[総体]京都橘は後半残り4分に待望の先制点、指揮官「選手たちは力がないと分かったと思う」
ゲキサカ / 2016年5月23日 6時30分
[5.22 総体京都府予選準々決勝 京都橘高 3-0 福知山高 立命館宇治高G]
平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)京都府予選は22日に準々決勝を行い、2年ぶりの優勝を狙う京都橘高と福知山高が対戦。複数のJクラブが注目するU-19日本代表FW岩崎悠人が2得点を奪う活躍を見せて、京都橘が3-0で勝利した。29日の準決勝では京都産業大附高と対戦する。
放ったシュートは数知れず。幾度となくゴール前まで進みながらも歓喜の瞬間は訪れない。改めて京都橘が京都府予選を勝ち抜く難しさを知った一戦だったと言える。
試合序盤から個の力で上回る京都橘が試合を支配した。最初の見せ場が訪れたのは前半12分。MF河合航希がハーフウェーライン中央から縦パスを通し、岩崎が相手DFと競りながらPA左に抜け出したが、シュートは左ポストに阻まれた。16分には岩崎がFW梅津凌岳とのワンツーで中央を突破し、左前方にパスを通したが走り込んだFW堤原翼のトラップが大きく、ボールはGKの下へ。続く17分にも堤原がGKとの1対1を外すと、前半終了間際にもゴール前へ飛び出した梅津がGKをかわしてゴールを狙ったが、シュートはサイドネット。決定力不足を露呈しただけでなく、「個人ばかりの攻撃ばかりで、チームでの攻撃が少なかった。中盤でボールを持つことができたけど、相手にとって怖くない回し方をしていた」(堤原)と攻撃での課題が見えた前半だった。
後半も京都橘がハーフコートゲームを続け、2分には自陣から前線にロングボールを展開。相手DFのクリアミスを輪木が右サイドで回収すると、素早く中央の岩崎に預け、岩崎がDFをかわしてシュートを狙ったが、わずかに右へ逸れてしまう。9分には中央の河合から右サイドの輪木へとパスを繋ぎ、ゴール前にクロスを展開。梅津がフリーでヘディングシュートを放ったが、福知山GK森田勇樹の好セーブに阻まれた。以降も一方的に押し込んだが、主将のDF大槻健人を中心に守備を固めた福知山の厚い守りを崩すことができず。「最初に飛ばし過ぎ。ペース配分を間違っていた」と米澤監督が口にしたように、京都橘は徐々にペースダウンし、攻撃の迫力を失っていく。
次第に「延長戦で仕留めることができればと思っていた」(米澤監督)と延長戦も覚悟し始めたが、ようやく31分に歓喜の瞬間が訪れた。左サイドのDF水井直人がゴール前に浮き球を入れると、岩崎が反応。相手DFを背負った状態での胸トラップからオーバーヘッドを繰り出した。「凄かった。どうやったら、あんな動きができるんやろって驚いた。俺らの学年にはあんなことできる選手はいない」。そうチームメイトの梅津も度肝を抜いた一撃がゴールネットを揺らし、均衡が崩れると、ここからは攻撃が息を吹き返す。33分には稲津、輪木と繋いで右サイドから入れたパスをゴール前の堤原が決めてリードを広げると、アディショナルタイムにも岩崎が後方からの縦パスに前線で反応。相手を背負った状態から素早く前を向くと、冷静にGKの位置を見てダメ押しとなる3点目を叩き込み、試合を終えた。
終わってみれば、3点差をつけての快勝だったが、試合後に米澤監督が「これで選手たちは力がないと分かったと思う。勝ったのは先輩たちであって、今年の代はまだ勝っていない。昨年や一昨年に先輩たちが戦ったのと同じイメージで試合をしてもいけないことを痛感したはず」と口にしたように、決して満足の行く試合内容ではなかった。
今年は4月に行われた船橋招待で市立船橋高や東福岡高といった全国強豪と対戦し、大敗。次の対戦でのリベンジと共に日本一を目標にして、チーム作りを進めている。再び彼らと同じ土俵に立つためには京都府内であと2勝しなければならない。勝って兜の緒を締めると同時に、「守備は安定しているけど、攻撃はもっと良くなるはず。今は悠人クンに頼っている部分があるので組織的にもっと攻めたい」(河合)と更なるレベルアップを誓った。
[写真]京都橘の堤原は2点目のゴールを奪った
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
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