技場]
個々の技術面では、相手の東海学園高が一枚上手だった。横井由弦監督も、それは認めた。さらに、東邦高は全体が引き気味に戦ったことで前線が孤立。前半は、ノーチャンスだった。ただ、その中でロングボールに懸命に絡んでいく背番号10の姿があった。「岡崎慎司選手(マインツ)みたいに泥臭いプレーで勝利に貢献する選手を目指している」と話すFW鈴木大嗣だ。この男の踏ん張りが、苦戦を強いられた準決勝での勝利を東邦にもたらせた。
近代サッカーでは、前線の役割が多様化している。駆け引きで相手の裏へ抜け出す動き、相手を背負いながら味方のパスを受けて正確に戻すポストプレー、サイドのスペースへ流れてパスを受けて攻撃の起点となる動き、そして得点力、守備でのチェイシングと挙げればキリがない。多くの場合は、いずれかの武器を多く用いることで長所を発揮するのだが、鈴木のプレーには、これが武器だと知らしめるような華やかさはない。ただし、相手と競りながらでもコントロール力を保つという点に関しては、目を見張るものがある。相手にとっては、面倒な存在だ。味方が前に蹴ったボールをとにかく競って、相手にコントロールさせない上に、DF側からすればかけているはずのプレッシャーを感じてくれないのだ。鈴木は「自分は、つぶれ役という感じ。つぶれて、いかに相手にパスをつなぐか」と、自身の役割を語る。
前半は孤立したために機能しなかったが、後半になるとチーム全体の押し上げが生まれてサポートを活かすことができるようになった。東邦は、鈴木を攻撃の起点として反撃を開始した。その瞬間、鈴木は2トップを組む西村雄生のヒールパスを受けて抜け出すことに成功し、シュートチャンスを迎えた。しかし、遅れて競って来た相手に倒されてしまった。相手のファウルだろうと思った鈴木に対して、主審が提示したのはイエローカード。鈴木のシミュレーション行為という判定だった。鈴木にとっては、悔いの残るプレーとなった。故意に倒れた意識はなかったが、この警告によって決勝戦でプレーすることができなくなってしまったからだ。準決勝でやり切るしかない。そんな状況に追い込まれた鈴木は、後半19分に真骨頂を見せた。前線でパスを受けて起点になると、相手のプレッシャーを受けながらも相棒の西村が抜け出す前方へボールを残すことに成功。西村が決勝点となる先制ゴールをもぎ取った。試合は、1-0で東邦が勝利。鈴木は勝った喜びと、決勝戦に出られない悔しさとで涙を流した。
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