[総体]福岡決勝は終了間際の一撃で決着!昨夏日本一の東福岡が目標の全国へ!
ゲキサカ / 2015年5月31日 21時40分
“赤い彗星”東福岡に食い下がる「青」。筑陽学園はセットプレーで得居や左SB辻本貴都(2年)が可能性あるボールをPAへ蹴り込んでいたほか、背後のスペースを突いてPAまでボールを運んだ。だが、森重潤也監督が「今年、守備のしぶとさは何となくある」という東福岡守備陣は堅く、名手・脇野を攻略することができない。後半は互いに自陣での不用意なミスが出てバタバタするシーンも見られる中、東福岡がテンポよく攻める回数が増えていった。相手の背後を突いた毎熊が迎えたチャンスはGK木下の好守に阻まれたものの、10分には左CKから福地が決定的なヘッド。13分には大型FW餅山大輝(3年)を投入してさらに攻めに力を注ぐ。「(筑陽学園は)ずっとボールウォッチャーで固まっていたので、揺さぶって、揺さぶって、繰り返してサイド攻撃を意識した」と中村が振り返ったように、しつこくサイドから攻め続ける東福岡は26分に藤川とのワンツーから中村が左足でフィニッシュ。31分には中村の右足FKが壁を越えてゴール左上隅を捉えるが、これもGK木下がはじき出して筑陽学園スタンドはこの日最大級の盛り上がりを見せた。
後半残り10分を迎え、筑陽学園は九州新人大会で3戦連発のMF清水那粋を投入したが、東福岡に傾いた流れは変わらない。そして後半アディショナルタイム、熱戦に決着をつけるゴールが生まれた。38分、東福岡は交代出場のFW福田湧矢(1年)が右サイドからクロス。このこぼれ球を拾った鍬先が中央へ切れ込みながら左足を振りぬく。なりふり構わず放った左足シュートがニアサイドを破り、ゴールネットへ。東福岡はフィールドの全選手が殊勲の2年生MFの下へ駆けつけてゴールを喜んだ。そして直後のプレーを最後に試合終了の笛。昨夏の全国王者が最大の目標としていた県突破を果たした。
今年の東福岡は全国総体の6試合で26ゴールをたたき出した昨年のような高い評価を得ているチームではない。新チームは苦しいスタートを強いられ、プレミアリーグWEST開幕戦では6失点で敗戦。それでも森重監督が「去年以上に神経使って、いろいろな部分で要求しているし、(選手もスタッフも)いろいろと妥協せずに練習に取り組んでいる」というチームは反復練習をこだわってやり続けてきた。そして耐える展開も多かったものの、プレミアリーグでは優勝候補のG大阪ユースを撃破するなど第2節以降の5試合を4勝1分という好成績を残している。中村は「1試合ごとに成長するということが、プレミアを経験してできてきていると思う」。昨年と比較されるのは承知しているが、現状、昨年のような個の力はない。だが、昨年のようなチームになるつもりもない。中村は「みんな負けられないという気持ちもあるだろうし、見返してやるという気持ちがあるから練習に耐えられる」。伝統の東福岡のサッカーを守りつつ、今年は今年のメンバーで今後より成長して強い東福岡を築き上げる。
全国大会の目標について昨年の優勝GKである脇野は「自分たちの代は弱い、弱いと言われてきた。去年全国制覇していて、連覇は自分たちしか挑戦できないので、全国制覇しにいきたい」と全国連覇を掲げ、2年生の鍬先も「2連覇達成したい」と言い切った。そして中村も目標を「2連覇です」と宣言。こだわってきた県制覇を果たした“赤い彗星”の目標はこの日、全国連覇へと切り替わった。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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