ピッチを切り裂く18歳…ルーキーながらも焦り感じる横浜FM遠藤「敬真くんには負けられない」
ゲキサカ / 2016年4月10日 19時51分
[4.10 J1第1ステージ第6節 横浜FM 0-0 浦和 日産]
自分自身も想像していなかった。今季、横浜F・マリノスの下部組織からトップチームに昇格したMF遠藤渓太は、第3節新潟戦でJデビューを先発出場で飾ると、続く鳥栖戦でも先発の座を射止めた。第5節G大阪戦ではベンチスタートとなったものの、「(齋藤)学くんがケガをして自分に出番が回ってきた」と浦和戦では再びスターティングメンバーに名を連ねた。
左サイドハーフの位置に入った遠藤だが、前半は守備に追われる場面が目立った。たとえ敵陣深くでボールを呼び込んでも、対面するDF森脇良太にストップされ、好機を生み出すことができなかった。「積極的に行こうと思っていましたが、前半は空回りして全然走れなかった」。しかし、「スピードをもっと活かしていけ」と送り出された後半に入ると、自慢のスピードでピッチを切り裂き始める。
後半4分には森脇のパスをカットして一気に加速すると、自陣からPA内まで運んでシュートを放つが、GK西川周作にセーブされてしまう。さらに同12分にはFWカイケとのパス交換から抜け出すとトップギアに入れてPA付近まで持ち込み、今度はパスを選択。しかし、これはカイケには届かずにチャンスを演出し切れなかった。
だが、勢いは止まらない。後半25分にはMF中村俊輔の浮き球のパスからDF遠藤航の裏に抜け出す。絶妙の位置に落とされたボールに反応して決定機になるかと思われたが、「トラップが大きくなってしまった」とコントロールミスをすると、「気付いたときにはコースがなかった」と距離を詰めた西川にシュートを阻まれてしまった。「ファーストタッチがすべてだった。中でマルティノスが呼んでいたのも見えていなかった。もっと余裕を持ってプレーしないといけない」と反省が口を突いた。
1997年11月22日生まれの18歳。シーズン開幕前には「こんなに試合に出られるとは思っていなかった」。しかし、出場機会をつかみ、J1の舞台でプレーすることで、「自分の武器はドリブルや1対1。スピードでは負けないと思っているし、通じていると思っている」と自信を手にしかけている。その一方で「スピードを生かすために、どの部分でその武器を使うかを考えるのが大事。最後を決め切る力やシュートを打ち切る能力が全然足りていない」と課題も感じているようだ。
まだ、リーグ戦出場4試合。ルーキーながらも存在感を示しているが、「結果を残せていないし、歯がゆい。結果が早くほしいという気持ちもあって焦りもある」と結果への強いこだわりを見せる。焦りすら感じているには理由がある。同じくルーキーのFW富樫敬真がすでに2得点と結果を残しているからだ。
「(エリク・モンバエルツ)監督に出させてもらっている立場なので、そういう意味では幸せなことだと思っています。ただ、敬真くんが結果を残しているのに、自分は期待に応えるだけの結果を残せていない」
関東学院大卒で93年生まれの富樫とは年の差があるが、「高卒も大卒も関係ない。同じルーキーとして敬真くんよりも結果を残したいし、負けられない。チャンスをもらったら結果にこだわりたい」とライバルの存在が刺激になっていると力強く語る。まだ、プロとしての歩みを始めたばかりの18歳。しかし、若武者は自らの力を証明するためにも、まずはプロ第1号という結果をどん欲に欲している。
(取材・文 折戸岳彦)●[J1]第1ステージ第6節 スコア速報
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