[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:復権の予感。上州のゼブラ軍団、広島を駆ける(前橋商高)
ゲキサカ / 2016年6月29日 20時32分
新チーム初の公式戦となる今年1月の新人戦。しかし、この大会で昨年からのレギュラーが半数近く残っていた前橋商は、ベスト16での敗退を余儀なくされる。またもやファイナルのカードは“新・県内2強”対決。「新人戦で負けた試合は雪の日だったんですけど、後ろもダメだし前もダメだということで、まず守備をしっかりやり直そうと決意した」(笠原監督)「新人戦が不甲斐ない結果に終わってしまったので、キャプテンとしてしっかりしないといけないと思い直した」(木村海斗)と2人は当時を振り返る。新人戦までアタッカー起用の多かった風間朝陽をCBに据え、守備のテコ入れを図った県総体は、なんと6試合連続無失点で連覇を達成した。それでも、「関東大会予選の県総体を優勝した時に昨年と表情が違いました。昨年はフワフワした状態でしたけど、今年は『俺たちが目指すのは関東じゃないよ。インターハイの全国だ』と。今のチームは僕が言う前にそういう雰囲気になっているんです」と笠原監督。チーム全員がその想いを共有して、総体予選を迎えることとなる。
前橋育英がベスト16で常磐高に敗れる波乱の展開となった今年の総体予選。準々決勝で前橋商は新人戦王者の桐生一と激突する。この大一番でチームは「思い切って凄く良い試合をしてくれた」と笠原監督も認めるパフォーマンスを披露し、セットプレーからの風間の決勝ゴールで難敵を1-0と撃破した。それでも「ヤマは桐一だと思っていたので、勝てたことも無失点も自信になりましたけど、過信し過ぎてはいけないというのはわかっていました」とキャプテンの木村。続く準決勝を3-0でモノにすると、前述した通りに決勝は延長戦までもつれ込みながらも、「絶対全国に行ってやろうという気持ちでやっていました」という星野周哉の2ゴールで伊勢崎商に競り勝ち、4年ぶりに県の頂点へと返り咲いてみせた。
クラブチーム出身者が大半を占める前橋育英や桐生一に対して、前橋商は中体連出身者も含んだメンバー構成となっている。ただ、それゆえに「強い者を倒してやろう」という気概を持って、前橋商の門を叩いた者も少なくない。伊勢崎第三中学校サッカー部出身の木村は「私立は頭になかったので、公立で全国を目指すんだったら“マエショウ”しかないなという気持ちでいましたし、あの白黒のユニフォームに憧れていました」と明かし、子持中学校のサッカー部でプレーしていた星野も「育英を倒して全国に行きたかったので、“マエショウ”しかないかなと思って来ました。中学出身なので走ったり泥臭くやることには自信があります」と力強く語っている。加えて、まさに県内が前橋商と前橋育英の2強時代だった頃を選手として知る笠原監督も、現状に対して「悔しい想いで何とかしたいと思いますけど」という葛藤を抱えつつ、「今すぐに追い付くという訳にはいかないので、今は監督になってから1年、2年、3年という所で徐々に徐々に力を付けている所ですね」と地道な強化を続けてきたことが、少しずつ実り始めている手応えを実感しているようだ。
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