[総体]様々な要素重なって生まれた敗北・・・王者・東福岡はわずか1試合で姿消す
ゲキサカ / 2016年7月29日 0時27分
[7.28 全国高校総体2回戦 東福岡高 2-3 昌平高 広島広域公園第一球技場]
史上初の全国高校総体3連覇を懸けた東福岡高の夏はわずか1試合で幕を下ろした。開始7分にMF藤川虎太朗のゴールでリードを奪い、その後もMF高江麗央やMF福田湧矢のチャンスメークから決定機を作り出した。昌平高の選手たちが舌を巻いた素速いパスワークやフィジカル能力の高さ……。序盤は東福岡の強さが目立つ展開だった。だが、徐々に相手にボールとリズムを握られる時間が増えていく。前半終盤は東福岡のギアがまた上がり、2点目に近づいたが、突き放すことができなかった王者は後半に逆転を許す。
もちろん、全員が優勝のために全力でプレーしていた。だが、その危機感はピッチの上にいる選手の中でも差があったかもしれない。逆転されてから攻撃には明らかに怖さが増し、31分には藤川の右FKから左SB小田逸稀が驚異的な跳躍からの同点ヘッド。だが、ここで一気に逆転する強さがこの日の東福岡にはなかった。判断が遅れたり、思い切りを欠いたようなプレーでチャンスを逸すると、直接CKでまさかの決勝点を献上。試合終了の笛が鳴ると、赤いユニフォームはピッチに崩れ落ちた。
今年のチームは県新人戦、九州新人戦、総体県予選で連覇を達成。プレミアリーグWESTでは最近4試合でJクラブユース勢から3勝を挙げて首位と勝ち点3差の3位につけている。今大会は間違いなく優勝候補。簡単には負けるはずがないと誰もが思っていたはずだ。だが、主力がケガ明けで、プレミアリーグからの準備期間の短さ、そして攻守の切り替えの遅れや、やや丁寧さを欠いた攻撃、後ろが重くなり3失点した守備など色々な要素が積み重なって生まれたまさかの敗北。森重潤也監督の指摘はチームの「弱さ」、「苦しい思いをして乗り越えてきた」昨年の優勝をしっかりと理解できていなかったこと、「どれくらい昨年から成長したプレーが出せたのか」という点など多岐に渡った。
「ひとつずつきちっとやっていかないと選手権は取れない」と指揮官。「弱い」ままで終わる訳にはいかない。“赤い彗星”は再び輝くためにまず自分たちを見つめ直し、課題をひとつずつクリアし、必ず成長を遂げる。この敗戦を絶対に無駄にはしない。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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