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[選手権予選]伝統校・帝京が3か月半ぶり着用のカナリアユニとともに舞う!昨年度全国2位の國學院久我山撃破!:東京B

ゲキサカ / 2016年9月10日 21時29分

 それでも前半37分、國學院久我山はそれまでなかなか仕事のできていなかったエースFW澁谷雅也(3年)が右サイドでDF2人を抜き去ってクロス。クリアを拾った澁谷が再び入れたクロスをFW金田直輝(3年)が右足ダイレクトで合わせる。だがシュートはポストを叩き、スコアを動かすことができない。逆に「守って、守ってというのははじめから頭の中にあったので、ショートカウンターで一発狙おう」(中瀬)と少ないチャンスを狙っていた帝京が先制に成功する。後半12分、帝京は自陣でボールを奪うと、MF遠藤巧(3年)が左サイド前方のFW小田楓大(3年)へパス。縦にボールを運んだ小田が自身を外側から追い越した遠藤へボールをはたくと、コーナー付近まで走り切った遠藤がクロスを入れる。DFに当たってコースの変わったボールがニアへ走りこんだ中瀬の下へ。練習してきた成果を見せつけるようなカウンター攻撃を中瀬が左足で完結させて帝京がリードを奪った。

 國學院久我山は直後、右クロスに交代出場FW宮本稜大(1年)が決定的な形で飛び込み、28分には右サイドで知久からのパスを受けた澁谷がクロス。これをファーサイドへ飛び込んだ名倉が頭で合わせたが、帝京GK和田侑大(2年)がビッグセーブで阻止する。國學院久我山は主体的にボールを動かしながら相手ゴールをこじ開けようとするが、CB原田祐次郎(3年)や右SB青柳寛己(3年)らが相手の攻撃を跳ね返す度に応援席から大歓声の起こる帝京は集中力が切れない。5分間のアディショナルタイム表示後の43分、國學院久我山はショートパスを繋いでサイドを変え、最後は左サイドから切れ込んだMF三橋智哉(3年)が右足シュートを打ち込んだが、これは和田ががっちりとキャッチ。守り切った帝京がインパクト十分の白星を手にした。
 
 かつて数々の栄冠を勝ち取ってきた黄色いシャツは帝京の現役選手たちにとって憧れだ。だが、今年5月の全国高校総体東京都1次予選で武蔵高に苦杯を喫した後、選手たちは3か月半もの間、「オマエら弱いんだから」という理由でカナリアカラーのユニフォームを着用することを許されなかったという。公式戦のT1リーグ(東京都1部リーグ)では常にブルーのセカンドユニフォームを着用。中瀬は「(きょうも)着せてもらえないかなと思っていた」というが、この日待望の伝統のユニフォームをまとった選手たちはそれにふさわしいプレーをして、今季リーグ戦で2敗の強敵から白星をもぎ取った。高校選手権を6度、全国高校総体も3度制している名門も近年は低迷し、全国舞台から遠ざかっている。だが、この日は入学から一度も全国を経験していない3年生の思いが結実したゲームに。それでも、目指すところはもっともっと上にある。高橋は「全国しか無い。そこ目指して一戦一戦やっていきたい」。難敵を突破した帝京の2回戦の対戦相手は3年前に全国8強まで勝ち上がっている修徳。日比監督は「この運を味方につけられるかどうかは自分たち次第」と語っていたが、次の強豪対決でも再び白星を勝ち取れるように、帝京は歓喜の1勝から切り替えて最高の準備をする。

(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

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