[プリンスリーグ関東]磐田内定FW小川「置き土産にしたい」プレミア復帰狙う桐光学園が首位・東京Vユース撃破!

　そして桐光学園は後半2分、前半から存在感を示していた2年生MF鳥海芳樹のスルーパスからMF西川公基(2年)が抜け出す。東京VはGK佐藤久弥(2年)が飛び出し、こぼれ球をDFがCKへ逃げたものの、桐光学園はそのCKを得点に結びつける。小川が「きょうは(キックが)スーパーでしたね」と語り、鈴木勝大監督が「あの子は心に秘めたものがあるので。もっともっとやると思うし、もっともっとやれると思う」という佐藤海が右足で左CKを蹴りこむと、これが相手DFのオウンゴールを誘って2-0。さらに5分、佐藤海が右サイドから中央へボールを入れると、ターンした鳥海がスルーパス。斜めに走りこんでいた佐藤海がリターンを受ける形で抜け出し、右足シュートをねじ込んだ。

　3点ビハインドとなった東京Vは井上やMF藤本寛也(1年)中心に反撃するものの、相手の連動したプレッシャーの中でトップチーム昇格内定のFW郡大夢(3年)へ入れるロングボールの回数も増えてしまい、「ウチも対応としてやりやすかった。1人競って、カバーする原則を2CBがしっかりとできていた」(鈴木監督)という桐光学園の安部やCB小林陸(3年)に弾かれてしまう。逆に、わずかなスペースをドリブルでこじ開けてしまう鳥海中心に東京Vのプレッシャーを剥がして高い位置でもショートパスをつなぐ余裕も出てきた桐光学園は、イサカが1度、2度とバックラインの背後へ抜けだして決定機を迎えた。

　東京Vも左サイドを突破口に攻め返し、トップチーム昇格の左SB林昇吾(3年)やDF松本幹太(2年)のクロスが何度もゴール前に入るが、GK指崎尚大(3年)を中心とした桐光学園の守りも強固。3点差の試合終盤も諦めずに攻撃を続ける東京Vはチャンスこそつくるものの、追撃することができない。迎えた後半44分、東京Vは右中間からFW中根玄暉(2年)が右ポスト直撃の左足シュート。跳ね返りを井上が左足で狙うと、最後は大久保が押し込んで1点を返した。だが、反撃もここまで。桐光学園が首位撃破を果たした。

　年末年始に大目標の全国高校選手権を控える桐光学園だが、鈴木監督が「昇格に対してしっかりやろうと話をした」というように、現在は大目標の選手権から切り替えて高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグ昇格に集中。小川が「置き土産にしたいですし、自分たちの代でもプレミア参入っていうものをもって選手権に行けたら勢いも出ていいと思う」と語ったように、高い意欲を持ってプレミアリーグ昇格へ挑戦している。この日は成長株の鳥海やポジションをシーズン序盤のSBからSHへ上げたイサカ、怪我から復帰した西川らがチャンスメーク。世代を代表するエース、小川頼みにならない攻撃と伝統的に堅い守りでチームとしての強さを示した。昇格争いは得失点差勝負になる可能性もあり、選手たちは試合最終盤に喫した失点をとても悔しがっていたものの、リーグ戦ラスト3試合の初戦を見事に白星で終えた。

　一方、藤吉監督が「今年は魅力あるサッカーできるメンバー揃っていると思う。今の3年生はプレミア戦えないけれど、プレミアへ帰してやるという気持ちで戦っている」という東京V。指揮官は「まだまだやるべきことは多い」と語った一方で「最後まで戦って、1点取って反撃できるムードをつくったのは良かった」と選手たちの気迫を評価していた。この日は結果こそ出なかったが、依然東京Vが最もプレミアリーグ参入戦進出、そしてリーグ優勝に近い位置にいることは変わらない。プレミアリーグEASTの元王者である東京Vと高体連チームの雄、桐光学園。ともにプレミア復帰を狙う両チームが残り2試合、参入戦出場権獲得へ集中する。

(取材・文　吉田太郎)▼関連リンク
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