“城福監督ラストゲーム”での白星ならずも、甲府は7戦連続不敗でフィニッシュ
ゲキサカ / 2014年12月6日 22時21分
[12.6 J1第34節 清水 0-0 甲府 アイスタ]
「城福魂は甲府が引き継ぐ。ありがとう、俺達の城福浩」。アウェー、ヴァンフォーレ甲府サイドのゴール裏スタンドには今季限りで退任する城福浩監督への数々のメッセージが掲げられ、試合中も「城福、甲府」というコールが響き渡っていた。
就任1年目だった12年シーズンにJ2で24試合連続無敗の記録を打ち立てるなどチームをJ1昇格へ導き、昨年は15位でJ1残留。そして今年は最終節を待たずしてJ1残留を決め、最後は7戦連続無敗で13位フィニッシュ。リーグ17位の27得点と決定力を欠いたことも確かだが、相手の良さを出させず、ラスト10試合でわずか3失点という堅守を発揮するなど城福監督に率いられたチームは強さを示してシーズンを締めくくった。
終盤戦でも見せつけた堅守・甲府。この日も甲府は清水をシュート5本に封じこみ、後半開始直後にFW大前元紀に放たれた一撃を除くと決定的なシーンもつくられなかった。J1残留へ向けて早くリードを奪いたい清水の攻撃をCB青山直晃が何度も頭で跳ね返し、中盤ではMF新井涼平がインターセプトするなど沈黙させた甲府。ただ城福監督は「誤解を恐れずに言うと、守備の練習をしたことはありません」と言い切る。守備面に関して行ってきたのは前日練習での対戦相手対策や「やってはいけない」ことに対する確認、そしてゲームのフィードバックのみ。失点の少ないチームになった要因について指揮官は「自分たちの時間を作りながら守備の時間を少なくしていくという努力を3年間いい時も悪い時も続けた結果。自分たちの時間を増やしてシュートまで行けるシーンがあるからこそ妥協しない守備ができたと思っています」と説明した。
この日も明らかに硬さの見える清水の攻撃を封じて攻撃に転じた。前半には右サイドから切れ込んだFW阿部拓馬が決定的なシュート。後半には幅を使った攻撃によって意図的に相手の守りを広げ、MF阿部翔平やFWクリスティアーノのシュートがゴールを脅かした。「最後クオリティだったり、詰めの甘さがあった」(城福監督)というものの、1年間通して積み上げてきたものを最終節でも発揮したチームに指揮官は目を細めていた。
城福監督自身が「やりたいサッカー」と「勝ち点を獲得する」ことの両方を求めてきた3年間。「選手と向き合いながらどういう風に最大値をつくっていくか、それを試行錯誤しながら彼らとできたことは幸せだったと思います」。クラブ初の2年連続J1残留を果たしたチームは来季、新監督の下で3年連続残留、そして上位進出へチャレンジする。
(取材・文 吉田太郎)
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