[総体]選手権で「やばい」ゴール決めた作陽の10番・伊藤涼太郎、最終学年迎えたエースの成長、責任感
ゲキサカ / 2015年5月26日 7時0分
「いとう・りょうたろうって知っていますか?」と聞いても分からなかったのに、「選手権ですごいゴールを決めた選手ですよ」と付け加えると、すぐに「あぁ!」と分かった知人が数多くいる。それくらい、強烈なインパクトを残したプレーだった。昨年度の全国高校選手権1回戦、流通経済大柏戦の後半33分。作陽高(岡山)の10番、伊藤涼太郎はPA外の左寄りでボールを持った次の瞬間、瞬時に右足アウトサイドを使った股抜きでDFをかわすと、右足でカーブをかけてGKの頭上を破り、ファーサイドのネットを揺らした。
0-2のビハインドを3-2にひっくり返す劇的な一撃でもあり、SNS上には「作陽の10番やばい!」という驚嘆の声があふれた。後半23分には、エリア外中央から強烈なミドルを沈めて同点ゴールを決めている。作陽は後半アディショナルタイムに追い付かれてPK戦負けを喫したが、鮮やかな2ゴールは大会序盤のハイライトの一つだった。
セレッソ大阪U-15から作陽に進み、着実に成長を遂げてきた。正確かつトリッキーなボールスキルを武器に、パスワークに絡みながらのゲームメークや、ゴール前でのフィニッシュなど、幅広い局面で力を発揮する。その技術を最大限に発揮させるのが、緩急の使い方のうまさだ。行くとみせかけて止まり、止まっていたかと思いきや急加速する。プレーの一つひとつに豊富なアイディアを感じさせ、厳しいプレッシャーに耐えうるフィジカル、ボディーバランスも持ち合わせる。
作陽の野村雅之監督は、最終学年を迎えたエースの成長を「責任感」という言葉で表現する。「もともとテクニックがあり、トリッキーなプレーも見せていたけれど、チーム全体の状況を考えて、リスクを考えた上で、決定的な仕事ができるようになった」ことで、背番号10にふさわしいプレーが増えた。今年3月のサニックス杯のU-17日本代表に選出されるなど、Jクラブのアカデミーの選手が大半を占める年代別代表に、高体連からメンバー入りしている数少ない存在だ。「代表から戻ってくると良くなる」という野村監督の言葉からは、成長曲線のさらなる上昇も予想できる。
早くから各クラブのスカウトが岡山を訪れており、卒業後のJ入りは間違いないだろう。本人が言葉に力を込める「日本一」という目標への道のりは、まず平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)の岡山県予選から、これまで以上に大きな注目を浴びることになるはずだ。
(取材・文 石倉利英)▼関連リンク
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