[総体]女子決勝で王者追い詰めるも…大商学園、胸を張れる準優勝
ゲキサカ / 2015年8月10日 2時32分
[8.9 全国高校総体女子決勝 大商学園高 0-0(PK4-5)日ノ本学園高 ノエスタ]
「選手たちはよくがんばってくれましたた。前半、あそこまでできるとは思っていませんでしたし、チャンスもありました」
スコアレスドローのPK方式、サドンデスの敗戦からまだ時間が経っていないスタジアム下で大商学園、岡久奨監督は冷静だった。近畿大会決勝で勝利して臨んだ総体決勝での再戦。準決勝後は「ふつうにやったら大敗する」と言っていたが、現実は五分以上の展開を見せた。
「相手が上手いからといって気持ちを引くのでなく前向きにディフェンスすること。ボールを動かして縦を狙う。相手が裏を狙われることを嫌がっているのは分かっていたので、狙わせて(陣形を)間延びさせたかった」というプランは、ほぼそのまま実行され、絶対王者を苦しめた。
PK方式への突入は決勝まで3試合連続。「ひとつも狙ったわけではない」という。「逆に2回戦で負けていたことも考えられる(開志学園JSC高にPK方式で12-11で勝利)」。それでも5人目のキックが決まれば日本一に手が届くという目前までこぎつけた。だが岡久監督は「その時も次の選手を準備させていました。だから(優勝という思いが)よぎることもなく。選手たちはあの瞬間、どう感じていたかわからないですけど」
この4年、どの高校もなしえなかった絶対王者を倒しての優勝――周囲はあの瞬間、そんな好奇を沸かせた。でも、チームを最も知る監督自身は、そんな周囲の見方をよそに課題を痛感する思いが上回った。
「力はついてきたと思います。連動した守備ができることは自信になったし、連戦を通して走り切ることもできた。苦しい状況でもみんなが声をかけあって鼓舞し合えるようになった。個の部分でも対応できた。でも、チャンスをものにできるかどうかが課題で。うちはいつも今日のような試合になる。やはり最後の遊び心というか。大阪は8月末から選手権予選が始まるので泣いていられない。点を取ることが課題です」
登録選手17人中11人が1、2生という若いチームだ。準優勝というひとつの結果に甘んじることなく、さらなる高みを目指す意味での叱咤が含まれていたともいえる。
「選手たちにはPKの結果は仕方ないお伝えます。試合の中では内容も悪くなかった。でも、何かが足りなかったから負けた。それを選手権までに修正していこうと」
指揮官の冷静さの裏に、目先への勝負だけにこだわらない持続的な強さへの視線が見えた。いつか大商学園が高校女子サッカーの強豪と呼ばれるようになった時、この試合がひとつのきっかけになったと言われる日がくるかもしれない。
(取材・文/伊藤亮)
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