[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]“伝える”ということ(都立駒場高・山下正人監督)
ゲキサカ / 2016年4月14日 20時1分
ところが、後半は明らかに駒場の仕掛けに変化があった。鋭い突破を試みた選手がエリア内で倒され、ホイッスルは鳴らずに山下監督も「PKでしょ」とベンチから呟いたシーンがあったが、「ああいうプレーを最初からやれば良かったのよ。後半のサイドはとにかく持って中へガツガツ行かせていたでしょ。ああいうのを覚えないとダメだよね」とその山下監督。そして前述した通り、同点に追い付いた後にサイドからのドリブルでPKを獲得したのは「監督に『ペナルティエリアに入ったらもう仕掛けて、PKを取るくらいの気持ちで行け』と言われていました」というフォワードの奥谷。「あの時間帯はPKをもらえる時間帯だからね」としてやったりの表情を浮かべた指揮官の“伝えた”ことが、結果的に逆転勝利を呼び込んだ。
「ヤツらはモノを考えないんだよ。教えてもらえるものだと思っているから。20分くらい説教だよ」と笑いながら選手の元へ向かった山下監督。“青空ミーティング”という名の説教はほぼ予告通り、20分を少し超えるぐらいの時間に渡って行われていた。その中で聞こえてきたのが、“伝えた”と“言った”の違いについてである。少し遠くから聞いていたために、その話がフォワードの仕掛ける姿勢についてのものだったかどうかは定かではないが、「これは自分にも当てはまるな」と改めて考えさせられたし、おそらくは皆さんにも思い当たるフシがあるのではないだろうか。山下監督がサッカーについて語る言葉は、自らの日常に置き換えても参考にすべきメッセージがちりばめられている。
関東予選の3日後。都立駒場はリーグ開幕戦に2-4で敗れている。その試合の4日後。都立駒場は関東大会予選2回戦でPK戦の末に強豪の帝京高を下して、ベスト8の椅子を勝ち取っている。果たしてこの2つの試合の間に、指揮官はどういうメッセージを選手へ伝え、選手はそのメッセージをどう捉えて勝利を引き寄せたのだろうか。今シーズンも都立駒場がどういうチームに変化していくのかは、山下監督の発する言葉と共に注意深く見守っていく必要がありそうだ。
(※写真は14年)
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンクSEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
今と向き合うことで見据えるのは「今じゃない」これからへの進化と成長。名古屋U-18は神村学園との打ち合いを4-2で制す!
ゲキサカ / 2024年7月14日 18時5分
-
イングランド指揮官 4強進出に歓喜「これまでで最高の試合」 PK戦は「経験ある選手が増えてる」
スポニチアネックス / 2024年7月7日 6時32分
-
「悔しさの一方で喜びも」強豪相手に善戦もPK戦で散ったスロベニア…指揮官は「この大会が未来へ向けた出発点になるはず」
超ワールドサッカー / 2024年7月2日 12時0分
-
「彼らの監督であることは誇り」初出場のユーロで決勝T進出のジョージア、指揮官は「本大会出だけでも、十分夢だった」
超ワールドサッカー / 2024年6月27日 8時40分
-
健闘も2戦未勝利のチェコ、指揮官は決勝T進出諦めず 「家に帰りたくない」
超ワールドサッカー / 2024年6月23日 16時15分
ランキング
-
1オリンピアンの大甘同情論に透ける「特権意識」…血税注ぎ込まれているだけに厳罰必至の当然【体操女子・宮田笙子 飲酒喫煙でパリ五輪辞退の波紋】#2
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月20日 9時26分
-
2【体操】宮田笙子 五輪辞退に同情も…危機管理専門家「昔はよくあったは通用しない」
東スポWEB / 2024年7月20日 6時8分
-
3MLBオールスター〝ひどすぎる国歌斉唱〟が大炎上 女性歌手に非難殺到「耳から血が出ました」
東スポWEB / 2024年7月16日 19時22分
-
4《19歳飲酒・喫煙でパリ五輪辞退》体操女子・宮田笙子の実家は「400年以上の歴史を誇るお寺」エースが抱えていた「精神面での課題」
NEWSポストセブン / 2024年7月19日 18時10分
-
5吉田正尚が大谷翔平&山本由伸と再会「すごくいい雰囲気だな」 後半戦初戦9回に1安打
スポーツ報知 / 2024年7月20日 14時31分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください