[DAYS×ゲキサカ連動企画vol.67]松本一FW坂本優城(3年)_一発に賭ける走り屋
ゲキサカ / 2015年11月3日 2時18分
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」
[10.31 全国高校選手権長野県予選準決勝 創造学園高 0-0(PK2-4)松本一高 アルウィン]
ゴールは奪えなかった。しかし、十分にやり切った。前後半80分、延長20分を走り抜いた背番号11は「やっと、念願の決勝戦に出られるので、本当に嬉しい」と笑顔を見せた。第94回全国高校サッカー選手権大会長野県予選の準決勝で松本一高は、夏の県大会覇者である創造学園高をPK戦の末に下し、初の決勝進出を果たした。
苦しい試合だった。シュート数は3対17。一方的に押し込まれる展開の中、最前線で相手ボールを追いかけ回すFWの姿があった。「自分の取り柄は、走ることと体力。がむしゃらに走って前からプレスに行こうと思っていた」という坂本優城の惜しみのないプレーは、相手にプレッシャーを与え、仲間を大いに助けた。堅守速攻のスタイルでは、まずきっちりと守り切れなければプランが崩壊する。陣頭指揮を執る吉田慶士コーチは「守備でも頑張って球際まで追いかけてくれる。うちは、彼の献身的な走りあってこそのサッカー。彼を抜きには語れない」と坂本の守備面の貢献度を高く評価した。無得点ではあったが、勝利に貢献したことは間違いなかった。
一方、攻撃面でもただ手をこまねいていたわけではない。本来なら、自慢の快足で相手の最終ラインの裏へ抜け出してパスをもらいたいが、自陣深くまで押し込まれるので、ハーフウェーライン付近でボールを受ける場面が多く、相手を置き去りにするスピードは生かせなかった。どうしても前に敵がいる状態でしかパスを受けられず、序盤は果敢にドリブルを仕掛けたが、なかなか突破できなかった。
「最近になって、ようやくちょっとドリブルができるようになってきたけど、ボールがないときのプレーの方が得意。とにかく裏に抜けろと言われてやって来たので」とやや自虐的に話すように、技術力に秀でたタイプではない。そこで、坂本は博打に打って出た。後ろ向きでパスを受けるときにワンタッチで自分の背後へボールを流し、詰め寄って来る相手選手と入れ替わる作戦だ。成功すればドリブルで相手をかわすことなくゴールに迫れるが、このプレーこそワンタッチのコントロール技術が問われる。失敗は、続いた。しかし、坂本は「運任せ。上手くいけば一発あるかなと思ってやった」と、その拙いプレーにすべてをかけ続けた。
攻撃も守備も一見、無駄骨に見られかねないプレーが多いが、一つひとつのプレーに全力で挑戦する姿勢は、小さい可能性を少しずつ大きくしていく。わずかでも成功の可能性が見えたなら、相手にとって大きな脅威となる。一度でも成功すれば、すべては報われるのだ。1週間後の決勝戦では、技術力で圧倒的に上回る都市大塩尻高と対戦する。下馬評では、確実に不利だ。それでも、坂本は「3年前、自分たちの代で新しい歴史を作れたら良いなと仲間と言い合って入学した。次の試合も負ける気はない。今度はPK戦じゃなくて、自分がゴールを決めて勝ちたい」と言い切った。決勝戦のピッチにも、わずかな可能性を全力で追いかける坂本の姿があるはずだ。
(取材・文 平野貴也) 『DAYS』は、何の取り柄も特技もない少年・柄本つくしが、サッカーの名門・聖蹟高校に入部したことで始まる灼熱×感動×奇跡の高校サッカー漫画だ! 現在、週刊少年マガジンで連載中。
そして今回、柄本つくしのように、“泥臭くチームのために献身的に走る”全国のサッカープレイヤーを応援していく企画「全国のつくしを探せ!」! 各地の高校世代のゲームの中から、毎週つくしに負けない“熱さ”を持った選手をピックアップしていく。全国のサッカープレイヤーは要チェックだ! 次の“つくし”はキミかもしれないぞ!!▼関連リンク
【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」特設ページ
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