[選手権予選]鹿実撃破で18年ぶり4強!野心持った挑戦者・樟南が“ジャイアントキリング”!:鹿児島
ゲキサカ / 2014年11月13日 18時10分
ただこの日、「ボクらも聞かされていなくて、試合後に聞いたらサプライズだと」(下堂)と普通科生徒全員による声援を後押しに戦う樟南は下堂、伊藤大に加えて、佐野翔太郎(2年)と伊藤和樹(2年)の両SBも相手のサイド攻撃に食らいつき、10番MF田畑輝(3年)とMF岸川隼人(2年)のダブルボランチも献身的な動きで相手アタッカーを挟み込む。そしてクロスボールは反応良く飛び出した藤が次々とキャッチ。攻撃する回数はわずかだったが、鈴木隆介(3年)と田方星名(3年)の両SHが必死にボールを収めて前を向くと、スピードのあるFW高橋直樹(3年)とFW木場龍之介(3年)が飛び出しから一発を狙った。
後半も鹿児島実が攻勢に試合を進める。だが樟南の緑色の壁を破ることができない。右CKをファーサイドの前田が頭で落とし、木村が右足ボレーで狙った22分のシュートもゴールライン上でDFがクリア。逆に直後の23分にはカウンターから樟南FW木場の放った左足シュートが右ポストを直撃する。鹿児島実は直後に福島の左足シュートがブロックされて得点できない。すると25分、試合が動いた。樟南はスライディングタックルで相手の攻撃を止めると、すぐさまカウンターを発動。伊藤大の縦パスを高橋が身体を張ってつなぐと、木場がスピードを活かして一気に右中間を駆け上がる。そして対応したDF2人を高速ドリブルと切り返しでかわすと、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。
圧巻の一撃で樟南が先制。対する鹿児島実はPAへ向けて後方、サイドから次々とボールを放り込んで1点をもぎ取りにいく。焦燥感にかられてか、フリーの状態でも慌ててしまうようなシーンが散見した鹿児島実だが、それでも怒涛の連続攻撃でゴールをこじ開けた。後半39分、ロングボールの中でアクセントとなっていた福島が左サイドをドリブルで切り崩してクロス。これを交代出場のFW内田武蔵(3年)が頭で合わせて土壇場で鹿児島実が追いついた。名門の意地、全国への執念を見せつけた鹿児島実はその後も攻め続けたが、逆転することはできず。PK戦へ持ち込まれてしまった。
迎えたPK戦では樟南の1人目、田畑のシュートが枠上へ外れたが、鹿児島実の3人目・井上のシュートをGK藤が右へ跳んでストップ。そして5-5で迎えた7人目、先攻・樟南は岸川がゴールマウスをかすめながらもゴールへねじ込むと、GK藤が鹿児島実・内田のシュートを左へ跳んで止めて、熱戦に決着をつけた。
喜びを爆発させる樟南イレブンの隣で赤いユニフォームが崩れ落ちる。樟南は今年、新人戦が県16強で総体予選は32強。その樟南が第1シードを破って全国まであと2勝とした。強敵を破ったイレブンだが、野心あるチームはまだまだ止まるつもりはない。準決勝の対戦相手は鹿児島実と同じく優勝候補の鹿児島城西高。杉本監督は「精神面で(鹿児島)実業食えたんだから、城西も食えるんじゃないの? という感じで精神面で高めて高めて、今ごろ技術は変わらないですけど精神は変わるんで、変わろうと思えば。モチベーション、マックスで行かせます」と微笑み、下堂は「自信になった。失うものは何もないので、前向いてひとつでも勝って、全国に行きたいです」と意気込んだ。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設】高校選手権2014
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」特設ページ
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2014
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