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[選手権予選]王者の風格よりもチームに漂う謙虚な姿勢、夏の日本一・東福岡が難敵・九国大付を沈める

ゲキサカ / 2015年11月10日 7時55分

 そして東福岡は8分に右CKからファーサイドの左SB小田逸稀(2年)が決定的なヘッド。13分には中村とのワンツーで左サイドを攻略したMF橋本和征(3年)がGKと1対1になる。いずれのシーンも九国大付GK河津がビッグセーブで追加点を阻止したが、それでも17分、東福岡は鍬先がPAわずかに外側、ゴール正面やや右寄りの位置でFKを獲得。橋本の動きをオトリに助走をした中村が右足を振りぬくと、割れた壁の間を抜けたボールがゴール右隅へ突き刺さった。

 直後に俊足ルーキー、FW永井絢大(1年)を投入した九国大付は右CKにMF水城太賀主将(3年)が飛び込むシーンもつくった。そして昨年の決勝でその高さを見せつけた190cmの大型GK星加浩弥(3年)をフィールドプレーヤーとして投入する準備を進める。だが21分、奮闘続けていた渋田が2枚目の警告を受けて退場してしまう。東福岡はこのシーンで獲得した右FKから素早いリスタート。藤川とのワンツーで抜けだした三宅が中央へ折り返すと、ニアサイドへ飛び込んだFW餅山が1タッチでゴールへ流し込んで勝敗の行方を決定づけた。

 終盤は追加点こそ奪うことができなかったが、東福岡は10人の相手を攻め立てて決定的なシュートを連発した。攻撃面に加え、守備面でも中村が「一昨年はセットプレーでやられているのでファウルするならば相手陣内でやろうと。これまでに比べてファウルを減らせたと思う。勝因は一週間の練習態度、姿勢にあったと思う」と語ったように、徹底して相手に特長を出させなかった。森重監督は「ミスが多かった。自分たちのボールをミスパスで失って、もう少ししっかりコミュニケーション取ってやればよかった。スルーパス出したけど、味方が走ってないとか。多少、雰囲気に飲まれたところはあるかもしれない」と指摘したが、シュート数22対3で快勝した試合に納得の表情を見せていた。

 圧倒的な強さで全国総体を制した昨年は、大きすぎる注目の中でどうしても過信が生まれてしまっていた部分があった。だが、今年は福岡予選においても、チームに漂っているのは王者の風格よりも謙虚な姿勢。指揮官は「もっと日頃の練習でもやってほしいというのが確かにある。経験値あるやつが少ない分、謙虚に、王道じゃないぞ、(選手権についてはこの世代は)初めてのことにチャレンジしているだからと」。福岡を2連覇したのはあくまで先輩たちが成し遂げたこと。まずは自分たちの力で全国切符を掴むことに全力で挑戦する。中村は「インハイで優勝して落ちることなく逆にチーム全体として上がったのかなと感じている。思い切りのいいプレーも増えている。プレミアも優勝できるように、3冠狙っているので、天狗にならないようにやっていきたい。(チーム発足当初は)歴代最弱と言われていたのが、自分たちの代はみんな悔しくて見返すというか、見ていろよという気持ちが強い。負けたらもう一回、『弱い』と言われる。だから、勝ち続けるしか無い」。大志を抱く挑戦者たち。混戦の福岡を勝ち抜き、目標に向けて一歩前進する。

[写真]前半23分、先制ゴールを決めた東福岡MF中村がガッツポーズ

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