悩める長友、回答に詰まる「犠牲の精神が自分の中に本当にあるなら…」
ゲキサカ / 2015年1月22日 23時30分
思わず言葉に詰まった。準々決勝・UAE戦を翌日に控えた公式会見に出席したDF長友佑都(インテル)。報道陣から「ブラジルW杯後、何が足りないと感じ、この4年間をどう過ごしていきたいか?」と聞かれたときだった。
考えをめぐらせ、回答に詰まっていると、会見に同席していたハビエル・アギーレ監督が「先に答えましょうか?」と助け舟を出し、自身に対して聞かれた「長友に期待している役割」について先に答えた。
「(長友)佑都は戦うことのできる力強い選手で、他の選手たちに愛され、敬意を払われている。右でも左でもプレーでき、リズムをつくることができ、意欲を見せる。それが周りの選手に伝染する。明るい性格がグループに良い影響を与えていると思う」
アギーレ監督が答える横で思案顔を浮かべていた長友は「さっきの時間でいろいろ考えたけど、W杯のときの心境と、次のW杯に向けての心境を語るのは難しくて……」と、やはり考えがまとまらなかったようだ。
「そのことについては考えていて、言葉として発するためにはエネルギーがかなり必要かなと思うので、ここでは勘弁してもらいたいなと。そのエネルギーを使うぐらいなら、明日の試合のダッシュ1本にエネルギーを使いたいと思う」
そう切り出すと、「ただ、一つだけ言えることは、いかにチームのために犠牲になれて、チームのために走れるかということが、今の自分の課題であって、目標」と胸の内を語った。
「その犠牲の精神、チームのためにという部分が自分の中に本当にあるなら、本当に大事なときに最高のパスが来たり、今までミスしていたところがミスじゃなくなったり、そういうことにつながると思う。だから、明日の試合もチームのために走ります」
グループリーグ初戦のパレスチナ戦前日にも「僕が今強く思っているのは、どれだけチームのために犠牲になれるかということ」と話し、「W杯では、自分の中のエゴの部分であったり、自分の中の理想のサッカーを求めすぎたという思いがある。エゴの部分が、チームのために犠牲になるという部分を上回ってしまうと、良いプレーはできない」と、ブラジルW杯の反省とも言える言葉を口にしていた。
長友にとって、原点回帰である「走る」こと、そしてチームの犠牲になること。悩める左サイドバックは、2018年のロシアW杯に向けた道しるべを、このアジア杯で見つけようとしている。
(取材・文 西山紘平)
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