[総体]全国総体初出場!敢闘・狭山ヶ丘を上回った昌平の確かな地力:埼玉
ゲキサカ / 2016年6月20日 22時12分
[6.19 総体埼玉県予選準決勝 狭山ヶ丘高 1-1(PK2-4)昌平高 埼玉第2G]
平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)で埼玉県に与えられた出場枠は「2」。実質的な代表決定戦となる準決勝が6月19日、埼玉スタジアム2002第2グラウンドにて開催された。第2試合で激突したのは共に初出場を目指す昌平高と狭山ヶ丘高。前半16分に狭山ヶ丘が先行し、前半終了間際にPKから昌平が追い付く白熱の好ゲームは、PK戦の末に4-2で昌平に軍配が上がった。
狭山ヶ丘にしてみれば、ある程度まで狙いどおりのゲーム運びだったはずだ。小川大智と野村悠太の強力コンビを前に置き、残る8人で後方を固めてカウンターを狙う。16分に小川のシュートのこぼれを野村が押し込んで先制点を奪ったことで、意図はより明確になった。松本和樹、大和隆貴、福永七音、高根航平の4バックが互いの距離感を近く保ってPAを固めつつ、時に6バックのような形になることも辞さず、色気を見せない籠城戦の構えを堅持した。単に守っているだけではなく、「16番の選手(小川)は怖さがあった」(昌平・藤島崇之監督)というように、小川と野村が常にカウンターの香りを漂わせることで、相手に困難な試合運びを迫ることにも成功していた。
ただ、ビハインドを負った昌平も新垣理生、針谷岳晃の両ボランチが起点となって、焦らず騒がずポゼッション。ピッチの幅を使いながら狭山ヶ丘を押し込み、しかしリスクはかけ過ぎないというギリギリのサッカーで打開を図る。この流れについて「うまくいっていないというわけでもなかった」と藤島監督は振り返ったが、決して強がりではないだろう。バランスを保ちながら、厳戒態勢を敷く相手を何度も崩してチャンスを作り続けていた。前半のアディショナルタイムにはハンドリングの反則で得たPKをMF松本泰志が蹴り込んで同点に追い付く。松本は「めちゃくちゃ緊張しました」と振り返ったが、それも無理はない。この同点ゴールの意味は大きかった。
勢いを得た昌平が後半も押し込んでいく流れとなったが、狭山ヶ丘もGK西田航太を軸に抗戦。何度も崩されてはいるのだが、最後の最後まで選手が体を投げ出してでも相手のシュート精度を削る姿勢が徹底されており、なかなかゴールは生まれない。延長に入ると、さすがに狭山ヶ丘の足が止まり始めたが、ひざが笑っているような状態でも懸命に走ってボールに食らい付く選手がいるなど、まさに敢闘と言うべき姿勢を見せる相手を、昌平は攻め切れなかった。
試合を振り返って、「崩しまではできているのに、決め切れない。自分を含めて決定力不足に尽きる」と松本は唇を噛んだ。ただ、押し込んでいるチームにありがちな、焦って急いで迂闊なカウンターを食らってしまうシーンを作らなかったのは、昌平の地力の高さを示すものだったとも言える。途中から完全にPK戦狙いに切り替え、終了直前にGKも交代してきた狭山ヶ丘の術中にハマるかのような流れだったが、藤島監督は「いつもどおり、練習どおりに蹴ってこい」と静かに選手を送り出した。プレッシャーはあったはずだが、1番手の松本から4番手のDF柳田竜成まで全員が見事なキックで成功。守ってもGK緑川光希が2本をセーブして、勝負あり。最後まで戦い抜いた狭山ヶ丘にも拍手を贈りたくなる好ゲームは、確かな地力を持った昌平が初めての総体出場を決める形で幕を閉じた。
(取材・文 川端暁彦)▼関連リンク
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