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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:必要とされるこの場所で(盛岡・八角大智)

ゲキサカ / 2016年8月29日 9時5分

 7月11日。グルージャ盛岡から1つの“お知らせ”が届く。「このたび、前ザスパクサツ群馬所属の八角大智選手がグルージャ盛岡への加入が決定しましたのでお知らせ致します」。ザスパクサツ群馬から契約解除が発表されて約3か月半。2行の“お知らせ”は、「自分がずっと考えていた期間も、マメにGMの中村さんや神川さんからもコンタクトがあって、『いつでも来て欲しい』という熱意と誠意というのを凄く感じました。自分がこれほど必要とされているチームでプレーすることが自分自身にとっても幸せなことだと思いますし、本当にそういうチームで戦うことが自分にとっても一番の力になると思ったので、そういった所から自分は盛岡に来ようと思いました」と語る八角に、再び所属するチームができたことを意味していた。

 ところが彼の加入と時を同じくして、苦しい戦いが続いていた盛岡は好調に転じる。7月に入って怒涛の3連勝を記録すると、以降も3つの引き分けを重ね、6戦無敗とJリーグ参入以降のクラブレコードに並ぶ結果を叩き出す。「3か月のブランクがあって、試合勘もまだまだ未知数な所があったので、『使う所は慎重にならざるを得ない』という説明も受けていた」という八角も4試合続けてベンチに入ったものの、デビューには至らない。本大会出場を懸けて行われた天皇杯県予選決勝での起用も検討されていたが、登録の関係でその試合に出場することも叶わず、気付けば次の試合は天皇杯本大会の初戦となっていた。そして、いたずら好きなサッカーの女神と「相手も早稲田ですし、たぶん並々ならぬ意地を持ってやってくれるだろう」と考えた神川監督という2人の“神”は、八角に最高のデビュー戦を用意する。

「グルージャでのデビュー戦の相手が早稲田だということは、自分の中でも凄く意味のある試合だなという風に位置付けて」ピッチへ向かった一戦。左のウイングバックに入った八角に託された最大のミッションは、早稲田のキーマンでもある右サイドハーフの相馬勇紀を封じること。「在学中の自分は“新人監督”と言って、下級生に対して凄く厳しいことを言ったり走らせたりしていたので、たぶん僕に対する色々な想いはあったと思う」と推測した“先輩”にとって、3つ下の後輩にやり込められるようなことがあっては示しが付かない。とは言え、後輩にも意地がある。後半8分。相馬は完全に八角を振り切って際どいクロスを放り込んだ。「ちょうどその直後に3点目が入ったので、すぐ呼んで『オマエ使っている意味ないぞ。あんなのあり得ないぞ』というのは言いました」と神川監督。これには大学時代の恩師でもある早稲田の古賀聡監督にも「途中で神川監督からも『1対1で負けていたらオマエを出す意味がないぞ』というようなご指摘を受けて、僕もそれを聞いていたんですけど、『まさにその通りだな』という風に思います」と笑顔で同調されてしまい、当の本人も「言われて当然だと思います」と苦笑い。後輩からは手痛い“ご祝儀”も贈られながら、チームの勝利を告げるホイッスルをピッチの上で聞くこととなる。「自分がこのグルージャに来た意味を証明するためにも、グルージャのスタイルで勝ちたいという想いは凄くありました」という八角は先輩の威厳を保ちつつ、自らのグルージャデビューを母校相手の快勝という形で飾ることに成功した。

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