[MOM1560]新潟明訓FW田辺大智(3年)_ラストチャンスで大ブレーク
ゲキサカ / 2015年11月4日 6時46分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権新潟県予選準決勝 新潟明訓高 4-0 北越高 新潟市陸上競技場]
ボールを持っていても、いなくても、すさまじい迫力で相手の守備網を破壊する。技巧派集団の新潟明訓高に突如、パワフルなストライカーが誕生した。北越高を4-0で下した選手権予選の準決勝では、3戦連発となる先制弾を決めただけでなく、その後も力強い突破で相手を脅かし続けた。田中健二監督は「全国でも上のレベルで戦えるぐらいのFWだと思う」と話したが、現在の姿を想像することはできなかったという。夏まで左SBを務めていた田辺大智のFWへのコンバートは、苦肉の策から生まれたものだった。
大ブレークのきっかけは、最後通牒だ。「こんなことは、あまりないのですが……」と指揮官は苦笑いを浮かべた。田辺は中学時代からの定位置だったサイドバックでプレーしていたが、ポジショニングなどの課題を指摘され続け、今夏の全国高校総体では登録メンバー入りも危うい状況だった。しかし、持ち味であるフィジカル能力は、捨てるには惜しい。田中監督は、1列前ならどうかと中盤のサイドで起用したが「すぐにダメだと言われた」(田辺)という状況で、起用法に悩んでいた。ポジショニングとパスワークでボールを意図的に動かし、相手の守備に生まれる隙を突いていくのが新潟明訓のスタイルだが、田辺は細かな修正が利かなかった。
そこで、テストをされたのがFW起用だった。FWも仕事は多岐にわたるが、優先順位は明確だ。田辺は、ゴールに向かう、得点を狙うという最優先事項で違いを見せた。1対1では止まらない。2人目が来ても引きずりながら前に出る。最終ラインでも中盤でも合格点を得られず、FWでも機能しなければ、先発起用の可能性は消えるところだったが、「最後だぞ」と言われて与えられたチャンスがハマった。
秋の茨城遠征以降、FWとしてのプレーに自信を深め、田辺は「SBでは迷って上手くいかないことも多かったけど、FWになってからは、思い切りプレーできている。上手いだけじゃ勝てない。自分は上手い選手じゃないし、荒削りかもしれないけど、背中で引っ張っていける選手になりたい」と言い切るようになった。当初は動き方が分からず、仲間から『パスをもらうときは、一度、相手から離れろ』と基礎的な指摘を繰り返されたが、今まで縁がなかったというシュート練習に力を入れて参加するなど、FWとしての勝負に力を注いだ。
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