[MOM1830]青森山田GK廣末陸(3年)_FC東京内定の「主役候補」、攻守で見せた違いと強味
ゲキサカ / 2016年7月30日 8時7分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.29 全国高校総体3回戦 青森山田高 1-0 鹿島学園高 呉市総合スポーツセンタ-多目的G]
U-19日本代表の守護神であり、すでにFC東京内定を決めている「今大会の主役候補」。青森山田高GK廣末陸(3年)は1-0で勝利を決めると「よっしゃー!無失点!」と声を張り上げた。立ち上がりに不安定だったDFラインを声で奮起させ、自身は数度あった決定的なシーンでビッグセーブを連発。そして攻撃性能の高さも発揮するなど実力を見せつけた試合だった。
「キツかったですね。楽なゲームにはならないことは分かっていたんですけど。(DFラインは)後半は奮起してくれたけれど、前半の入りは修正しないといけない。前半最初に自分がやらせるくらいが良かった。もっと早い段階で修正できるように」と廣末。それでも前半終了間際にあった相手エースFW上田綺世との1対1をストップすると、後半にもその広い守備範囲で決定機を阻止して見せる。ハイライトは鹿島学園高がパワープレーに出た終盤のプレー。「最後、相手がパワープレー入ってきた時に相手は前に入れてくる。4人前にいて、DFラインだけじゃキツいというのは分かっていたんで。なるべくハイボール来たら出ようと考えていました。(DFが)1対1の競り合いで負けていたのが結構あったので、(勝つために)DFプラスGKがいればと」。
クロスの弾道を素早く察知し、思い切った飛び出しからパンチング。普段ならば出ないような位置へのボールもあったかもしれないが、1年時から名門のゴールを守ってきた廣末はより危険を消すために選択したプレーをやり続ける。そして後半29分にはゴールマウスから大きく飛び出してパンチ。このボールを拾われてMF岡部知紘にループシュートを放たれた。ボールは精度高くゴール方向へ向かったが、すかさず体勢を立てなおしていた廣末が背走して追いつき、冷静な跳躍でゴール外へかき出した。相手のパワープレーに対して対策を講じ、1-0の勝利へ導いた守護神について黒田剛監督は「アクシデントを考えられるように。無理にキャッチ行ってこぼして落とさないように(判断してパンチング)していた。リーダーシップも発揮してくれている」と賞賛していた。
今月15日にFC東京加入が発表された。FC東京U-15深川から青森山田へ進学して成長した廣末にとっては厳しい環境に戻っての再挑戦となる。「自分の特長としては攻撃的なGKだと思っているので、ビルドアップとか前線のフィードとか持ち味なので見てもらいたいと思いますし、裏へのケアも武器としているので見てもらいたい」。この日は守備面だけでなく、1タッチでのパスなど随所で足下の技術の高さを披露。バウンドがやや高かったバックパスを、利き足と逆側の左足ハーフボレー気味のキックで中盤の選手につけたシーンには驚かされた。小学生時代にFWだったGKは「むしろ自分がボールに積極的に関わっていく。GKというのは相手も来にくいし、GKの足下があれば一枚剥がせたりあると思う。中学の頃から10プラス(GKの)1じゃなくて、(フィールドの)11という表現を使っていた。そういうGKになっていければいい」と攻守で違いを示すGKになっていくことを誓った。
今大会の目標は優勝だけ。「(プロに入ってから)ルーキーだからとか関係ない。結果にこだわっていきたい。その過程としてインターハイだったり、プレミアだったり、選手権がある。集中していく。インターハイは今のGKコーチ(大久保隆一郎GKコーチ)が優勝している。『オレが日本一取った時は……』と言われるので、そこは見返してやれるように。3冠獲りたいと思います。(総体では)一昨年東福岡に悔しい思いをさせられた(準決勝で1-3敗戦)。まず1個日本一を獲りたい。そのために、誰よりも強い気持ちを持っている」と謙虚な口調から大きな決意を言い切った。1年時から名門の絶対的な守護神に君臨し、年代別日本代表の常連に名を連ね、プロ入りも決定。目標をクリアしてきたGKの次のミッションは日本一を獲得だ。
(写真協力=高校サッカー年鑑)
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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