[MOM1243]清水桜が丘MF大石竜平(3年)_伝統の「8番」が延長V弾!
ゲキサカ / 2014年12月21日 11時37分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 プレミアリーグ参入戦1回戦 清水桜が丘高 1-0 瀬戸内高 広島一球]
前身となる清水商高時代から風間八宏氏(現・川崎F監督)を始め、小野伸二(現・札幌)や小林大悟(現・ニューイングランドレボリューション)など多くのレジェンドたちが背負ってきたのが「8番」という背番号。清水桜が丘高に変わってもエースナンバーとして、受け継がれている。劇的な勝利を引き寄せたのは、そうした伝統の「8番」を背負うMF大石竜平の一振りだった。
序盤から5バックで守備を固める瀬戸内高に対し、「外からの攻めをしつこく徹底するのが効果的だと思っていた」と中盤の底からサイドへの散らしで攻撃を牽引しながら、タイミングを見ては前線に飛び出した。14分に右MF野末智大のパスをゴール前で受けると、胸トラップからゴールを狙うなど前半放ったシュートは両チーム最多の4本。まさに攻撃の要といった活動量だった。
後半からも攻撃での貢献は変わらなかったが、カウンターを受ける機会が増えて守備の負担が増加。より動き回る時間が増えて、「正直、ちょっとやばかった。後半、ちょくちょく足をつっていた」と足を気にする場面も見られたが、それでも彼は動きを止めなかった。頑張りが実ったのはPK戦突入直前の延長後半11分。高い位置でクリアボールを奪ったFW信末悠汰からMF金山晃典と繋がったボールが「あそこに来ると信じて待っていた」という彼の下に繋がった。足は限界に来ており、「トラップした瞬間に足がやばかったけど、振り切るまでは絶対につってはいけない」とこらえながら冷静に放った右足シュートがネットを揺らした。得点の瞬間、「少しは恰好つけたかった」ものの足をつって動けなかった彼は「カッコ悪いゴールだったけど、サッカーで大事なのはパフォーマンスではなくて点」と笑顔を見せた。
磐田でFWとして活躍した隆夫氏を父に持つ彼は、1年時から8番を授かったように早くから期待される存在だった。「1年の頃はまだ、清水商業の時代。大瀧雅良先生から期待されているんだと思い、責任感を感じていた」と1年目は重責を力に変えていたが、2年生に入ってからはキャプテンも任された。若くして、伝統校の重責をふたつも背負うことは簡単ではない。プレッシャーに悩まされたものの、「僕は強がりなんで人に弱音を吐かずに一人で抱えこんでしまった」。選手権予選前には、そうした思いが横柄な態度へと繋がり、大瀧監督から雷を落とされたことで「サッカーを辞めようかと思った」時期もあったという。
そんな思いを掻き消してくれたのは大瀧監督を始めとした周囲の大人たち。「見捨てずに怒ってくれた先生方がいたから、ここまでやって来られた。最後に“8番”の名を汚さずに返したい」と話す。「もう一回、仕事をするチャンスを自分で作れたので、8番としてしっかり仕事をして大瀧先生に恩返ししたい。2年生にも8番という存在を大きく捉えて欲しいし、次に8番を貰うやつにも思いを継続して欲しい。そうした気持ちを伝える試合にしたい」と高校生活最後となるFC東京U-18戦へ意気込んだ。
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
2014プレミアリーグ
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