サッカーにおける“エースナンバー” 背番号10の系譜
ゲキサカ / 2015年5月22日 12時15分
サッカーにおけるエースナンバーといえば、やはり背番号10だろう。日本代表では木村和司、ラモス瑠偉(現岐阜監督)、名波浩(現磐田監督)、中村俊輔(横浜FM)らが歴代の10番を務め、現在は香川真司(ドルトムント)が歴史を受け継いでいる。
サッカーで「背番号10」の価値を確立させたのは元ブラジル代表のペレだと言われている。4度のFIFAワールドカップに出場し、3度の優勝に導いた「サッカーの王様」は、17歳で出場した1958年のスウェーデン大会で10番を背負い、大会6ゴールの活躍でサッカー王国にワールドカップ初優勝をもたらした。
この大会での活躍もあり、ペレの付けていた背番号10がサッカーのエースナンバーと言われるようになった。その後もブラジルではペレの後継者として「左足の魔術師」リベリーノ、「白いペレ」ジーコらが10番を引き継き、近年でもリバウドやロナウジーニョ、カカ、現在ではネイマールがエース番号を背負い、“ブラジルの10番”にふさわしい活躍を見せている。
ジーコとともに1980年代を代表する「背番号10」と言えば、元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナだ。4度のワールドカップに出場し、1986年のメキシコ大会では「神の手」や「5人抜き」など数々の伝説を残し、母国を2度目の世界一に導いた。ユベントスなどでプレーした元フランス代表のミシェル・プラティニも1980年代を代表する10番の一人。「将軍」と呼ばれた現欧州サッカー連盟(UEFA)会長は、1984年の欧州選手権でフランスに初の国際タイトルをもたらしている。
1990年代から2000年代にかけてフランス代表の10番を背負ったジネディーヌ・ジダンは、1998年のFIFAワールドカップ、2000年の欧州選手権で優勝に導き、フランスの黄金期を築いた。ジダンはユベントスでは21番、レアル・マドリーでは5番を付けていたため、そこまで10番のイメージがないかもしれないが、フランス代表での活躍と存在感は、まさに背番号10にふさわしいものだった。
ストライカーあるいはトップ下といった攻撃的なポジションの選手が付けることの多い背番号10。いわゆる「ファンタジスタ」と呼ばれる10番として、元イタリア代表のロベルト・バッジオやアレッサンドロ・デル・ピエロも典型的な10番タイプのプレイヤーだった。しかし、サッカーがよりコンパクトになり、厳しいプレッシングと狭いスペースでのプレーが求められるようになると、徐々に10番のプレースタイルも進化していった。
正確なキックやパスセンスでゲームを組み立て、ゲームを支配する司令塔でありながら、大事な場面では自らゴールを決める得点感覚も兼ね備えたプレーメーカー。あるいはイマジネーションあふれるプレーで観客を魅了し、予測不可能なパスやシュートで試合を決めるエンターテイナー。ひとえに10番と言っても、個性豊かな選手たちばかりだ。
現代フットボールを象徴する背番号10であるリオネル・メッシは、唯一無二の「個」を持ち、ドリブル、パス、シュートのすべてを最高レベルで兼ね備えている。サッカーがより組織的になり、戦術的になる中、それらを無力化してしまう圧倒的な「個」の力。史上最高のフットボールプレイヤーの一人であるメッシは、歴代最高の「10番」へと上り詰めようとしている。
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