[総体]苦戦想定し、「覚悟と勇気を持って」戦ったV候補・青森山田、暑さと難敵の挑戦乗り越える
ゲキサカ / 2016年7月30日 6時32分
先制された鹿島学園だが、落胆することなく、一発を狙っていく。前半35分にはFW橋口凜樹(2年)がDFライン背後へ絶妙なパスを落とす。これに注目の俊足エースFW上田綺世(3年)がフリーで走りこみ、右足で合わせるが、青森山田はFC東京内定のU-19日本代表GK廣末陸(3年)が距離を詰めてスーパーセーブ。鹿島学園は直後にもワンツーから橋口が決定的な右クロスをゴール前に入れ、後半7分には右SB宮本陸(3年)のクロスを上田が豪快な右足ボレーで合わせた。我慢強い守りから精度あるカウンターを繰り出し、ハイサイドを取ってチャンスへ。リードしている青森山田は黒田監督が「時間だけ過ぎてくれるように。リスクを負わないように」後方でのパス交換など慌てることなく試合をコントロールしていく。その中で後半13分には高橋のスルーパスに走りこんだMF嵯峨理久(3年)が決定機。攻守に力を示す戦いを見せていたが、2点目を決められなかったこと、また失い方の悪いシーンが出てしまったことで鹿島学園に反撃を許してしまう。
鹿島学園は18分にも竹内がDFラインの背後を狙ったパスに2人が走り込んだが、GK廣末が体を張って阻止。残り10分となって鹿島学園は4人替えの奇策を発動し、1点をもぎ取りに来た。そして直後には右アーリークロスが上田に通る。だが、青森山田はCB橋本恭輔(3年)が体を投げ出してブロック。またサイドからの突破を左SB三国スティビアエブス(3年)が食い止めるなど、押し込まれても守り続けていく。
29分、鹿島学園GK木村壮宏(3年)がPAへFKを蹴り込んだボールをGK廣末が思い切った飛び出しで弾くが、クリアボールにいち早く反応した岡部がコントロールから右足ループシュート。ボールは混戦の上方を抜けてゴール方向へ落ちていったが、青森山田は廣末がバックステップを踏みながら間一髪のところでクロスバーの上へかき出した。互いが勝利への執念を見せ合った好勝負。32分には上田が角度のない位置から放った一撃に応援席が沸いたが、これはわずかにゴールをとらえず。1-0で逃げ切った青森山田が準々決勝へ駒を進めた。
青森山田の住永は「市船だったり、強いチームはゼロで来ていますし、青森山田は失点する甘さだったりとか、試合の戦い方、入り方、終え方ができていないというのが本音だったのでゼロで終えたのは良かった。下で繋いだり、もっとやれたことはあった。特にきょう自分たちは前半何もできなかったと思うんですけど、1点上手く決められたことによって後半は気持ちとか、迫力で乗り切ることができたと思います」。課題はもちろんあった。だが、廣末が「接戦をものにしないとインターハイでは勝ち進んでいけない。2年前、準々決勝で広島皆実とやった時に1-0で勝ちましたけれど紙一重だった。ああいう勝利があれば、チームとしてはいい状況かなと思う」と語ったように、勝ち上がるために必要な接戦を勝ち切る経験。それを示して勝った青森山田の廣末は「日本一を獲りたい。この大会で獲ります」と宣言した。まだ5合目。だが、北の名門は攻守における強さ、我慢強さ、そしてチームの団結力を発揮しながら着実に頂点への歩みを進めている。
[写真]前半27分、青森山田はFW鳴海が右足で先制ゴール(写真協力=高校サッカー年鑑)
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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