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[クラブユース選手権(U-18)]エース不在、10人での戦いで見せた団結力と個の強さ、仙台ユースが劇的勝利で初の4強進出!!

ゲキサカ / 2015年7月29日 6時55分

 激しい雨の中で始まった試合は前半終了間際から晴れ間が除き、日差し強まる中で迎えた後半は名古屋がポゼッションからリズムをつくる。だが、先制したのは仙台だった。11分、カウンターから左サイドを抜け出した本吉のクロスを中央の吉田が右足できっちりと合わせてリードを奪う。この後互いにチャンスをつくり合う中で迎えた21分、名古屋はPAでの混戦から右へ抜け出したFW北野晴矢(3年)がGKをかわして右足シュート。これを必死に戻ったSB相原がゴールライン手前で止めるが、ボールが手に当たったという判定で名古屋にPKが与えられ、相原はレッドカードを受けてしまった。

 名古屋はこのPKを北野が右足で右上隅へ決めて同点。数的優位を得た名古屋は波状攻撃で仙台に圧力をかけ、森のシュートや川崎の左足ミドルなどでゴールを破ろうとする。我慢の展開となった仙台だが、吉田が「危ないところはあったけれど負ける気はしなかったです」と振り返ったように、GK田中勘太(3年)中心に切り抜けると、36分に投入された小島がチームにスイッチを入れる。ファーストプレーでスライディングタックルでのボール奪取から一気に前線へ駆け上がろうとした小島は、その後も前に出る姿勢を見せてチームを活性化。そして迎えた42分、仙台はスーパーゴールで白星をもぎ取った。

 相手のセットプレーを凌いだ仙台は自陣右サイドから交代出場のMF阿部龍之介(1年)が前線へ蹴り出す。これをハーフウェーライン手前で相手を弾き飛ばすように競った本吉が、自らボールを拾って前進。迫力あるドリブルで一気にPAまでボールを運んだ背番号18が右足を振りぬくと、決勝弾がゴールへ突き刺さった。ベンチから飛び出した選手たちの輪に飛び込んだ本吉。「ベンチのメンバーとか、応援してくれるメンバーとか、めっちゃ泣いていたんでこっちまで泣きそうになってしまって・・・・・・」。圧倒的な個を見せつけて奪った1点が仙台の歴史を塗り替える決勝弾となった。本来ならば長身の本吉はセットプレーでゴール前まで戻るべきところ。だが越後和男監督は「新井(貴之)コーチのおかげですね。ボクは怖くて下げようと思ったんですけど、1チャンスに懸けようと。それが見事に。コーチの助言がなかったら延長まで行ったと思う」という一発に懸けた仙台の策も見事過ぎるほどにハマって熱戦をものにした。

「今年の世代はジュニアユースからウチでいう黄金世代なんですよ。また外からいい選手が来てくれた。だんだん試合重ねて、人のために頑張れるようになった」と語った仙台・越後監督は「ちょっと“高体連っぽい”ですね、ウチは。ずっとメンバー入らなくても3年生が応援の歌をYouTubeで拾ったりとかね。用意とか後片付けとかやってくれたり。ああいうところで意識し合って成長していくんですよね」と目を細める。個性の強い選手が多く、当初は決して“仲良し”だったわけではない。それが戦う中でひとつの目標へ向けて戦うチームとなった。この日はU-18代表のエース佐々木も他の控え選手たちとともに強雨の中、ずぶ濡れになって応援。本吉は「この大会一番思っているのが(サブの選手たちが)自分たちのために太鼓つくってくれたり、応援歌も一人ひとりのためにつくってくれて今までのベガルタにはない団結力だと思うんですよ。それが試合中も凄く力になっていて。それは本当に感じましたね」とチームメートたちに感謝した。
 
 そして選手たちが自信を持っている個の強さ。佐々木は「(今年は)個が強い。プリンスリーグのはじめの頃はみんな個だけを意識して、結果に繋がらなかったり、悪い試合内容で終わったりしたことが多かったんですけど、そこでみんながめげずに個で、個でとやってきた。そして全国大会前になってチームを意識しだすようになって、今まで積み上げてきた個が大きかったから、その分、チームがデカくなった。監督が凄く上手くチームをつくってくれた」という。佐々木も戻ってくる準決勝。個の強さと団結力、そして劇的勝利の勢いも武器に仙台が東北勢初優勝へ王手をかける。

[写真]後半42分、本吉の決勝ゴールを喜ぶ仙台ユースイレブン

(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設ページ】第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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