[MOM1658]矢板中央FW人見拓哉(3年)_先発落ちも妥協せず、力に変えた10番が2発
ゲキサカ / 2016年1月3日 0時22分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 鳴門高0-3矢板中央高 ニッパツ]
苦境を乗り越えた10番が全国の舞台で仕事を果たした。矢板中央高(栃木)は鳴門高(徳島)に3-0で勝利。試合開始29秒の先制後は、もどかしい時間が続いたが前半24分に途中出場したFW人見拓哉(3年)が後半に2得点。試合を決定付けると3発完勝の立役者となった。
前半24分に早くも人見の出番はやってきた。先制しながらも、こう着状態だった戦況。矢板中央の高橋健二監督は「今日の試合はスペースがあった。彼は足元のテクニックはあるので、スペースを活かしたサッカーのなかでは彼の力が伸びるかな」と考え、「相手DFとボランチの間のスペースでどんどんボールを受けろ」と人見を送り込んだ。
前半こそ不発だった人見だが、後半に入ってからは果敢に仕掛ける。すると後半18分に2-0に差を広げるシュートが決まった。左サイドから仕掛けてきたFW森本ヒマン(3年)の折り返しに合わせてニアサイドへ飛び込むと、DF2人の間を割ってのダイビングヘッドを決めた。
「ヒマンが外に抜けて。絶対にクロスが上がると信じて、相手と駆け引きをして思い切り身体で飛び込みました。決まってすごく嬉しかった」と人見は微笑む。
さらに10分後の後半28分には試合を決定付ける3点目。DF星キョーワァン(3年)からピッチ中央で受けた森本がターンして、左足でスルーパス。裏へ抜け出た人見がGKを前に右足を一閃。自身2点目となる一撃を決めた。
「ヒマンが競ったり、前へ出たときは後ろに抜けるというのがこのチームでやってきたこと。ヒマンがターンすると思ったので、裏に抜けました」。狙い通りの動きがゴールにつながった。
人見を途中出場させた高橋監督は「これまでの人見は(相手が)コンパクトでハードワークされると消された部分もあったが、今日はスペースがあったので。その辺のことから、彼が活躍できると予想して、的中しました」と采配的中を喜び、「昨年の選手権でも出ていた選手なのに先発落ち。すごく悔しかったと思う。よく我慢してやってくれた」と殊勲のFWを労った。
矢板中央の10番を背負う人見。昨季の全国高校選手権でもゴールを決め、先発に定着していたが、今季は不振にあえいでいた。夏の総体以降は先発落ち。「インターハイ頃から試合に出られなくなって、妥協しそうにもなりましたけど、親の支えだったりで妥協を跳ね返してやってきた」と振り返る。
自分自身に甘え、このままでいいやと思いかけたが「妥協したらチームのためになれない」と踏みとどまり、自主練習ではひたすらシュート練習に打ち込んだ。「守備が前提のチームなのに、そこの部分でAチームについていけていなかった」と自らを分析し、「身体が細い分、球際の部分を意識したり、守備を考えてプレーするようになった」と意識も改善。先発落ちしても腐らずに努力を続けたことが、この日の結果につながった。
途中出場ながら2得点を挙げたFWだが、まだまだ満足はしていない。先を見据えると「自分のやるべきことはできたと思う。でもここから切り替えて、また一からやっていきたい」と表情を引き締めた。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 片岡涼)▼関連リンク
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