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[選手権予選]「動じない」チームに成長してきた山梨学院が日本航空下し、雪辱のファイナルへ:山梨

ゲキサカ / 2015年11月2日 23時14分

 すると後半9分、日本航空はMF佐藤和斗(2年)の右CKのクリアボールをDF堀内隆城(3年)が頭で合わせる。フワリと舞ったボールが右ポストを直撃。日本航空はこの後も右サイド中心にクロスまでは持ち込んでいたが、精度を欠いてしまう。また18分には交代出場のMF高橋亘四郎(3年)にチャンスが訪れたがシュートは枠上。対する山梨学院は19分にショートカウンターから阿部のスルーパスで抜けだした前田が決定機を迎えたが、シュートは枠の左へ外れて加点することができなかった。
 
 チャンスを作りながらも突き放すことができなかった山梨学院だが、CB大沼士恭主将(3年)が「ゼロで抑えるというのはみんなで話していて、自分たちは繋ぐサッカーをテーマにしているけれど、何が起こっても『想定内』と心の余裕を持つようにしていて、後半そういう時間帯があったんですけど焦ることはなく『失点しなかったら大丈夫だ』と思っていた」というように落ち着いた守り。山梨学院はセットプレーが得意な日本航空戦へ向けて、ハーフコートゲームでキックインを導入するなどセットプレー対策をとってきた。また相手のロングボールに対して中盤が必要以上に下がらないように徹底。これをセカンドボールの確保に繋げるなど、入念な準備をしてきた山梨学院はイレギュラーな事態が起きても的確に対処して傷口を広げない。そして吉永監督が「1試合ごとに成長はしているし、繋がりというかちゃんとうまい具合に積み重なってきている感じはしている。何が起きても勝ち進めるように。自分たちのスタイルといいながらも臨機応変にやれるように。変なことされても動じない。そういうのはちょっと出てきたかな」と目を細める戦いぶりで80分間を無失点で終えた。
 
 次は夏の雪辱戦だ。雨中の戦いとなった総体予選決勝では帝京三に0-5でまさかの大敗。0-2から攻撃的に出たところで連続失点した屈辱を選手たちは忘れていない。韮崎高、日本航空と続いた激戦ブロックを一戦必勝で勝ち抜いてきたが、いよいよ因縁の相手に雪辱する機会が訪れた。大沼は「悔しさをぶつけるところまで来れた。しっかり返したいと思います。笑顔で『あの時負けて良かった』と言えるのは来週、帝三戦に勝ってからだと思うので、帝三戦へ準備したい。あの負けから自分たちのサッカーを変えた。個々に任せきりになっていたけれど、全体でボールを保持して半分を越えて大きく繋ぐというのは徹底してやってきた。それをブラさずにできたら勝つことができると思うのでこだわっていきたい」と力を込める。吉永監督はともに日本高校選抜のCB渡辺剛(現中央大)、CB大野佑哉(現阪南大)らを擁して夏冬ともに全国16強まで勝ち上がった「大人な選手が多く大崩れしない」昨年のチームよりも、「伸びしろは今年の方がある。だから負けたくない」と言い切る。全国大会までの2か月弱の間に昨年以上の成長が期待される今年、「動じない」ようになってきたチームはまずは決勝までに最高の準備をして0-5の借りを返す。

(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015

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